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Open InnovationにはEntrepreneurshipが重要なのでは?🤔

曲がりなりにも大企業とスタートアップの連携施策の間を取り持ち、幸運なことにたくさんのことをこれまで勉強させて頂いてきました。皆様に恩返しの意味も込めて、自分がOpen Innovationについて学んだこと、自分が率直に普段考えていることを共有させて頂きたいという思いで筆を取りました。この記事が誰かの目に止まり、議論がわき起こり、Open Innovationの活性化に少しでも貢献できればこの上なき幸せです。どしどしネタにしてください。今後も定期的に記事を書いていきたいと思いますのでぜひ読んで反応を頂けると嬉しいです。率直なフィードバックもお待ちしてます!(いい感じにフックのあるタイトルつけたかったんですが思いつかず自分の心を声をそのままタイトルにしました 笑)

まず、一回目なのでOpen Innovationの細かい手法論でなくマインドセットで最近個人的に思うようになってきたことに触れさせてください。伝えたいメッセージは「Open Innovationに関わる方は皆さんEntrepreneurshipを持ちましょう。」です。今回は大企業の方向けです。とりあえず1枚ペラにまとめてみました。

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「Open Innovation」とググると大量にHOW論が出てくるのですが、意外とWHY論が語られる場はオンライン/オフライン問わず少ないです。なぜ経営手法としてのOpen Innovationに業界問わず注目が集まっているのか、なぜ「今」Open Innovationが必要なのか、なぜ大企業や中小企業、研究機関など数多いる連携先の中からあえてスタートアップと組むのか等々、全て心から腑に落ちて活動を進めていらっしゃる方は実はそこまで多くないのでは?と率直に感じています。

上の疑問にはまた別の記事にまとめていきたいと思うのですが、日本企業だけでなく海外企業とも話ができる今の私の環境で様々な会話のアプローチを試した中で一つ現時点で確信していることがあります。それはどこまでAim HighできるかがOpen Innovationの成果の大きさに直結するということです。スライドにある通り、Open Innovationで効果的に適切な外部リソースを探索するためには1) WANT:自社が達成したいことと 2) Can:自社でできることを明確に把握し、その差分から3) Will:外部に求めることの解像度を高めるという工程が必要です。非常にシンプルな工程なのですが、半数以上の企業が1と2の順番を逆に進めてしまうことで早くもここで悩みの深淵に落ち硬直します。すなわち2) Can:自社でできることから1) Want:自社が達成したいことを導き出すという逆工程を踏むことで1と2の差分がほとんどない=外部に求めることがないという状況に陥ります。これがNot Invented Here (NIH)症候群と呼ばれる状態を引き起こします。Open Innvationを効果的に活用している企業は良い意味で「これcustomerが求めていることなのだから絶対やりたい!!!(自社でできるかすべきかは一旦置いておいて)」というWantが社内の声としてしっかり上がっています。重要なのはカッコ書きの部分だということはご明察の通りです。

日本企業は長らく「情報収集を目的にシリコンバレーなどのスタートアップ集積地に人を張っているが、情報収集するだけで何もしない」と揶揄されることが決して少なくなく、自分自身も悔しい思いをしてきました。では他国企業と日本企業はなぜ違うのか?他国企業は情報収集しないのか?結論、Open Innovationに成功している他国企業は情報収集はWantを構築する目的で行っている、言い換えるとAim Higherするために絶えず情報収集していることが感覚値として見えてきました。スタートアップのような最新トレンド最前線で情報に触れることで絶えずcustomerの消費志向の変化を見逃さない、最新テクノロジーによる市場競争の変化を見逃さない。そしてそこから構築した1) Wantから2) Canを差し引いた3) Willを持つスタートアップ企業と素早く取り組みに繋げる。情報収集が明確な目的の中に据えられているか否かは大きな違いであることを痛感しました。

Open Innovation志向の一つ事例として個人的に挙げておきたいのがGoogleです。Googleの10x(10%の規模ではなく10倍の改善)の思想は聞いた頃ありますが、10xの思想はまさに(自社でできるかは一旦置いておいて)やりたいこと/自分たちがすべきことから始まり、できる状態になるようにM&Aなども活用して自らの力で実現へ導いていくという点においてOpen Innovationの根底を抑えた好事例だと思います。彼らは当然ながら絶えず最前線で情報収集もしています。

実はしばらくは「Open Innovationには経営陣のコミットが必要不可欠である」とよく言われている「必要不可欠」の部分が理由がいまいち腑に落ちていなかったのですが、上記を踏まえると腑に落ちました。荒唐無稽と思われるような(自社でできるかすべきかは一旦置いておいて)アイデアを最前線からの情報収集を基に構築して発表し、実際に機動力高く社内を動かせられるのは実質経営陣しかいないからです。現場から現場へ(自社でできるかすべきかは一旦置いておいて)アイデアを出し、実際に動かすためには非常に大きな時間と労力が必要になることは想像に難くありません。

自分自身、新卒で楽天に入社しているのですが当時の三木谷さんのリーダーシップはこの色が非常に強かったと感じます。まずやりたいこと/すべきことが三木谷さん起点で始まり、チームがGet Things Doneの精神で必要に応じて外部の力も借りながら必ずそれを実現する。楽天で学んだ一番大きなことは「都度立ち止まってMake right decisionsするではなく、Make the decisions rightのようがよっぽど重要である」ということでした。

じゃあ現場レベルだと(自社でできるかすべきかは一旦置いておいて)アイデアを出さなくても良いのかというとそういう訳ではありません。個人に依存せず組織の一人でも多くの人がそのアイデアを出す必要があります(長くなるのでその辺の詳細は割愛)。そこで必要なのが「Open Innovationに関わる方は皆さん一人残らずEntrepreneurship持ちましょう。」です(ようやく!!!)。

何もない状態で、ただ実現したいことから始まり、自分だけではとても実現できないことを理解し、人の力を借りながら、時に人に力を貸しながら、実現したいことを形にしていくOpen Innovationの一連の流れ。これってEntrepreneurそのものなんだと思うんです。私のお会いする起業家/事業家の皆さんに共通していることは「自分一人では自分が実現したいことを成し遂げられないこと」を理解しています。誰の助けも借りず成し遂げられることはきっと、実現したいことが小さすぎるか、自分の力量を正しく理解していないだけです。

Open Innovationに関わる方、ぜひ目一杯Aim Highしてください。いや、一緒にAim Highしていきましょう。全力で外の力を借りていきましょう、外に力を貸していきましょう。その心持ちこそがたくさんの夢の実現に繋がると心から信じています。 その手段の一つとしてOpen Innovationが機能するのであれば、私はそのプロとして皆さんをサポートさせて頂きます。

マインドセットだけでなんとかなるわ!!!と言いたいわけではなく、足元のWantを構築するための方法論に関しての記事も別途書く予定なので、ぜひ引き続き読んで頂けると嬉しいです。かなり自分の感情も含んでしまいましたが第一回はAim Higher!ということで〆させて頂きます。
Open Innovation関連のご相談はいつでも承っております。お気軽にご連絡くださいませ。

中井健太 / kenta@pnptc.com / Twitter: @akinai_frog

余談ですが私の全てのOpen Innovation関連の勉強の始まりは星野達也さんの『オープンイノベーションの教科書』からです。Want, Can, Willのフレームワークも根本は本著から着想を得て自分なりに再構築しました。2015年に出版された本ですがいまだ情報古びれず、バイブルです。星野さん、実際にお会いしたはことないのですが、いつかお会いしてみたいなぁ…

*本記事は2020年9月11日にMediumに投稿した記事を転記したものです

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