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総合型地域スポーツクラブの成長エンジン

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしています、上杉健太です。
今回は、総合型地域スポーツクラブが成長していく上で必要なエンジンについてお話したいと思います。

総合型地域スポーツクラブには『成長』が必要

そもそもの、総合型地域スポーツクラブは成長しなきゃいけないもの?という疑問からお答えしておこうと思います。

総合型地域スポーツクラブは、基本的には生涯スポーツの実現を目指したクラブであると私は思っています。その中身は、多種目・多世代・多目的といったように、多様性が含まれているわけですが、いずれも、色々なカタチで生涯スポーツに取り組みながら生きていける社会を実現するという大きな目的があると思います。
もちろん、全ての総合型地域スポーツクラブが、そのクラブで生涯スポーツをしていける環境を整えられているわけではありません。しかし、そのクラブで活動をしている子どもや青年、中高年のかたが、仮に歳を取ってクラブを退会した後でも、何らかのカタチでスポーツを続けていけるような願いを持っていると思います。
「スポーツは高校まででいい!」という思想の総合型地域スポーツクラブは、基本的にはないと思います。

この前提に立つと、生涯スポーツを実現しようとする総合型地域スポーツクラブが短命で終わってしまうというのはおかしいという話になります。クラブも、せめて人の人生と同じくらいの時間は生き続けなければなりません。なので総合型地域スポーツクラブの経営においては、持続可能性を高く持つことが必須だと思っています。

そして、組織が長期運営をしていく為には、成長を目指すことが必要になることが多いです。組織も商品もサービスも、基本的にはいずれ衰退するものだからですね。
プロダクトライフサイクルともいいますね。

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総合型地域スポーツクラブの場合だと、複数の種目やクラスがありますが、成長期にあるものもあれば、衰退期に入ったものもあるという混沌とした状態が常に続くような形になっていくと思います。
そこで成長を目指さないと、いずれは順番に衰退しきっていくことになってしまうということですね。
そうならないように全体としての成長を続けていく為には、新規の種目やクラスを作ったり、事業を立ち上げたり、新しいコーチを入れたり、新しいことをやり続けていくことが必要なのだと思います。
私は毎年自らがコーチとなって、毎年1つは新しい活動を作り続けてきました。

何が成長の原動力となるのか

成長が必要だというのは、おそらく多くの人が分かってると思うんですね。でも、成長を続けるのって、結構難しかったりすると思います。成長にはどうしてもエネルギーが必要で、エネルギーは消費されるものなので、生み出し続けないといけないからですね。

そこで必要となるのが『エンジン』というわけです。

『エンジン』とは、一般的には車などの大きなものを動かす動力源をイメージするかと思いますが、ここでは、”エネルギーを継続的に生み出すもの”と思ってください。

では総合型地域スポーツクラブの成長にとって、そのエンジンにあたるものは何か。
それは、『意思×プレイヤー×仕組み』だと思っています。
一つずつ説明してみます。

①意思
意思は、ビジョンや理念だと思ってください。何を目指すにも、ゴールが定まっていないことには歩き出せません。「あそこへ向かって歩き出そう」という意思が成長においても必要で、それが目標とかプランとかまで落とし込まれているといいですよね。

総合型地域スポーツクラブの場合は、会長(理事長)やクラブマネジャーなど、経営責任を負っているような人が立場的にはこの意思を持っている人だと意思決定のプロセスなどがスムーズだとは思いますが、その限りではなくてもできなくはないです。
実際に私は、代表権がなく、事務局のトップでもない立場でしたが、誰よりも意思を持って動き、クラブに成長をもたらしてきたと思っています。

