Ken

ほそながい島の、ほそながいビルで記者をしてます。書くこと、読むこと、走ることが好きです。生まれは東北。いまは京都に。essayも書こうかなぁ。

ヒトのはなし 村田沙耶香『変半身』

いつからかわからないのだけど、確かに幼い頃、今生きているのは、生かされているのは「期限付き」なのであって、何か悪いことや失敗をすると、「えーと、じゃあ終わりね」…

ごめんなしてくない 若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』

ごめんなしてくない、ごめんなしてくない。 祖母がめいっぱいの言葉で謝りをいれる後ろ姿。玄関から立ち去っていく男たちの姿。その景色というか、匂いというか、それを覚…

よわよわしい、僕 村上龍『限りなく透明に近いブルー』

酸っぱい、ヌルヌル、モルヒネ、女の太腿、ドラッグ、虫ーー。言葉はイメージを喚起し、それが作家のタッチを作る。村上龍的な文体はこの不快指数の高いことばを並べ、怒涛…

あなた生まれてないわよ 村上春樹『猫を棄てる』

母の後ろからみていた。たしかにみていた。 真紅のオウムが油くさい新聞紙に包まれている。母はそれを抱き抱えると、庭先にでた。東北の夏はどこか他人の家のような、よそ…

しなないで、しなないで、と ハン・ガン『すべての、白いものたちの』

東の雪は、こんこんと天から降りる。しんしんと積みかさなり、そして、ひしひしと冷たさが指さきに絡みつく。なにか後ろめたさがあるかのように、ひとびとは音も立てず、雪…

砂漠のなかに 安部公房『壁』

砂丘の稜線を夕陽に照らされたソ連の戦車がこちらに向かってきた。 照らされ現れるや否や、濃紺の日陰に入り込み、消える。いや、消えたのではない、グゴグゴグゴとそんな…