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【業種・職種別に徹底解説!】KPIを活用した目標設定例

目標を設定する際に必要なKPI。
企業であれば最終目標である売上や利益を伸ばすことなど、業績向上に欠かせないツールです。

しかし、いくらKPIの導入が大切だからといって、一体どのようにKPIを設定したらよいか、どう使えばよいか分からずお悩みでいらっしゃる方は非常に多いと感じています。

そこで当記事では、KPIとは何か・KPIを導入するメリット・【業種・職種別】KPIの目標設定例・KPIを導入する際の注意点をご紹介します

KPI(重要業績指標)とは?

KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、企業の最終的な目標であるゴールを達成するために必要な指標のことです。重要業績指標とも呼ばれ、企業の目標である営業利益や売上といったKGI(Key Goal Indicators)を達成するために必要不可欠なものです。

具体的にKPIは、例えば、売上高・商談数・成約率・単価などがあり、業種・職種によって項目が異なります。また、最終的に達成したい、KGIによっても変わります。

KPIを設定すると、目標に到達するまでに何が必要か、進捗率はいくらかなど数字で明確に把握が出来るようになります。明確に把握が出来るようになると、今後どのように改善すればよいかが分かり、目標達成に向けて具体的に施策を打つことが出来るなります。

KPIを導入する4つのメリット

目標達成に必須のKPIですが、「横文字は難しい!」、「営業さんやIT系だけでしょ!」と、後回しにされることが多いです。しかし、KPIの考えはどんな規模でも、どんな職種でも、必要不可欠です。ここで、まずはKPIを導入する4つのメリットを理解しておきましょう。

①どう一歩を踏み出したら良いかが分かる

KPIを設定すると明日から今日から今からどう行動し、どのような成果を出せば良いかが分かるようになります

例えば、「営業利益を500万円アップさせる」をゴールと設定します。営業利益は売上高から売上原価と販売費や一般管理費を引いたもの。従って、営業利益をアップさせるためには、売上高をアップさせる・売上原価を下げる・販売費や一般管理費を下げるなどに取り組まなければなりません。

仮に営業職の場合であれば、営業利益をアップさせるために売上高を上げることが必要ですね。その売上高を上げるために、ということで目標によく設定されるのが、「受注件数」です。ですが、受注件数ばかりを追い求めていても、値引きをしたりしていては、件数が多くても売上の目標達成が難しくなります。また、「受注率」を上げたり、そもそもの「お客様とのアポイント(商談)」を獲得したり、電話やメールでコンタクトをとる(テレアポ件数・DM件数)などの行動も数字で追っていくとよいです。

これらをKPIとして設定する際は数字で明確にします。すると、営業利益をアップさせるためにしなければいけない具体的な行動の量や質、どんな成果を出せば良いかが分かるため、次に行動が見えてきます。

逆にKPI設定がされていなければ、ゴールまでに何が必要かが分からず、一歩踏み出せなくなるでしょう。

②目標の達成要因が分かる

KPIを設定すると達成要因まで具体的にわかります。「なぜ目標を達成したのか」、「なぜ達成しないのか」が明確となります

例えば営業職の人が売上目標を達成できなかったとしましょう。

KPIで具体的にテレアポ件数・商談件数・受注件数・単価・成約率などを設定していれば、どの数字が不足していて、何が課題かが一目瞭然となります。不足している部分が改善点だと、次回の反省に活かせます。

では、KPIを用いていなかった場合はどうなるでしょう?
追っている数字が売上だけなので、「売上達成しなかった」時には、おそらく管理職からは「売上を上げてこい!」ということしかいわれないでしょう。そんなことを言われても、実際に動くスタッフとしては「だからそれをどうやればいいかがわからない」というのがホンネですよね。で、管理職も同じなんです。KPI管理をしていないので、一番上の目標である売上でしか語れないのです。

③PDCAサイクルが円滑になる

②で述べたように、KPIを設定することによって改善点が明確になるため、PDCAサイクルを回しやすくなります

例えば、目標に設定している売上を達成できなかったとしましょう。目標達成のために設定したKPIをみることで、商談数が足りないのか・受注時の契約単価が足りていないのかなど、なぜ達成できなかったかがハッキリと数字で現れます。

そして、KPIを達成できなかった理由を深堀することによって、「訪問アプローチを増やそう。そのために・・・をしよう。」「1日辺りのテレアポ件数を20件に増やそう。そのために・・・をしよう。」、「成約率を改善しよう。そのために・・・をしよう。」など具体的な改善案を考案可能。最終的に目標達成に向けた施策を打てます。

④公平な評価基準を設けられる

KPIを設定することで評価を統一し、公平な評価基準を設けられるようになります

KPIを設定する際は定量的な数値を用いるのが基本です。従って、感情による評価などの不公平な要因を生み出さず、数字という公平な判断をするための根拠が生まれるため、不満が生まれにくくなります。

【業種・職種別】KPIの目標設定例

さて、ここからが、本日のメインでしょう!


