
受動型から先導型カスタマーサクセスへの実践術 本当のカスタマーサクセスは「コトバ」にこだわる
こんにちは!
カミナシのカスタマーサクセス部で、Mid-Market領域のマネージャーをしている雁部(@kentarokaribe)です。
新卒から飛び込んだカスタマーサクセスの世界も、気づけば8年目が終わろうとしています。 挑戦と失敗を重ねながら、「カスタマーサクセスとは何か」を自分なりに問い続けてきました。
顧客に本当に価値を届けるためにはどうすればいいのか?
信頼を築くとはどういうことなのか?
その答えを求める中で気づいたのは、すべての鍵を握るのは「コトバ」だということ。
言葉ひとつで信頼は深まり、逆に言葉ひとつでその関係は壊れる。 日々の言葉選びが、顧客との未来を決める。そう確信しています。
みなさんはこんな経験をしたことはありませんか? 顧客から「実はこれが課題だったんです」と言われ、「もっと早く気づいていれば、違う結果になったかもしれない」と感じたこと。
カスタマーサクセスにおいて、私たちが本当に目指すべき姿は、「顧客の一歩先を行く」存在であること。顧客に指摘される前に課題を見つけ、解決への道筋を提案できる、いわば「先導型」のカスタマーサクセスです。
でも、それを実現するにはどうすればいいのでしょうか? 資料のアップデートやプロダクトの改善も確かに重要です。でも、最も基本的で、なおかつ見落とされがちなものがあると私は考えています――それが「コトバ」です。
顧客に心から共感される提案や、信頼を築くコミュニケーション。それらの出発点は、日々の「言葉選び」にあります。
具体的なコトバの変革例
では、具体的にどのように「コトバ」を変えれば、受動型から先導型へとシフトできるのでしょうか? ここでは、日々の業務で使える3つのコトバの変革ポイントを紹介します。
1.顧客と同じ表現を使う
顧客が使う言葉には、その人の価値観や感じている課題が凝縮されています。 その言葉をそのまま返すことは、相手の気持ちをそのまま受け取る行為。 それは、顧客に「私たちは同じ視点で話している」という安心感を与えます。
具体的には、次のような場面が考えられます:
顧客が「成功」と言うなら、こちらも「成功」と表現する
顧客が「成果」ではなく「成功」を使うとき、それは個人的な達成感を重視している可能性があります。この場合、こちらが「成果」と言い換えてしまうと、微妙なすれ違いが生じます。顧客が「悩み」と言うなら、こちらも「悩み」を使う
「課題」という言葉がビジネスライクすぎて、顧客が距離を感じることがあります。「悩み」という日常的な表現を使うことで、より親しみを感じてもらえるでしょう。顧客が「遅れている」と言うなら、「遅れている」と認める
顧客が「遅れている」と明確に感じているとき、「まだ間に合いますよ」と楽観的に返すのではなく、「遅れている状況をどう取り戻すか、一緒に考えましょう」と、同じ温度感で話すことが大切です。
言葉を揃えることは、単に「表面的に同意する」ということではありません。それは、相手の世界観や感情に深く寄り添う姿勢を示す行為です。 これにより、顧客は「自分は理解されている」「この人なら信頼できる」と感じ、より深い対話が生まれます。
次回の顧客との会話で、相手が使う言葉に耳を傾け、そのまま返してみてください。きっと、いつもと違う反応が返ってくるはずです。
2.顧客の行動を促進する
カスタマーサクセスの本質は、顧客が「次の一歩」を踏み出せるようサポートすることにあります。しかし、顧客が現状に悩んでいるとき、ただ共感するだけでは足りません。行動を促すためには、私たちの「コトバ」がカギを握っています。
問題よりも未来を語る
顧客が直面する課題を聞くとき、ついその問題を繰り返し指摘したり、課題解決の難しさを強調してしまうことがあります。しかし、それでは顧客の行動は停滞してしまいます。 代わりに、「未来」を示す言葉を選びましょう。顧客が「今すぐやってみよう」と思える状況を作ることが大切です。
例:
・NG:「やるべきことが多すぎますね。」
・OK:「まずはここから始めると、スムーズに進むと思います!」
選択肢を絞り、行動しやすくする
顧客が「何をすればいいのかわからない」と感じている場合、すべての選択肢を一度に提示すると、かえって混乱を招くことがあります。このようなときは、次のステップを明確に示すことで、顧客の行動を促進できます。
例:
・顧客:「どれから手をつければいいのかわからなくて…」
・回答:「一番効果が出やすいのはこの方法です。ここから始めてみましょう。」
自信を与える言葉を選ぶ
