新しい一歩の踏み出し方

 どうも!上杉健太です。
 埼玉県富士見市の総合型地域スポーツクラブの代表をやったり、スポーツ推進審議会委員をやったりしながら、生涯スポーツ社会の実現を目指して活動しています。総合型地域スポーツクラブのキャリア10年目が終わろうとしています!(※よく10年間生き延びた!笑)

 さて今日は、『新しい一歩の踏み出し方』というテーマでお話したいと思います。Facebookのタイムラインに、「あなたの○○年前はこんな投稿をしてましたよ~」みたいなのがたまに出てくるじゃないですか?先日、10年前の僕の投稿をFacebookが引っ張り出してくれて、当時のことを思い出したんですね。ちょうどその時は総合型地域スポーツクラブのお仕事を始める準備段階の時で、総合型地域スポーツクラブを訪ねて勉強させてもらっていました。そう思うと、僕は何かに挑戦をしたり、新しい仕事をしようとする時に、やってきたことがあって、今日はそれを共有しておきたいなと思います。新しいことをやろうとしているんだけど一歩が踏み出せない人とか、未知の領域の仕事を振られて困っている人などの参考になれば幸いです。

 特に今日は、

  1. 『モード』に入れる

  2. 退路を断つ

  3. 自分ができることに集中する

の3つのテーマに絞ってお話しようと思います。


『モード』に入れる

 10年前、総合型地域スポーツクラブを仕事としてやることにした僕は、色々な総合型地域スポーツクラブを訪ねてお話を聞きました。この時の僕の目的は、もちろん知識を仕入れさせていただくというのが主ではあったのですが、実は裏テーマ(目的)がありました。それが、『”総合型地域スポーツクラブモード”に入れる』です。
 なんだか、「モード」「モード」と連呼していると、「モードって何だっけ?」という謎の現象が起こりそうな感じになってきたので、一応『モード』を簡単に定義づけしておきましょうか(笑)

1.流行(の形式)。
 「―雑誌」
▷ フランス mode
2.方法・様式。特に機械の運転方式。
 「標準―」

Oxford Languagesより

 僕が今回使っている『モード』は上記の2番目の意味ですね。方法とか様式。例で「標準モード」と紹介されていますが、まさにそれです。僕はそれまで、大学卒業後に就職して働いていた会社では、小学生向けの教材開発をやったり、それを売る仕事をしたりしていました。その時の僕は『サラリーマンモード』だったり、『編集者モード』だったりしたと思います。また、大学生の頃からずっと趣味としてフットサルクラブの運営をしてきましたが、その僕は『スポーツ愛好家モード』だったと思います。プロではない(仕事にはしていない)という意味で。
 それを、『総合型地域スポーツクラブモード』、あるいは、『プロスポーツモード』(※いわゆるプロスポーツ選手ではなく)、『クラブマネジャーモード』に切り替える作業。これこそが、僕が総合型地域スポーツクラブを訪ねまくっていた真の目的でした。

 この『モード』に入れるという作業は、実に効果的なんです。余計なことを考えないで済むようになるからですね。例えば洗濯機を使う時に、内の場合は部屋干しモードとかがあるわけですが、そうしたら自動でちょっとだけエアジェット機能で乾かした上で作業を終了してくれるんですね。急に、「あれ?今日は乾燥させた方がいいんでしたっけ?」とか迷って作業を変えたりしません。それが『モード』のいいところです。そうと決めたらそうやるんです。いちいち、「本当にこれで良かったんだろうか?」などと迷って後ろを振り返っていたら、本当にやりたいことに集中できませんから、『○○モード』に入れるという作業は最初にやると絶対にいいと思っています。

 問題はそのやり方ですよね。仮に『○○モード』に入れるのが効果的だと頭では分かっても、そうなれないのが人情。実際に僕たちの人生や生活は、『○○モード』に特化できるほどシンプルに成り立っていませんしね。
 でも大丈夫です。『○○モード』の入れ方は結構簡単です。とにかくその『○○』の情報に触れまくるだけでOKなんです。僕の場合だと、総合型地域スポーツクラブモードに入れる為に、総合型地域スポーツクラブの情報に触れまくりました。ネットで調べたり、本を読んだり、実際にやっている人に会いに行ったり、大学時代に学んだことを引っ張り出してきたり、関連する資格を取得したり。こういうことをやりまくるだけで、結構簡単に『総合型地域スポーツクラブモード』に入れました。要するに自分の周りにそういうもの・情報をたくさん配置するように環境づくりをするってことなのかなと思います。例えば、何かの理由で急にアメリカへ行って、周りが英語を話し人ばかりになったら、自然と『英語モード』になりますよね。そういうことです。そういう環境をできるだけ自分で作るということですね。

