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「図案集 / Patterns」について

本写真シリーズ「図案集 / Patterns」は、2023年8月12日から9月12日の30日間にわたり、毎日5枚ずつ投稿し続けた写真からなる(手違いで8月25日の記録が消えている)。タイトルの通り、図案としての写真を集めたものである。

「図=パターン」は、いたるところに見出し得る。典型的には建築物のように、あらかじめある種の意図が込められたパターンが存在する。本シリーズでは、できる限りそうした意図をappropriateすることをしないよう心がけてきた。

とはいえパターンとは、原理的にはイメージの制作プロセスにおいてその都度現出するものである。その意味では、意図されたパターンを持つ対象を撮影したとしても、結果としての写真はもともとの意図とはずれたものとなるはずである。

とすると、その都度現出するはずのパターンとは、撮影者によるフレーミングが作り出すものなのだろうか。もしそうであれば、写真とはデザインのappropriationに過ぎないということになってしまう。それが人工物であっても自然物であっても。

ここでは、そうしたことをいいたいのではない。パターンがその都度現出するとは、フレーミングによる効果ではなく、対象そのものに潜勢する力がイメージの制作プロセスにおいてパターンとして生成することをいう。制作者はその媒介に過ぎない。

一方で、潜勢力が生成した結果がパターンをなすことは、自明ではない。すべてのイメージは生成したものである。そうであってみれば、周知の通りパターンでないイメージはいくらでもある。むしろ、普通にはパターンとは感じられないものがほとんどである。

ここでイメージをパターンとしてプレゼンテーションしているのは、単に制作者の力量不足によるところでもある。しかし、上記したことを端的に示すには、まずは「図案集」としてできるだけ無味乾燥に提示するというプロセスを踏む必要があった。

また、制作方法として毎日5枚ずつを30日間投稿し続けるという制約をもうけることで、制作者のこの試みへの飽き=マンネリを引き出した。そのことで、むしろイメージの潜勢力を、意図のappropriationではない形で生成するドキュメンタリー的効果を期待した。

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