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コロナで苦しむ飲食店をデザイン・マーケティングの力で支援しました

依然として収束の気配が見えないコロナウイルス。
リモート勤務も増え、おうちで過ごすことが増えているのではないでしょうか。

こんな状況で大きな影響を受けている業界の1つが飲食業界。
オペレーションの変更、テイクアウト開始など、工夫はしているものの、慣れない環境下で苦戦しています。

そんな飲食業界を普段行っているデザイン・マーケティングの力で救いたい。

想いを実現するために飲食店を救う社内プロジェクトを立ち上げました。
小さな範囲ですが、まずは私個人が大学時代お世話になった小田急線沿いの生田周辺から。

少しでも他地域支援の参考になれば幸いです。

※今回情報設計、販促がメインの為、サービスやチラシのビジュアルは大目にみてください!

現場は想像以上に深刻だった

とにかくお客さんが来ない。このままだと厳しい。

大学時代にアルバイトでお世話になった生田の蕎麦屋さん。コロナの影響が大丈夫か心配で連絡したのですが、この返信をもらったのが始まりでした。

生田は個人飲食店が軒を連ねるアットホームな街。常連も多く地元に根付く店ばかりです。
そんな飲食店から突如お客さんが消えた状態。

このままでは飲食店が潰れるかもしれない。何か行動したい。
その想いをセブンデックス社内で相談した所、たくさんの意見をもらうことが。そして想いを実現するために社内プロジェクトとして始動しました。

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(一刻を迫る状態であることを知った瞬間。SNSなども使いこなせず、何から手を付ければよいかわからない状態でした。)

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事前にある程度電話でヒアリングを行いましたが、より現状を具体的に把握するために、直接伺って現状把握を行いました。

【現在の状況】
・2月末の団体キャンセルから影響が出始めた
・本格的には3月後半から
・3月の宴会は99%キャンセル
→250人分キャンセル発生
・3月から予約はいらず
【収支】
・売上過去推移
(プライバシー情報の為相対表示ですが、実際は金額で聞いてます)
2018/03 100%
2019/03 95%
2020/03 100%見込→45%
・売上見込
2020/02 100%
2020/03 45%
2020/04 15%
2020/05 10%
・固定費 |バイト人件費いれて
通常売上の30%
【その他】
・弁当はフードロスが多く原価率がかなり高くどこも苦戦してる
・各自試行錯誤してるが、販促できていない
→在庫の負担が軽くなるモデルじゃないと厳しい
・売上は2020/02 対比30%あれば、なんとか生き延びられそう

ヒアリングから課題を分解、解決案のイメージと効果試算。

コミュニケーションマップ@2x

【課題抽出と解決案】
1.粗利に対する家賃の比率が高い
→家賃の減額、猶予の交渉を行うことで固定費を下げる
2.フードロスにより原価率が高くなっている
→ロスが無いメニュー構成(食材は冷凍させておく、など)
→事前予約で過不足を減らす
3.テイクアウトの販促が行えていない
→ユーザーが生田のテイクアウト情報を知れる仕組みづくり
→販路拡大

【試算】
・1,2ができれば、直近の固定費はほぼ0にできる
・3によって2020/02対比10%売上+20%の補填ができれば、なんとか回りそう

1,2はヒアリングの際にお願い。3の販促について、生田の住人がテイクアウト情報をまとめて見られるサービスリリース及び、販路拡大を決めました。

5日間でサービスリリースするために取った手段

テイクアウト認知がうまくできない原因は大きく2つありました。

1つは飲食店でSNSを中心とした発信が得意ではなく、店舗前看板に貼るなど狭いコミュニティー内でしか拡散できていなかったこと。

2つ目が、各店舗の発信が一元管理されておらず、生田の住人がテイクアウト情報を知るには、SNSで知ったり、店の前を通ったときに知ったり、ほぼ運だったことです。

この課題を解決するためには情報統制が必要。そこで情報統制を目的としたサービス開発を行うことにしました。

今回一刻も早くサービスをリリースして広げなければならなかったため、情報設計、プロトタイプ、開発をまとめて行いました。
役立ったのが、『glideapps』というツールです。

glideappsは、コーディング無しでWebアプリを開発できます。レイアウトは用意されているのでそのまま使用します。データもスプレッドシートをDBとして使えるので、オブジェクトまたいだ遷移も実現できます。
情報設計とスピードが優先だったので、このツールを使い2日で完成させました。