 僕はそうやって『総合型地域スポーツクラブモード』に入れてから、東京から長野県へ移住をして総合型地域スポーツクラブのお仕事をスタートさせました。

退路を断つ

 2つ目が少しストイックな感じがして、「うっ」と思われてしまう部分だと思うのですが、僕としては効果的な方法だと思うのでお話します。『退路を断つ』です(笑) もう何というか元も子もない感じがしますよね。それができたら苦労しないよ!という声が聞こえてきそうです。もちろん、やるやらないは人それぞれ。自由です(笑)

 僕が総合型地域スポーツクラブのお仕事を始めようと思ったのは、30歳の時です。結婚して3年とかで、なかなか子どもができない状況の時でした。非常に恵まれた環境でサラリーマンをさせていただいていたので、それなりの蓄えもあり、僕が退路を断ちやすい環境にあったことは間違いありません。
 まず僕は、会社の上司に年度当初の面談で「今年度で退職する」ということを伝えました。そして、最初の半年はめっちゃ仕事するけど、後半は新しい挑戦の方に意識は移していくことも伝えました。そして実際にそうしました。もちろん振られた仕事は全て受けてきっちりこなしたと思いますが、僕がやめていく人間だと分かっているわけですから、僕を育成する目的で仕事を振ったり、重要なミッションを与えたりは会社はしなかったでしょう。これが退路を断つメリットの一つです。周囲に知ってもらうことで、周囲の人も自身のメリットを設計できますし、それが挑戦者である自分のメリットにも繋がるわけです。そして周囲が僕がやめる前提で動いているわけですから、僕はもう後戻りなんてできません。「やめるのをやっぱりやめようかな」などと考えなくて済むようになるんです。

 僕の場合、退路を断つはもっと激しかったです。地域おこし協力隊として長野県で総合型地域スポーツクラブのお仕事を始めたものですから、住民票を完全に移さなければなりませんでした。出身地の東京に片脚も残していないんです。仕事もやめ、家も解約し、妻と一緒に完全に長野県に移住をしました。仮に東京に戻りたいと思っても、仕事を探し、家を探し、かなり高いハードルを越えないと戻れない状況になったわけです。もちろん本当に戻ろうと思ったらいつでも戻れたと思いますが、それでも僕の心境としては、「ここでやるしかない!」となっていました。これが退路を断つ最も大きなメリットです。今いる場所に集中できる。これです。やはり”余計なことを考える”が最も挑戦を邪魔するんですよ。いかにそれを排除するか。これが重要だと思います。1つ目の『モード』に入れるというのも、退路を断つというのも、要するにそういうことです。余計なものを排除するということなんですね。

 そしてやっぱりここでも、問題はその方法ですよね。何となく、新しいことをしたり、何かに挑戦する時に、退路を断つ(やめられない状況を作る)と良さそうなことは、多くの人に理解されることかなと思います。でもなかなかそれができない。
 これについては、究極的には僕は、「どうせみんな最後は死ぬんだから、何を怖がる必要があるんだ」などという考えも持っていたりはしますが、これを言うともう本当に元も子もなくなりますから、もう少し現実的なお話をしたいと思います。

 結局のところ、退路を断つのためらうのは、不安だからですよね。いざとなったら戻れる道を残しておきたい。これが普通の感覚だと思いますし、それは非常に大切なことだと思います。僕は挑戦において最も大切なのは『守り』だと思っていますから。挑戦に失敗したら死ぬ、なんて挑戦は、絶対にやらない方がいいと思っています。
 大事なのは安心・安全に挑戦ができることだと思います。失敗しても死なない。また挑戦できる。この状況を作るのが重要です。

 1つはお金の問題。収入が減ることを恐れて新しいことに挑戦できない人は多いと思いますが、収入が減っても自分が望む生活ができるのなら、実は安心・安全であることに気が付けるといいと思います。その為にやるべきは、生活コストの見直しです。変な勧誘とか詐欺師みたいに思われたくないのでここでは語りませんが、世間では必要と思われている支出の内、「実はこれいらないぞ」と判断できたものが僕にはたくさんあり、総合型地域スポーツクラブのお仕事を続けるにあたっては結構カットしていきました。だからといってひもじい生活をしているわけではなく、我が家は今では子どもが2人いるのですが、それなりに外食に行きますし、連休のチャンスがあれば旅行にも年に何回かは行きますし、子どもが欲しがるものは結構買い与えています。(※3Dプリンターとかもある(笑)) 僕的には満足する生活が送れています。QOLを下げずに実現できるコストカットは、たぶん多くの日本人にあると思うので、ぜひお金が理由で挑戦を躊躇する人は勉強してみて欲しいところです。お金の面で安心・安全が作れれば、退路を断つ(今の収入を断つ)の判断がかなりしやすくなると思います。

