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スパムフィルターの気持ちを考えよう  ~脱!迷惑メールフォルダ~

メールマーケティングエバンジェリストの安藤と申します。

さて、突然ですが皆さんは自身が出したメルマガが相手の受信ボックスにきちんと届いているかまで気にかけていますか?

比較的精度が高いと言われているGmailの迷惑メールフォルダを開いてみると、実に多くの迷惑メールじゃないメールが迷惑メールに振り分けられてしまっていることに驚きます。

そもそもメールが迷惑メールフォルダに振り分けられていたら、受信者にとってはそのメールは存在しないのと同義ですから態度変容もなにもあったものではありません。

メルマガが迷惑メールに振り分けるかどうかはメールの受信側が使用しているそれぞれのスパムフィルターに依存します。
つまり、メルマガを受信した全員が同じように迷惑メールに振り分けらている/られていないというのではなく、メルマガが届いている人/届いていない人がいるという状態が深く静かに起こっていきます。迷惑メールフォルダに振り分けられたかどうかは配信側には非常に気付きにくい(むしろほぼ分からない)事象のため、時が経つにつれその被害は大きくボディブローのように効いていきます。

大事なビジネスチャンスを知らない間に逃していたという事にならないためにも、今回はどのようなメールが迷惑メールフォルダに振り分けられるのか解説したいと思います。

スパマーを締め出したい

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スパムフィルターが一番に望んでいるのはスパマー(迷惑メール業者)の排除です。
スパマーが出すメールを振り分け、健全なメールだけがメールボックスに残るようにするのが彼らの仕事です。

とはいえ、1日何億通ものメールが流通しているいま、1通1通の中身をチェックしているわけではありません。
彼らは、スパマーが出すメールの特徴に合致したメールにマイナスポイントを付け、その減点数の総和を判断材料として迷惑メールフォルダに振り分けているのです。
(すべてのフィルターが同じではありません。)

つまり、皆さんのメールが迷惑メールフォルダに振り分けられてしまうのは、スパマーの特徴に合致している部分があったからなのです。

それでは、これからスパマーの特徴を一つずつ挙げていきたいと思います。
自分たちが疑われるような行動をしていないか振り返りながら見ていきましょう。

そのリスト、どこから集めたの?

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迷惑メール業者は、配信リストを不法に入手しています。

どこからか購入した出所不明のリストだったり、プログラムで文字列を組み合わせて作り上げた適当なリストだったり様々ですが、共通するのは「使われていないアドレスが多く含まれている = エラーになるアドレスが多い」という点です。

もし、きちんとした経路で取得したメールアドレスならば、エラーになる数なんて高が知れています。(一般的なエラー率は1~2%ほどです。つまり1,000件の配信リストがあったのなら、エラーになるのは10~20件ほどです)

なので、スパムフィルターは「リスト内にエラーアドレスが多く含まれるメルマガ」にはマイナスポイントを付けます。

エラーには2種類あるのですが、Hard bouncesと呼ばれるエラーは特に注意です!
Hard Bouncesは「永続的なエラー」と呼ばれ、メールアドレスが間違っている(存在しない)ことを意味しています。

このようなエラーがリストのうち多数あるような場合は、「きっと不法に入手したリストに違いない!」と疑われてしまいスパムフィルターにより大きく減点されてしまうので、配信リストは適宜精査を行い、届かないアドレスはリストからさっさと削除してしまいましょう。(一般的にはエラー率は10%を超えてはならないと言われています)

本人なの?なりすましてない?