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(ドラッグ&ドロップで簡単に作成できます。)

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次に実際の飲食店情報収集を実施。バイト先だった店長のつながりをベースに数珠つなぎで紹介してもらう形を取りました。
協力店把握と掲載依頼のコミュニケーションコストを下げるために、LINEグループを作成、ノートに情報記載して情報収集しました。
(今後も横の繋がりとしても使ってもらい願いも込めて)

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3日で20店舗(5/5時点で45店舗)も協力頂く事ができました。
現場と連携しながら動くことで、3日で100メニュー以上を集めました。

プロジェクト始動から5日間というタイトスケジュールの中、無事リリースすることができました。

認知を取るための営業、広報活動

サービスリリースはスタート地点に過ぎず、ここから利用客を増やさなければいけません。

ここから大きく3つ方法で営業、広報活動を行いました。

1.認知|チラシ配布

まず最初に口コミ経由の認知を目的に、協力いただいた各店舗営業用のチラシを作成しました。
全員のリテラシーに合わせるため、データだけではなく直接配布。足りなくなった場合はコピーしてもらうフローを取りました。

各店舗が積極的にサービスを訴求できるようになったことで、住民への認知を広げることができました。
特に主婦の方のLINEグループで共有したり、強いローカルコミュニティー経由で認知が広がったのは大きかったです。

生田のテイクアウト

2.認知|メディア掲載

次にメディア掲載。認知はもちろん実績作りが主でした。(実績作りの目的は後述)
かなり地道な活動ですが1社ずつ問い合わせ、紙面掲載、川崎市HP掲載を勝ち取りました。

現在別の地方紙でも掲載が決まっています。

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3.販路拡大

最後は販路拡大です。オフライン直接獲得、オフライン経由でサービス認知、テイクアウト、と繋がるような仕掛けを作りたいと思い、駅前での直接販売を狙いました。

駅前での販路拡大は統制上自治体との連携が必要です。ここでメディア掲載実績の登場!実績を元に市議会委員の方と繋がることができ、連携しながら駅前販売を実現することができました。

成果が出たことで芽生えた、飲食店の結束力

サービスリリースから1週間ほど経った頃。各飲食店から「サービス経由での注文が増えてきた」との声を聞くようになりました。

実は当初、消極的な方もいました。(よく分からないことやっていたのでしょうがないですが笑)

ただ、サービス経由で注文が増え始めたことで、全員が「本当に変わった」と実感してくれるように。一丸となって飲食店を盛り上げようと協力いただけるようになりました。

現在では、サービス経由の注文が1店舗あたり1日平均5件ほど。まだ当初立てた目標の半分ほどですが、全店舗の売上に貢献。成功モデルができました。

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(チラシと一緒に撮った写真を送ってくれました!)

最後に、読んでくださった方の街の飲食店も大変なはず。
#StayHome and #TakeOut で、飲食業界を支えましょう!


ビジネス×デザインの可能性

今回は情報設計を中心としたデザイン、認知を目的としたマーケティング活動で、飲食店を支援することができました。生田の飲食店についてはコロナの影響がなくなるまで継続的にサポートしていきます。

プロジェクト遂行にあたって、普段と関わる業界が違ったため、やり方が異なる事もありました。ただ、普段の業務で重要視している『事業にコミットするデザイン』が共通言語となり、業界を超えた支援ができました。
自分の中でもココロうごかされっぱなしの良い経験ができたと思います!

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(最後に少しだけ宣伝を。)
セブンデックスでは『ココロうごかす』をミッションに、戦略、プロダクト・アウト、ブランディング、マーケティングと、『ビジネス×デザイン』の思考を大切にしています。

また、今回の様に手を挙げれば何にでもチャレンジできる環境があります。

少しでも興味を持って頂けましたら、ぜひサイトを覗いてみてください!


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