②プレイヤー
意思があっても、実際に動ける人がいないと物事は進みません。ゴールには一歩も近づけません。もちろん、成長なんてあり得ません。計画だけ立派で、誰も動かないという状態ですね。なので、意思と同じか、それ以上に大切なのがプレイヤーです。実際に動く人です。
意思を持っている人とプレイヤーは、最初は同じ人が理想だと思います。そうすると意思と行動が完全に一致しますし、コミュニケーションも省略できるので、速さと正確性が確実に上がります。
もちろん、意思を持つ人とプレイヤーが必ずしも同じでなくても大丈夫ですが、その場合は意思の人とプレイヤーが何も言わずともお互いが考えていることが分かるレベルにまで相互理解を高める必要があると思います。そうでないと、気が付いたらお互いがバラバラのことをやってしまっていて、意思と行動にズレが生じ、効果的な成長を生み出せなくなるかもしれないからです。

総合型地域スポーツクラブの場合は、コーチがプレイヤー(※スポーツをプレイする人という意味ではありません)となる場合が多いので、コーチ自身が意思を持って自ら動くか、理事やマネジャーが意思を持ってコーチをするかすると、スムーズに成長する事業を作り出しやすいと思います。

③仕組み
意思があってプレイヤーがいれば、成長は生み出せると思います。しかし、それが継続的にとれる動きとなるかどうかは、実は仕組みにかかっていると思います。
仕組みと言うと抽象的かもしれませんが、組織のカタチであるとか、お金の動かし方や規約・定款などのルール、組織文化などのことです。
最初の0→1の成長はプレイヤーが汗をかいて作り出し、それを効率的に運営して1→2に育てたり、2→2に維持したり、あるいは違う事業に横展開して新しいプレイヤーを生み出したりしていきます。
仕組みは継続的な成長を生み出す為に必須です。

総合型地域スポーツクラブの場合、重要な仕組みとして『適切なコストと会費の金額と集金方法の設定』が挙げられると思います。
仮に十分な会員が集まるクラスを作り上げても、それを運営するプレイヤーの報酬が低すぎたら継続は危なくなりますし、会員から集める会費額が低すぎても同様に十分な運営コストをかけられずに、組織に負担をかけてしまいます。集金方法についても、運営側も会員側も無理なく、負担が少ない形で、しかも集金確率が高い方法を確立しておく必要があります。
また、コンセプト(文化)を確立しておくことも大切です。新しい活動を立ち上げると、集まったメンバーの技術レベルや志向によって方向性は大きくぶれます。それをプレイヤー(マネジャーやコーチ)は調整をしながら最適解を見つけ、まとめ上げたり、クラスを分けたりしていくことになります。そうして「このクラスはこういうクラス」というのを設定していけば、プレイヤー(コーチ)が代わった後も、続けていけます。

最後に

成長を目指している総合型地域スポーツクラブは、この成長エンジンが整っているか、チェックしてみるといいと思います。


『意思×プレイヤー×仕組み』
・ビジョンや理念を語れる人はいるか。または組織に染みついているか
・それを体現するべく自ら動ける人がいるか
・プレイヤーの行動を支え、継続させていける仕組みができているか

小さな組織の場合、このあたりは一人のキーマンがやっちゃった方がいいと思いますが、もし分担するのならコミュニケーションは本当に取りすぎるくらいに取り続けた方がいいと思います。

また、スキルが高かったり、コミュニケーション能力が高くて組織が重宝するような人材でも、意思があるかどうかは別だったりするので、『意思決定をしなければならないポジション』に置く人材はしっかり見極めた方がいいと思います。
その点でいうと、安易に年功序列を採用しようとしている組織があるなら、ぜひ気を付けていただきたいです。
あなたの組織で本当に『意思』を持っているのは誰ですか。

仕組みは、最初から整っている必要はありませんが、当たり前ですが意思とプレイヤーは絶対に必要です。
『意思×プレイヤー×仕組み』をちゃんと持っていれば、成長は続けていけると思いますので、ぜひどれも軽視することなく大切にしてあげてください。
私がマネジメントしてきたたかぎスポーツクラブでは、意思を持つプレイヤーがどんどん現れて、成長を続けています。

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今回の話が、どなたかのほんの少しの役にでも立てれば幸いです。
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成長を続ける総合型地域スポーツクラブを増やしていきましょう!

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5