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迷惑メール業者は送信元を偽装(なりすまし)します。

Fromアドレスに大手ECモールや有名企業のメールアドレスを使って、さもその企業から配信されたかのように偽装します。

つまり、なりすまされた側の企業が普段メールを送信するのに使用しているサーバーとは別のサーバーからその企業のメールアドレスを使用したメールが送信されることになります。

しかし、ここで気を付けなければいけないのは、実はこのこと(普段のサーバーとは違うサーバーからのメール送信)自体は一般的に行われていることなのです。

メルマガなどのメールの一斉配信には特殊な技術が必要なため、配配メールのような(あ、宣伝だ!)メール配信サービスを利用するのが一般的です。

メール配信サービスのサーバーと企業が普段使用しているサーバーは異なりますので、メール配信サービスを利用している時点で技術的にはなりすましメールと同じことが行われているのです。

悪意のある「なりすましメール」と、必要で行われる「なりすましメール」とを見分けるために使われるのがSPF設定と言われるものです。

これは、簡単に言うと、メールを受信した側がドメイン(メールアドレスの@マークの右側)を管理しているサーバーに問い合わせをして、問題なければ「なりすましじゃないよ!」って回答してくれる仕組みです。

図にするとこんな感じ。

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この設定をしていないと、スパムフィルターは「悪意のあるなりすましだ!」とマイナスポイントを付けます。
事実、エラー率がそれほど高くないにも関わらず、迷惑メールフォルダに振り分けられてしまう原因の大部分がこの設定です。

なので設定しない手はないです。
設定方法はここで案内すると長くなるので、詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

迷惑メール報告がめっちゃ来る

当然ながら、迷惑メールを受け取りたいなんて人は一人もいません。
けれども、スパマーに「もう送らないで」と言ったって対応してくれるわけがありません。

そこで、多くのメールアプリには迷惑メールを報告する機能があります。
↓Gmailだとこんな感じ

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ここから報告される量が多ければ多いほど、スパムフィルターはマイナスポイントを付けていき、以降、同じ配信元からのメールを迷惑メールフォルダに振り分けます。

でも、きちんとしたメールの場合は、読者が「迷惑メールだ!」なんて報告するわけないはずですよね。

それでも迷惑メールとして報告されてしまうのには、大きく2つの理由があります。

まずは、"購読解除ができない"場合です。
これは、メルマガ内に購読解除(オプトアウト)の記述や導線がない時に起きます。

そもそも購読解除の記述や導線が無いことは特定電子メール法という法律に違反していますので絶対にやってはいけません。

スパムフィルターによっては本文内に記述や導線があるかどうかをチェックしているものすらあります。

そしてもう一つは"読者の身に覚えのないメール"の場合です。
読者がメルマガ受信を許可(オプトイン)した覚えがないときに起きます。

この場合は、例えメルマガ内に購読解除の導線があったとしても、読者は身に覚えのない配信元から来たメルマガだと認識していますので、この導線を使用せずにメールアプリ側で迷惑メール報告をします。

会員登録や資料請求などと引き換えにメルマガに登録されるようなケースの場合は、メルマガ登録時にきちんと説明を行い、配信するメルマガ内には購読解除の導線をしっかりと設けることが何より重要です。

怪しい内容だな…

迷惑メールの本文には、お金儲けや性的な内容などが溢れています。

そこで、スパムフィルターはそのような単語類を禁止ワードとして監視しています。

直接的な内容で無かったとしても、「今すぐ」「副業」「無料」などと言った関連したワードにもマイナスポイントを付けます。

当然、この単語が入っていたら直ぐにNGと言うわけではありませんが、これらの単語の使用は必要最小限に留めることは留意しましょう。

まとめると

スパムフィルターが注意して見ているポイントとなる項目は以下です。

・エラーアドレスの含有率
・Fromアドレスの正当性
・購読解除導線の有無
・コンテンツ内の禁止ワード出現数

私がこれまで見てきた中で、誤って迷惑メールフォルダに振り分けられてしまっている理由のほとんどがこのうちのどれかに当てはまっています。

自社のメルマガが疑われるような行動をしていないか、ぜひ見直しをしてみてください。

最初にも記載しましたが、迷惑メールフォルダに入っていたら態度変容も何もあったものではないですよ。。。