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東京には「三流」がたくさんいる

野球マンガ『おおきく振りかぶって』の舞台化作品第3弾を、観に行ってきました!

これを池袋のサンシャイン劇場で観るためだけに、日帰りで東京へ行くという、弾丸スケジュール...!

でもその価値は十二分にあったぜ。


2年前にあった第1弾も最高だったんだけど(↓当時の感想ブログ。ただただ舞台最高だったということを、1,500字以上にわたって書いている)、今回も最高だった。(ちなみに第2弾もチケット買ってたんだけど、当日に台風が直撃して行けなかった😭)


ただ、きょうのnoteは舞台の内容ではなくて、一緒に舞台を観に行っていた友だちに言われた、「東京って人が集まりやすいよね」という話について。

一緒にいた友だちは、九州の大学を出て、いまは東京で建築関係の仕事をしているのですが、たとえば九州でのイメージとしては、「個展をやる=めっちゃ一流のクリエイター」という認識なのだそうです。

ただ、彼が働いている建築事務所の前にあるギャラリーでは、そんなに有名ではないクリエイターが個展を開いても、それなりに盛り上がっているとのこと。

たとえば、今回の最高だったおおきく振りかぶっての舞台にしても、ぼくと彼に関しては、原作が大好きだというだけで、本当に申し訳ないんですけど、正直、舞台に出ている俳優さんのなかで、よく知っている人はいません。

主演の西銘駿さんは、仮面ライダーゴーストの主演もされてた方だなっていうくらい。

それでも約800人の劇場は、ぼくの見る限り満員でした。


その友だちに「東京って人が集まりやすいよね」という話をしてもらって、はじめて以前聞いた「東京にはたくさん三流もいる」という言葉の意味が、じぶんなりにすごく理解が進んだ気がしました。

「東京にはたくさん三流もいる」という言葉は、1年前くらいに参加したとあるイベントで、編集者の藤本さんという方に言われたものです。


藤本さんは、そのイベントにて「東京には超一流がいるけど、三流もいる」という話をしてくださって、そのときはあんまりピンと来てませんでした。

でもいまなら、良い面も悪い面も含めて「なるほど」と少しは思えます。


まず悪いところからいくと、「三流でも生計が立つこと」です。

単純に人が多いし、所得が高いし、情報感度も高いので、クリエイター、というか娯楽に対してお金を払う土壌が、他の県に比べると大いにあります。

だから、一流の供給だけではまかないきれなくて、三流の供給にも需要が発生するのです。


ただ、それって悪いところばっかりじゃなくて、良いところもあります。

なぜなら、どんな超一流クリエイターだって、最初は三流だからです。

つまり、東京の良いところは「クリエイターが育ちやすい環境でもあること」。

最初は三流で、他の地域だったら絶対に集客できなくて辞めちゃわないといけないところが、東京だと「応援」の意味もこめてライブや舞台に足を運んでくれたり、グッズを買ってくれたりする人がたくさんいるので、そうやって経験を積むことで、力をつけることができます。

念の為に断っておくと、おおきく振りかぶってに出演されている俳優のみなさんが三流ということではまったくなくて、ぼくたちが単にこの分野(=舞台俳優)に無知なのもあったし、舞台は最高でした。

ただ同時に、きのうのサンシャイン劇場での盛り上がりを、ぼくの地元の兵庫県のどこかの劇場で再現することは、たぶん難しいかなとも思います。

そういう意味で、「東京にはたくさん三流がいる」というのは、本当に良し悪しな環境ですね。


では、これを今度はこの環境をクリエイターのみなさんに「お金を払う人」と、「クリエイター自身」に分けて、どうしていくべきか、ということも整理しておこうと思います。

まず「お金を払う人」は、ここでは単にお客さんとして劇場に足を運ぶだけではなくて、「ビジネスパートナーとして、仕事の発注をする人」も含みます。

そのうえで、「お金を払う人」が気をつけるべきなのは、玉石混交のクリエイター in 東京のなかで、本当に腕のある or 本当に見込みのあるクリエイターの方に、お金を払うという「見極め」です。

ここまで書いたように、東京だと三流のクリエイターでも食いつなぐことができるので、「東京で10年デザイナーとして活動してます」とか「個展を5回開催しました」とかって実績は、あんまり意味を持ちません。

あとちゃんと見込みのある若手クリエイターの方にお金を流さないと、その方の将来を奪ってしまうことだってありえます。

ちゃんとその方の作品を見て、実力を見極められるような審美眼が、お金を払う人たちには、求められています。


そして、クリエイターの方々は、「それなりに仕事を回せているからって慢心するのではなく、(一流を目指して上京した方は)常に一流を目指し続ける気概を持つこと」が大事です。

東京には人もたくさんいるし、お金もたくさんあるので、「ご飯を食べていくこと」自体は、それほど難しくないと言えます。

「じぶんはちゃんと生計を立てられているからそれでいいや」と思ってしまうと、たとえば他の地域だったらそのまま堕落して生活できなくなってしまうところが、東京だと「それなり」の気持ちや能力でも「それなり」に仕事が回ってしまうときがあります。

仮に一流を目指すクリエイターの方であれば、そういった「とりあえず生活できること」の状態で満足せずに、東京にこれまたたくさんいる「超一流」の人たちと一緒に仕事ができるように、常にじぶんを磨き続けることが求められます。


ということで、「東京には三流がたくさんいる」という話でした。

文化にお金が流れる文化自体はとても素晴らしいなと、それはぼくも東京に来て強く思うので、お金を払う側も払ってもらう側も、その環境ができる限り良い方向へ流れるようにやっていきたいですよね。

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