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政策レポート

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建設DXに関する政策動向のレポートです。
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記事一覧

建設DXに関する最新の政策動向③ ~デジタル原則に照らしたアナログ規制見直し~

【はじめに】前々回の記事で「規制改革実施計画」についてご紹介しました。本計画は、経済社会の仕組みをデジタル時代に合ったものに作り直していくために必要な規制改革の具体的な取組・時期を定めたものです。本計画の具体的な内容は、デジタル庁が所管するデジタル臨時行政改革調査会(通称「デジタル臨調」)と各所管省庁において検討が進められています。 今回の記事では、建築DX推進のために必要となる「 目視規制の見直しの着実な推進」「実地監査規制の見直しの着実な推進」に焦点を当てて、最新の検討

建設DXに関する最新の政策動向② ~令和5年度概算要求~

前回の「建設DXに関する最新の政策動向 ~政府文書を読み解く~」に続き、今回は各省庁が作成した概算要求関係資料を中心に、建設DX関連の取組について解説します。 なお、令和4年度第2次補正予算が本記事の公開直前で成立したので、そのうち建設DX関連の注目すべき取組についても解説しています。 概算要求とは概算要求とは、省庁別に次年度の予算案をまとめたもので、毎年8月末に「概算要求書」として財務省に提出されます。提出された「概算要求書」を基に財務省の査定、政府内での最終調整の末「予

建設DXに関する最新の政策動向 ~政府文書を読み解く~

令和4年6月7日に岸田政権の新たな政策指針を取りまとめた「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」や翌年度の予算編成に向けた基本的な考え方を示した「経済財政運営と改革の基本方針2022」等の重要文書が閣議決定されました。 これらの文書においては、新しい付加価値を生み出す源泉であり、様々な社会的課題を解決するための鍵としてDXが特に重要視されており、多様な分野のDX関連政策や取組が掲げられています。その中でも、本記事では「建設DX」*に焦点を当てて解説していきます。 *

グリーンインフラがつくる国土と賑わい

【科学技術振興政策における重要テーマ~グリーンイノベーション】新年度予算案などを審議する今年の通常国会が1月17日から始まっています。年明けから急速に拡大している新型コロナウイルスのオミクロン株への対応を最優先課題としつつ、コロナ禍からの経済再生に向けた様々な政策について議論が行われていますが、コロナ禍からの経済復興に向けて特に充実化が進められているのが科学技術振興に関わる政策です。科学技術振興に関する予算は、令和4年度の概算要求時点で過去最高の1.3兆円(令和3年度より+2

「一人親方問題」とは~検討会の動向も踏まえたその現状・根本的原因や対応策等~

はじめに 建設業界は様々な課題を抱えています。 過酷な労働環境、就労人口の減少、職人の高齢化、低生産性、最近ではウッドショックなど、長期的・短期的な課題が山積しており、人々の生活の基盤を支える重要産業であるにもかかわらず、それを取り巻く環境は決して楽観視出来るものではありません。 「建設DX研究所」では、建設DX推進が、これらの課題解決のための1つの糸口になるのではと考えています。今回は、数ある問題の中でも一人親方にまつわる問題点にフォーカスをあてていきたいと思います。

「省内横断プロジェクト」にみる国交省の主要な政策~その変遷と展望~

【はじめに】2021年4月28日、特定都市河川浸水被害対策法など9本の法律を改正する、流域治水関連法案が参議院本会議で可決、成立しました。 近年頻発する大規模水害に対し、従来型の堤防やダムによる治水政策では対応しきれない状況が続いています。河川の流域全体を俯瞰して、国、流域自治体、企業・住民等あらゆる関係者が協働して取り組む「流域治水」を推進することを、本法案改正は目的としています。 この「流域治水」の取組は、国が従来の治水対策方針に大きく舵を切ったという側面を持つ一方で、

コロナ禍で考えるまちづくり

【コロナ禍で問われる都市のあり方】コロナ禍の2度目のGWが明け、もうすぐ梅雨に入ろうとしています。 コロナ禍をきっかけに、人々のライフスタイルは劇的に変化してきました。 リモートワークの普及や、三密を避け常にマスク・消毒などの感染対策を欠かさない…従前の生活からは想像ができなかったような変化ではないでしょうか。 このような生活の変化が、まち/都市のあり方にどのような影響を与えているのか、少し考えてみたいと思います。 【まち/都市の潜在的なリスク】そもそも、まち/都市は歴史的