顧客が行動を躊躇する理由の多くは、「できるかわからない」「失敗が怖い」という不安です。そんなときは、顧客が過去に達成した成功や、今の状況で活用できるリソースに目を向けさせる言葉が有効です。顧客に「自分はできる」と感じてもらうことで、自ら行動を起こす力を引き出せます。
例:
・「以前も同じような状況で成功されていましたよね。今回もそれが活かせると思います。」
・「ここまで進められたこと自体が素晴らしいです。次もきっとできるはずです。」
行動が生む変化を強調する
顧客は「行動した先に何があるか」を明確にイメージできると、行動に移しやすくなります。ですから、「行動が生む具体的な成果」をコトバで描きましょう。行動の先にある明るい未来を見せることが、顧客のモチベーションを引き出す原動力になります。
例:
・「このステップを完了すれば、業務時間が10%削減できる可能性があります。」
・「この取り組みを進めることで、売上アップにつながる実例もあります。」
3.信頼関係を深める
カスタマーサクセスの本質は、顧客との信頼関係を築き、それを継続的に深めていくことにあります。信頼とは、一夜にして築かれるものではありません。日々のコミュニケーションの中で、顧客が「この人なら信頼できる」と感じる瞬間の積み重ねが大切です。
顧客の感情に寄り添う
顧客が課題や悩みを共有してくれるとき、それは信頼を築くチャンスです。しかし、その感情を軽視したり表面的に受け止めると、関係が浅いままで終わってしまいます。顧客の感情に寄り添う言葉を選び、共感を示しましょう。顧客が「自分の感情がちゃんと理解されている」と感じることで、関係が深まります。
例
・NG:「それはよくある問題ですね。」
・OK:「それは大変でしたね。その状況で頑張られているのが本当にすごいです。」
対等なパートナーシップを意識する
信頼関係は、一方が指導する立場で、もう一方が受け身になる関係では生まれません。顧客との対話を「共に課題を乗り越えるパートナー」として進めることが大切です。「一緒に」という言葉を使うことで、顧客は「一人で頑張らなくていいんだ」と感じ、安心して次のステップに進むことができます。
例:
・顧客:「この方法、本当にうまくいくでしょうか?」
・回答:「その不安、よくわかります。一緒にリスクを確認しながら進めましょう。」
小さな成功を共有し、賞賛する
信頼関係を深めるもう一つのポイントは、顧客の努力や成功をしっかり評価し、賞賛することです。たとえ小さな成果でも、それを言葉にして伝えることで、顧客は「自分が認められている」と感じます。こうした言葉が、顧客のモチベーションを高め、関係性をより強固にします。
例:
・「このタスクを完了されたことで、次のプロジェクトがスムーズに進められるようになりますね。素晴らしいです!」
・「今回の取り組み、本当に効果的でしたね。ご一緒に進められて嬉しいです。」
深い信頼関係を築くことで、顧客はさらに課題を共有しやすくなり、新しい提案も受け入れやすくなります。それは、顧客だけでなく、私たち自身にとっても大きな喜びとやりがいをもたらします。
次の顧客との会話で、相手の感情に寄り添う言葉や小さな成功を賞賛する姿勢を意識してみてください。それが信頼を深める第一歩です。
次の一歩を踏み出すために
ここまで読んでくださってありがとうございます。信頼関係を深め、顧客の行動を促進するために、あなたが今日から取り組める3つのシンプルな行動を提案します!
顧客の言葉を意識的に使う
顧客が話す言葉や表現をそのまま使いながら会話を進めてみてください。「理解されている」という安心感が生まれます。小さな成功を言葉にする
進捗や成果があったときは必ず褒める。「ここまで進められたのは素晴らしいですね」という一言が、顧客の次の行動を後押しします。未来志向の提案をする
課題を聞いたら、解決策だけでなく次の一手を具体的に提案する。「まずこの取り組みを始めてみましょう」といったポジティブな言葉で行動を促しましょう。
小さな工夫を積み重ねることで、顧客との関係が大きく変わります。次の会話からぜひ試してみてください!
終わりに
言葉一つで顧客との信頼を築き、成果を引き出すこのスキルは、どのビジネスシーンでも求められる重要な能力です。カスタマーサクセスの領域で、こうしたスキルを磨き、自分自身の成長に繋げてみませんか?
カミナシのカスタマーサクセスチームでは、顧客と深い信頼を築き、価値を最大化することを目指す仲間を探しています。もしこの記事が少しでも共感を呼び、挑戦してみたいと思った方は、ぜひ私たちと一緒に働きましょう!
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