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文化の本質

文化とは何か。
それは、人間がルール(法則、条件、環境、法律など)の中で生存するために最適化してきた心身行動のクセである。
そして、文化には種類の違いと規模の違いがある。

種類の違いは例えば、
国の違い、民族の違い、宗教の違い、階級の違い、地域の違いなどがある。
・国の文化ならばその国の法律の中でいかに生きるかによって文化が生み出される。
・民族の文化ならば、その民族が辿った歴史や経験、それにより生まれた掟の中でどう生きるかという文化が生まれる。
・宗教や階級の文化も同様に、目指すところ、戒律、役割などを満たすための行動が文化になる。
・地域の文化ならば、その土地の気象条件や地理的条件、生態系などの中で生きるために最適化された行動が文化になってゆく。

規模の違いは例えば、
宇宙規模、地球規模、国家規模、地域規模、個人規模などの違いがある。
・宇宙規模の文化としては、この宇宙の物理法則に対して生み出された行動。例えば光の速度や性質を基準にした通信技術、原子核の結合エネルギーを使って熱を得る原子力の技術など。この規模の法則は全ての人が常に触れているが、これに対する文化が生まれたのはつい最近である。その理由は、宇宙規模の文化でもあるが、地球や地域の条件に対する文化という側面の方が強いというものがほとんどだからである。例えば重力や星に関することなどがそれにあたる。
・地球規模の文化としては、地球独自の条件に対応したものが生まれた。地球独自の条件として惑星の質量、位置、自転、公転、衛星(地球では月)、構成物質などがある。質量に対しては、地球独自の重力に対してどう立つか移動するかという文化が生まれた。位置に対しては北極星や星座を包囲を割り出す基準としたり、物語を作る文化が生まれた。自転や公転に関しては自転一周を1日とし、公転一周を一年として区切り、生活のリズムを刻む文化が生まれた。構成物質によって、水や酸素に依存し、炭素や鉄を重用する文化が生まれた。
・国家規模の文化としては、国家という共同体のために生まれたルールに基づいたものがある。それはしばしば地域や宗教や民族とも密接な関係がある。
例えば、日本の文化としては、島国という条件故に新しい人との出会いよりも、特定のメンバーといかに対立せずに調和するかということが重んじられ、謙虚さ、察する、丁寧さなどが重視された。
気温や湿度、生態系の条件によって、多様な食材や発酵技術を用いた豊かな食文化が生まれた。豊かな自然の恵みと、海という侵略に対する防波堤によってできた平和と時間的余裕により、緻密な技巧や、一事にこだわり抜く文化が生まれた。それにより、新しいものを生み出すよりも、与えられた新しいものを洗練していく方がが得意な文化が生まれた。
・地域規模の文化としては、地域ごとの条件に応じた食生活や、住居、衣類の作り方、祭りや行事などが挙げられる。
・個人規模の文化としては、気質や経験、気分、交友関係などによって生まれた個人の行動パターンや精神パターンなどである。

これらの特徴としては、規模が小さくなるほど、個人の行動が文化を作り、文化がルールを変えるということが起こりやすくなるという点が挙げられる。
個人規模ならばそれが毎日のように起こっている。一つの行動や、その時の感情で行動や心の癖が影響を受けて、その癖によって、性格や生活が変化する。
個人の行動が、国家規模のルールを書き換えるなら、それは革命者と呼ばれる。時代の変化によって国家規模のルールに違和感を持ち、個人的にそれに反するような行動や発信を行い、人々の共感を得て、その集団の文化に大きな影響を与え、ルール自体を変えるに至る。

私がなぜこの文章を書こうと思ったかというと、文化について理解することが、この変化の時代、クローバルな時代、環境問題の時代に必要不可欠だと思ったからである。

文化について、このように立体的に(逆円錐で高さが規模、水平が種類。細い土台の方が抽象度が高く全てに共通している、上に行くほど抽象度が低くなり、広く多様化する。それぞれが強く影響し合っている)文化を理解できれば、文化を過大評価も過小評価もしなくて済む。
・過大評価してしまい、自分の国家や宗教の文化にこだわりすぎたり、民族主義に陥ってしまうことを防ぐことができる。
・過小評価してしまい、その地域の条件に対して合理的な方法を捨てて、無理に他の地域の文化を実践し、環境や生態系を破壊したり、健康を著しく害したりしなくて済む。

このバランス感が、これからの人類にとっての鍵となる。

自らの文化の意味や効果効能を理解して尊重しつつ、異文化に対しても敬意を持って表面だけでなくその根源を深く学び、時代の変化、環境の変化に応じて健全に個人の文化をデザインし、国家や世界の文化をアップデートしていく。
そんな人々を増やしてゆく。
それが、これからの時代に、環境問題や、戦争の問題を解決して、子供たちに笑顔で暮らせる世界を渡せるかどうかの鍵となる。

こうした考えに基づいて行動するのは簡単なことではないし、正解もない。私自身も、世界中の文化を徹底的に学んだり、10年間着物だけを着て過ごしてみたり、自然と調和する生き方を探求したりと、試行錯誤を繰り返している。
しかし、難しいことだからこそ、多くの人がそれぞれに楽しみながら取り組むのが大切なことだと思う。

そのきっかけになることを願って。
一人でも多くの方に届くことを祈って。
文化について思うことを書き残します。
読んでくださり、ありがとうございました。

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