 もう一つは能力の安心ですね。本当に私にこれができるのだろうか、みたいな不安によって、新しいことにチャレンジできないこともありますよね。これは正直、不安がなくなるまで色々な経験を積むしかないのかなと思います。そこに不安があるままどこかへ飛び込むのは、勇敢というよりは無謀になるかもしれません。僕の場合は、サラリーマンの時に社内でかなりの種類のプロジェクトに参加させていただいたり、多くの仕事をこなせたことで、自分自身の能力に自信が持てたんですね。これとこれができたのだから、これもできるだろう、という感覚が常にある状態になれたんです。だったら総合型地域スポーツクラブのお仕事を始めても、きっとこれまでの経験とノウハウを使えば大丈夫だろうと判断し、チャレンジをスタートさせました。能力(できること)は自分の行動次第で無限に増やせますから、ここは不安がなくなるまで勉強したり色々な仕事をしたりするべきでしょう。そしてその能力は、どこに行っても使えるポータブルスキルでないといけません。会社の上司に好かれるとかは、あまり意味がないかもしれないので注意が必要です(笑)

自分ができることに集中する

 さて最後は、『自分ができることに集中する』ということです。新しい領域に踏み出す時の不安は、「歓迎されるかな?」とか、「業界や地域にはどんな人がいるかな?」とか、「協力してくれる人はいるかな?」とか、結構自分以外の誰かにどう思われるか、みたいなところだったりします。
 でもこれは、自分ではコントロールできない領域の話です。他人がどう思うか。他人がどう行動するか。これは最終的には他人の問題であり、自分だけではどうすることもできない問題です。もちろん、他人を巻き込んでいくことはどんな挑戦をするにしても必要になってくることだとは思いますが、他人にどうこうしてもらわないとどうにもならないという状態は、キツイと思います。それは要するに、自分ではどうにもできないと言っているのと同じ状態だからですね。

 だから本当に挑戦の最初は、「自分にできることは何か」に集中することだと思います。例えば僕は3年前に長野県から埼玉県に再度移住をしてゼロから総合型地域スポーツクラブを立ち上げる挑戦をしていますが、協力者を呼び掛ける作業は本当に一瞬だけにして、あとは自分ができることで事業を作り上げていきました。それこそ最初は行政を手を組んで、それなりに大きな規模のクラブを最初から作っていくことも考えましたが、行政が簡単には動かなそうなことが分かると、すぐにモードチェンジしました。言うなれば『自分でやるモード』ですかね(笑) 長野県のクラブはそもそも行政が立ち上げたようなクラブだったので、行政とガッチリタッグを組んで運営していましたが、富士見市ではそのノウハウを完全に捨てて、自分ができることに集中しました。長野県では行政の広報の仕組みをフル活用して会員募集を行っていましたが、富士見市では自分の足を使ったポスティングが今でも主戦力です(笑) 確かに大変かもしれませんし、リソースが自分に限られるのでスケールはしにくいですが、それでも確実に事業(クラブ)を育てることができます。まさに自分次第です。自分がやれば育つ。サボれば廃る。ほぼほぼ100%自分がコントロールできる領域で勝負ができるんです。もちろん責任も100%自分です。最初はこれが健全で良かったのかなと思っています。ここに行政が絡んで責任の所在があいまいになったりすると、「行政が協力してくれないから・・・」などと言い訳を許す環境に身を置くことになりかねません。自分がコントロールできない領域のことで悩んだり、考えたりし過ぎることは、これもやはり”余計なこと”になると僕は思っていて、特に挑戦の初期においてはできるだけ排除した方がいいのではないかなと思います。(※明らかにスケールが求められる挑戦をする場合はこの限りではないかもしれません。あくまでも総合型地域スポーツクラブのようなスモールビジネスの場合だと思います)


 こうしてまとめてみると、全ての共通するキーワードとして、『余計なことに時間や思考を使わない』というものが抽出できた気がしますね。やりたいこと。なりたい自分。実現したい未来があるから何かに挑戦するわけです。それ以外のことは、できるだけ排除して臨めればいいですよね。その方法として、『○○モードに入れる』『退路を断つ』『自分ができることに集中する』という3つをご紹介しました。やってみてしっくりくるものがあれば幸いです。


 ということで今日は、『新しい一歩の踏み出し方』というテーマでお話しました。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

ここから先は

0字
総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5