KPIのメリットが分かっても、実際にどのような指標をKPIにしたらよいかお悩みではありませんか?当項目では、業種・職種別にKPIの設定例をご紹介します。

~営業のKPI設定例~

そもそも売上とは何と何の掛け算か、もしくは足し算かご存知ですか?
少し考えてみてください。

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「集客×単価×決定率」という掛け算が売上となります。
そして、さらにそれぞれの項目を因数分解していきましょう。

集客:商談数・見込み客
単価:1つの商品・複数の商品なら平均
決定率:営業スタッフ全員の平均でもあり、各商品の決定率の平均

売上を上げたい時は、上記全て、もしくは、上記のいずれかをアップさせる必要があります。

一方、足し算の場合だと
受注件数・成約件数・営業スタッフごとの受注件数の総計となります。
特に課題だと思うところをKPIに設定しましょう。
なお多くの場合商談数がや受注件数がKPIとして設定されがちです。
ただ、営業職の実力を測る数字は「成約率」です。成約率が高ければ高いほど、営業職の実力が高く、生産性が高いと言えます。ちなみに、野球と同じで、だいたい3割で優秀といわれます。

正直、お読みいただいている皆様は「営業職のKPIくらいはわかっているよ」という方が多いのではないでしょうか。

弊社でもよくお悩みを聞くのが「管理部門はどうすればよいの?」ということ。また、その他、KPIの設定が難しいとよくお悩みをっく業界についてもご紹介いたします。

経理部門のKPI設定例

経理は売上に直接貢献するというよりも、企業の生産性をあげること。従って、経理に求められることは一言でいうと「仕事をミスなく安く早く終わらせる」ということです。いわゆる、クオリティ×コスト×デリバリーを高めることです。

経理の目標を設定する際は、QCD+Q(クオリティ×コスト×デリバリー+クオンティティー)の考え方を用いることをお勧めします。QCD+Qとはそれぞれ質・コスト・スピード・量を指します。それぞれの項目について、経理における具体例を見ていきましょう。

Q(質):ミス・トラブル・クレームがないこと
(例:給与計算のミス・請求書のミス・試算表のミスなどがないこと)

C(コスト):企業全体のコストを下げる、物・固定費・変動費を下げる工夫や提案、担当者自身のコストを下げるために残業時間を減らすこと

D(デリバリー):デリバリー(納品・完了までのスピード)を早めること
(例:残業時間を少なくする、納期、試算表決算書を早く終わらせることなど)

+Q(量):作業や書類を今よりも同じ時間でたくさんできること、生産性を向上させること

※近年では、十年以内にITツールを導入し、これらQCD+Qを向上させることがかなり楽になっています。。

医療業界のKPI設定例

「医療でもKPI?」となるかもしれませんが、医療業界でもたくさん考えられます。医療業界でKPIを設定する場合は、とくに保険診療 (自費診療がありますが、基本的には保険診療)≒(ニアリーイコール)売上として考えられます。また、より売上(報酬)を増やしたい場合は自費診療も目標に加えることがあります。

その際、構成するKPIは営業と同じく、集客×単価×決定率で設定します。ただし、医療において決定率はほぼ100%ですので、「患者数x単価」となるのが一般的です。つまり、集客を増やすか、1患者あたりの単価を上げるかがポイントです。従って、ここでは集客・単価の項目で医療における具体例を見ていきましょう。

集客としてのKPIの名称としては「患者数」や「カルテ数」と表現します。
 
小さいクリニックの場合は口コミ件数が多いこと、口コミの点数が高いことも集客の大きな要因となりえます。これらの数値をあげるために、患者様へのホスピタリティなどが行動目標として重要です。

単価を上げるための努力は要注意です。患者様が喜ぶ場合に提案することなどと、細心の注意、真摯な考え方が必要です。単価を上げるために本当は必要がないのに無駄に処方を提案したり、物販を、というのは当然NGです。

上記の他にも、ヒヤリハットの提出件数、研修参加率・参加回数、などもKPIとして設定することがあります。

介護業界のKPI設定例

介護のKPI設定も基本的には医療と同じく集客×単価×決定率で設定します。ただし集客に関しては介護の業界独特な具体例があるため、下記をご参考ください。

集客(利用者)を増やすためには、利用者からの口コミ件数が多いこと、口コミの点数が高いこと、ご家族からの評価が高いことが挙げられます。その他、アンケート結果で満足度が高いことが測る事も出来ます。(満足度を高めたことでご友人を紹介してもらった件数もKPIとして設定されます)

