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明るく静かに中指を立てる。障害者アートの魅力と僕の夢。

音楽活動の傍らで、僕が愛でているモノ。
それは障害者アート、グッズである。
障害者アートとの出会いは2016年。群馬県前橋市にあるアーツ前橋 ミュージアムショップmina(ミーナ)を訪れた時だった。

そこには全国の福祉作業所で作られたグッズ達が所狭しと並んでおり、「かわいい!」や「面白い!」が溢れている。気が済むまでグッズを眺めては、気に入ったものを少しずつ買い集める。そして隣にあるコーヒー屋さんでコーヒーを飲んで家に帰る。当時はそんな時間を楽しみに日々を過ごしていた。

”好きな事”を仕事にしたいのは障害者も一緒。

大学3年生の春休み(2011年)、福祉と心理学を学んでいた僕は、自宅から50分ほど車を走らせた所にある、生活介護施設へ実習をすることとなった。

生活介護施設とは、障害がある人が日中の時間に通う場所で、比較的障害が重い人達が通っている。そこに通っている人達は何をしているのかというと、それこそ様々で、僕が実習した施設はクッキーを作って販売をしたり、陶器を作って販売をしていた。クッキーは美味しく、陶器もなかなか味のある作品ばかりだった。

ただ少し気になった事は、陶器がいわゆる”バザー”のような場所で、めちゃめちゃ安く売られている事実と、陶器が完成する前の最終工程の手直しを職員が残業をして取り組んでいた事だ。当時何も知らない大学生には想像できないような、苦労や現実がきっとそこにはあったと思うし、職員さんは一生懸命で素敵な人達ばかりだった。
でも、利用者さんの手で作られたその陶器を、職員さんが手直しして市場に出してしまうのはもったいないし、利用者さん自身が”自分がこの手で作り上げた”という実感と、売れた時の”自分の作品(陶器)”を買ってもらえた。社会と繋がった!という実感に対して「嘘」が混じってしまう。それは誰にとっても幸せではないのではないか。という疑問を抱いたのを覚えている。

社会人となった僕は地方公務員として障害福祉分野の部署に配属され、知的障害のある方、そのご家族と関わる機会が比較的多い環境で働いていた。時には特別支援学校の生徒、親御さん、進路担当の先生とも話しながらその生徒の”進路”について、一緒に考える事もあった。

とある作業所へ足を運んだ。その作業所はいわゆる”下請け”の仕事をしており、地元のホームセンターから依頼を受け”ボールペンの組み立て・検品”、釘やネジを10本1セットにして袋に入れて納品をする。といったような仕事をしていた。世の中、誰かがそれをしてくれているから、僕の日常が今日も問題なく回っている。だから、内職仕事だって尊い仕事だし、むしろこういった単純作業が好きで仕事にしている人もいる。だから仕事内容そのものを否定するつもりはない。
ただ、もし自分が高校を卒業して就職先を探す時「ネジの袋詰め」か「ボールペンの組み立て」しか選択肢がなかったら。そこそこの絶望感に苛まれるのではないか、と想像した。

もし自分がそんな状況になったら、自分に合った選択肢を見つけるために求人ジャーナルを広げたり、人を頼ったり、今の時代であれば得意なことをSNSを使って発信してゆくゆくはお金をもらう。やる気さえあれば、選択肢はいくらでも見つけられる。
でも知的障害がある人はどうだろうか。それを「嫌」と言う事も、選択肢を広げるための行動も難しく、支援が必要となる場合がある。
「自分の好きな事でお金を稼ぐ」そういった願いを持つ事は、障害の有無に関わらずみんな思っていい願いだと思うし、その選択肢が多く用意されている世の中であってほしいなと思った。

※やりたくなかったとしても仕事があるだけありがたい。好きなことは趣味でやる。そういう考えももちろんありだと思う。ただ「やりたい」と思った時に選択肢が多いに越したことはないと思う。

そんなこともあり、僕は障害者が好きな事でお金を稼ぐにはどんな事ができるのかと色々調べていた。その中でワインを製造販売している栃木県足利市のこころみ学園、ココファームワイナリー(ココロゼめっちゃ好きぃ)

アート活動を仕事にしている神奈川県平塚市のSTUDIO COOCA(スタジクーカ)

なんかよく分からないけど面白い事をしていることはビシビシ伝わってくる(褒めてます🙏)京都府京都市にあるNPO法人・スウィング。


面白い事業所が全国にはあるんだなとワクワクしたのを覚えている。そして、全国の障害者アート、グッズが売っているという噂を聞きつけ、アーツ前橋 ミュージアムショップmina(ミーナ)に通うこととなった。


「そんなのアリなん!?」枠を飛び越える力が障害者アートにはある。

障害者アートには、障害者、芸術。様々な枠や既成概念のようなもの。「こうあるべき」という枠を、軽々と飛び越える力がある。(と勝手に思っている。)思いもつかなった方法や発想で、「それは偏った考えなんじゃないのか」と社会に問いを投げかける。

