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「伝統」という名の重圧

10日ほど前の野球イベントで巨人愛をプレゼンするにあたり、雑誌をいくつか買って読んでいました。

そのなかのひとつに、ベースボール・マガジン社の優勝記念号もあったんですが、原監督特集記事が、なかなか踏み込んだことが書かれていたのでメモ。


ちなみにいまから紹介する特集記事、読んでる途中で筆者が鷲田 康さんだということに気づいて、ここまで踏み込んだ内容を書かれてるのは、やはりすごい方だなと思うなど。


本題の記事の内容なんですが、書き出しからかなりインパクトありました。

原監督には悔恨がある。
「オレはまだやりたかった。あと1年でいいから、監督を続けたかった。しかし、それは難しかった」


原さんは今年で3回目の監督就任なんですが、前回は2015年のシーズン終了時に辞めてます。

てっきり2位で優勝できなかったから、責任をとって辞めたのかと思ってたら、原さん自身は続けたかったのか!といういまさらながらの驚き。


申し遅れましたが、この特集記事のタイトルは『3度目の挑戦にある"2つの使命"』で、結論から言うと、原さんがもう1年続けたかった理由は、じっくりと後継者を育てたかったからです。

「長嶋(茂雄)さんが僕にやってくれたように、1年間、じっくり時間をかけて後継者を育てて、その人間にバトンを渡したい。そのために、あと1年でいいから、監督を続けたかった」


しかし、親会社・読売新聞グループ本社と球団の意向としては、『チームの若返りを図りたい』ということで、原さんの希望はついに通りませんでした。

当時のGM堤さんに、2016年の組閣名簿まで提出して、続投への意欲をアピールしていたのに!


ちなみに、記事によると、この幻の2016年陣容にはすでに、今季からコーチとして入閣した宮本さんや元木さんの名前も入っていたそうです。

組閣時には『タレントコーチ陣』などと呼ばれて、注目を集めた2019年の巨人のコーチ陣容ですが、ぼくの知っている限り、原さんの口からは彼らの起用の意図について、そこまで多くは語られていない印象です。

今回の『3度目の挑戦にある"2つの使命"』というメインテーマからは少しズレるんですが、こちらも引き続き、勝手に考察していきたい所存。


ということで、2つの使命の1つ目は言わずもがな『日本一の奪還』です。

そして2つ目が冒頭にもあったように『後継者の育成』で、これは2度目の監督時代はすこぶる中途半端な形で由伸に引き渡してしまって、めちゃくちゃ悔しさと申し訳無さでいっぱいだと思うので、今回の『後継者の育成』には、並々ならぬ決意があるのではないかと思います。


そういった4年前からの背景を踏まえると、この度の阿部慎之助の引退も、また少し解像度が上がった状態で見えてきます。

まあ、この感じでいくと、阿部が原さんの次に監督をやることは既定路線でしょう。


いろんなところで阿部自身が発言していますが、阿部は元々あと2年、少なくともあと1年は現役でやるつもりでした。

リーグ優勝後に、原さんと2人で話すまでは。


阿部は度々『原監督が自分以上に自分のことを考えてくれていた』という旨のコメントをしています。

原さんにとって、阿倍のことはもちろん、『常に強くあらねばならない』巨人軍のためにも、阿部はこのタイミングで現役を引退して、コーチ(監督)経験を積むことが最善だという判断なのだと思います。


嘘か真か、原さんが1回目の監督を辞めたのは、フロントとの確執が原因のひとつだと言われています。

だから2回目と3回目の監督のオファー、どちらも『自分勝手すぎるでしょ!』と断っても全然不思議じゃないのに、『自分が巨人軍の力になれるなら』ということで、何度もユニフォームに袖を通す。

そういう意味で、原さんの運命は、常にジャイアンツのためにあるのだなと、今回の一連の話を通して、改めて感じました。


このまま順当に行けば(それが行かないのが世の中というものだけど)、たぶん原さんはあと2年監督をやって、その後阿部が引き継ぐという流れです。

「年齢的なものもあるし、今回は監督を長くやるつもりはない」と原は言う。だからこそ3年間という任期の間で自らの後を継ぎ、巨人というチームを強く、誇りある組織に作り上げられる指導者を育て、バトンを渡したいという思いは強い。


いわゆる『後継者』の候補は、阿部以外にも松井や桑田、上原(あと由伸)など、いくつかの選択肢はあったと思いますが、とりあえず直近の後継者候補は、阿部に固まりました。

原さんもそのつもりで、シーズン中から接していたようです。

3月に阿部と話したときに「代打の出番が来るまで監督になったつもりで試合を見るようにしなさい」と伝えた。もちろん戦力としても大きな存在感を感じるが、それ以上にその視線に強い意志を感じているのも確かだ。


なんかこう、原さんだったり阿部だったり坂本だったりを見ていると、背負った人にしか分からない『伝統という名の重圧』って、どれほどのものなんだろうと想像することがあります。

最近の天皇陛下のパレードなんかを見ていても、同じことを考えました。


大変そうだな―と思いつつ、でも背負いたくて背負えるものでもないから、少しうらやましくもあります。

なにはともあれ、原さんまだ2つの使命まだどちらも完遂してないので、(おそらく)あと2年以内での日本一奪還と後継者育成、よろしくお願いします。


ということで普段、野球の情報は、観戦と新聞、あとたまにweb記事ってポートフォリオなんですが、やっぱり雑誌っていうある程度クローズドな媒体だと、踏み込んだ内容も書かれてるので、もう少し能動的に雑誌と、あと書籍の情報も取りにいきたいなーって思いました。




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