上記の他にも、ヒヤリハットの提出件数・研修参加率・参加回数、資格の取得件数などもKPIとして設定することがあります。

また、訪問介護なら、「1日の平均訪問時間」、デイサービスなら「1日の平均利用者数」なんかも非常に重要な指標です。

製造業のKPI設定例

製造業は経理と同様にQCD+Qの考え方でKPIを設定します。製造業におけるQCD+Qの詳細は下記をご参考ください。

Q(質):ミス・トラブル・クレーム・不良品がないこと、発注されたもの通り作れること、事故・怪我、手直し件数・回数がないまたは少ないこと、資格を取得すること

C(コスト):企業全体のコストを下げること、物・固定費・変動費・材料費・原価を下げる工夫や提案をすること・製造コスト・商品/在庫管理コスト・物流コストを下げること、担当者自身のコストを下げるため残業をしないこと

D(デリバリー):デリバリー(納品・スピード)スピードを早めること、残業時間なく早く終わらせること、納期遵守率(何日で作れたか、遅れてしまった回数、などで評価)

+Q(量):何かの作業・書類を今よりも同じ時間でたくさんできるなど生産性をあげること

※近年、十年以内で受発注ツール・商品管理ツール・在庫管理ツールなどのITツールを導入することで、これらを向上することが求められています。

システム開発のKPI設定例

システム開発も経理・製造業などと同様にQCD+Qの考え方でKPIを設定します。システム開発におけるQCD+Qの具体例を見ていきましょう。

Q(質):トラブルやクレームが少ないこと
(製造業と同じく、不良なく、発注されたもの通り質の良いものが作れるかどうかがポイント。バグ件数・発生率・バグ回収率(件数)、コストを下げたとしてもより安全に質の良いものを作るのが重要。)

C(コスト):企業全体のコストを下げる、物・固定費・変動費・材料費・原価を下げる工夫や提案をすること・製造コスト・商品/在庫管理コスト・物流コストを下げること、担当者自身のコストを下げるため残業をしないこと

D(デリバリー):デリバリー(納品・スピード)スピードを早めること、残業時間なく早く終わらせること、納期遵守率(何日で開発できたか、遅れてしまった回数、などで評価)

+Q(量):何かの作業・書類を今よりも同じ時間でたくさんできること、生産性をあげること、プロジェクトのアサイン件数及び率など

KPIを導入する際の注意点

最後にKPIを導入する際の注意点についてご紹介します。

トップダウン型で行う

個人の目標達成が必ずしも企業全体の目標達成に繋がらない可能性があるため、必ずトップダウン型で行うようにしましょう。トップダウン型とは経営目標⇒部門目標⇒チームの目標⇒個人目標のように、ゴールから逆算した形で組織の上部からKPIを設定することです。

一方で個人目標⇒チームの目標⇒部門目標⇒経営目標のように、個人目標からKPIを設定するボトムアップ型もありますが、これは個々人が自由な難易度・方向性で目標設定される可能性があるため、特に中小企業では間違った設定方法です。必ずしも個人目標が、経営目標を達成するための要因となり得ない可能性があるため、必ずゴールから逆算を行うトップダウン型でKPIを設定しましょう。

KGIを因数分解して考える

KPIを設定する時は「四則演算・因数分解」がキーワードです。達成したいことがどのような数字で構成されているか考えるのが重要です。

例えば売上高がKGIであれば、集客数×単価×決定率の掛け算になりますし、商品A+商品B+商品Cと足し算になる場合もあるでしょう。

必ず達成したい目標が何で構成されているか因数分解し、どのような数字の組み合わせ・四則演算を用いるか考えることが大切です。

変化に合わせてKPIを変更する

最初に設定したKPIを無理やり使い続けると環境に適さない可能性があり、業績・市場変化・ビジネスの方向性など変化に合わせてKPIを変更する必要があります

もちろん、KPIは絶対変えないといけない訳ではありませんし、逆に半永久的に同じKPIを使わないといけないものでもありません。KPIはその時の環境に合わせて見直しが必要です。

見直すタイミングとしては、早ければ四半期ごと(3ヶ月)が良いでしょう。ただし、業界(特に医療介護業界)によっては基本的に取り組むべきことが大きく変わらない場合があるので、3ヶ月ごとに限りません。(それでも半年に1度くらいです)

まとめ

今回はKPIを設定する大切さや、業種・職種別のKPIの目標設定例をご紹介しました。ついつい後回しにしがちなKPIですが、業績アップ・安定した経営を行うためには必要不可欠なものです。ぜひKPIについて改めて向き合い、経営に役立てましょう。

また株式会社クルージズ・テクノロジーズでは、今回のように「KPIにどのような項目を設定したらよいか分からない」とお悩みの事業者様でもすぐにお使いできるよう、1万項目の目標データから悩むことなくKPIを設定可能なサービスを提供しております。

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