 ”明るく静かに中指を立てている”というと語弊があるかもしれないが、ポップでありながら社会に対して問うているような、力強さも魅力の一つだと思っている。

あとはね、、、もうね、単純にかわいい!面白い!!!!
これとか、白い4本足の動物?犬かな?猫かな?ヤギかな?って思うじゃん。

想造楽工 PINBADGE

ネコ人間だって!!!!!!wwwww

ネコwww人間www
斬新すぎるんだけどめちゃめちゃ愛らしくて即購入しました。最高。

すみません。好きなものを紹介し始めた途端、語彙力がバカ下がりしてしまいました。
引き続き、好きなグッズご紹介パートにお付き合いください。

NPO・SWINGのグッズ "どくの生き物”缶バッジ、”赤身のマグロ”マグネット

どくの生き物の毒され具合もなかなか好きなのですが、赤身のマグロね!その角度から赤身のマグロを描いたの、多分世界初だと思うし、マグネットっていう謎用途なところもいい!冷蔵庫に貼っています。

川越いもの子作業所のグッズねこタイル

こちらもかわいいよね!思わず見かける度に集めちゃってます。幸せそうな表情でこっち見てるのがいいよねー。

徳島県 器れもん のお皿

こちらはお皿!直感的にかわいい!!!って購入してしまいました。普段使いしてます。下の小皿もめちゃめちゃ使いやすいので重宝してます。

こちらも器れもんの小皿

やまなみ工房・”正己地蔵”

こちらは滋賀県・やまなみ工房の山際正己さんの”正己地蔵”20年間作り続け、何十万体と生まれているらしい。同じものを20年間作り続ける、めちゃめちゃ凄いしかっこいい。ひとつひとつ微妙に表情や形も違っていて、とっても愛くるしい!

特にTシャツが好きすぎる。

元々古着が好きだったりもして、特にTシャツが大好きで。買うつもりがなくても「え。かわいい。面白い」ってなると気づいたら買ってしまいます。
余談なんですが、プリントTシャツってなんというか、文脈消費の最たるものと言いますか。機能性を重視して服を選ぶ人ももちろんいるし素敵な基準だと思うのですが、「意味」とか「哲学」を纏うような、その商品に込められている文脈を着る。そういう楽しみ方をカジュアルにできるのがTシャツの魅力なんじゃないかなと思ったりもします。

すみません。長野県の事業所のグッズだったような。

買った当時、好きなレコードを描いていてそれをTシャツにしたという事を聞きました。ひょこっとレコードが顔を出しているのもかわいい!

やくのさと・藤村誠さんの作品「女」Tシャツ

不気味なんだけどポップさもあって、まさに一目惚れして買ったTシャツです!

こちらもやくのさと・鹿島さんの作品


シンガーソングライターとして僕ができる事

 音楽活動を始めた当初、すごくぼんやりと「もし自分が有名になったら、こんな面白い世界がある事を知ってもらえるように発信をしたい」と思ったことがある。音楽が好きという自分と、障害者アートが好きという自分がどこかで交わったらいいなと思いながら、それぞれを好きな気持ちをずっと心に持ちながら活動をしていた。

そして今回、ご縁がありまして、障害福祉×デザインのチーム想造楽工さんに制作を依頼し、福祉施設に通う所属イラストレーターさんにイラストを描き下ろしてもらいました!!!嬉しすぎるっっっ!!!
渡ケントは有名なのかと問われれば、間違いなくまだまだ有名ではないけれども。自分の好きな2つの事が交わって、形になった事がとても嬉しく1つ夢が叶ったような気持ちです。

(左)"ネコとギター" ステッカー¥300(右)"とっておきの春の花" アクリルキーホルダー¥900
※4.23よりライブ会場にて販売開始。通販は後日予定。

 今回なんと!!!先ほど紹介した、「ネコ人間」のイラストレーターさん、高橋龍太さん(所属:多機能型事業所のワークセンターまことくらぶ)に描いていただけたのですっ!(泣)なんというか、大好きなイラストレーターさんにグッズを作ってもらうことができて、本当に幸せです。ネコの顔、赤いギター、黄色い花、めっちゃかわいくないですか!?


これから先、僕の音楽に触れた人達がこのグッズをきっかけ「障害者アートやデザインの世界に触れてくれたらこんな幸せな事はないな、と思っています。

そのためにもこれからもいい曲を作っていろんな場所でライブへ行き、アーティストとして大きくなっていきたいという所存です。

結局宣伝かい!!!というツッコミもありそうですが、すみません。夢が叶った嬉しさと、こんな面白い世界があるよ!ということを知って欲しかったので、お伝えさせていただきました。

渡ケントの音楽ももちろん、こんな一面も知ってもらえたら幸いです。ここまで読んでくれてありがとうございました!


[ ライブ情報]

【チケット残りわずか!】
渡ケント初自主企画
たそがれAPARTMENT
〜立ち止まって聴きたい音楽〜

2023.4.23(日) 新代田Live bar crossing  
Act:渡 ケント / 明神ナオ(PARIS on the City!)/アサカスムクラブ

【時間】
◎会場観覧:OPEN 18:00 START 18:30
【料金】
◎会場観覧(40席限定):3,000yen(+1drink)


※TIGET予約は「先着順」でご予約の際に発行される「整理番号順」でのご入場となります。

※各アーティストでの取り置きでの予約も受け付けております。当日受付にて料金をお支払いください。

入場順はTIGET予約→取り置きの順になりますのでご了承ください。

【公演へのお問い合わせ】
渡ケント:k0n9t30@gmail.com

サポートしていただいた暁には、そのサポートを音楽活動に注ぎ音楽で還元したいと考えています!