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【オンライン】で<270名の大学講義>を実施する中でみえてきた『創造的破壊』

 30名以上の集まりは、オンラインの方が「学習効果」があがるというのが私の見解。

 コロナ・パンデミックにより、大学では270名の「ライフキャリア入門」をオンラインで実施することになりました。オンラインでの実施方法は、様々ありますが、私はZOOMを選択。4/27から開始して、5回の講義をこれまでに実施てきました。

 質問は、チャットに書き込み。講義の中で最低2回のブレイクアウトセッションを設けています。

 まず率直に感じるのが、いくつかのメリットです。

① 「講師の言葉が、ダイレクトに届く」

②  「受講者のノイズに邪魔されない」

③  「ブレイクアウト」の「偶発的な出会い」が集中力を高める

私が一貫して伝えているのは、ポスト高校生からプレ社会人へと「変身」しましょう。まあ、簡単にいえば、「受け身では何も身につきません」ということです。

そのために、「インプット型」から「アウトプット型」へ「学び」の姿勢を180度かえるインタラクティブ・ワークを何度も繰り返していきます。チャットに書き込むこと、ブレイクアウトで発言すること、講義で得たことをnoteで発信するなど、「アウトプット」が「普通」であることを構築していきます。

すでに何人もの学生が、アウトプット型に「変身」しています。

ここまで劇的な変化がみられる理由は二つです。

一つは、コロナで「キャンパス」での学びが不可能となり、「学び」のありがたみを学生たちが痛感していること

もう一つは、先に書いたように、「ノイズ」がないからです。270名の大規模教室で講義を遮ってまで質問することに、いつも学生は気を使ってくれているのです。質問したいのに、質問しないほうがいいかなの学びが大規模教室の空気感なのです。

オンラインならいつでも「自分のタイミング」で質問できる。出席もとる実名エントリーでの「講義」なので、チャットが「荒れることはない」。*幸運なことに、まだ、ZOOM BOMBINGにも遭遇していません。

ブレイクアウトは、自動作成、2回目以降は、自動作成更新をして、常に新しいメンバーでディスカッションをします。教室だと「友達」とワークするになりがちな中、ブレイクアウトだと、「誰とグルーピング」されるかも「運」任せなんです。

デメリットは、テクニカルな問題とコミュニティの問題の二つですね。

1) その日の通信環境で「入室」できない学生が、数名いたりします。今は、受験エントリーもオンライン。誰もがネットにアクセスしていることを考えると、zoomにアクセスは細かな問題を解決すれば誰もができます。カフェでwifiを利用しながら講義を受ける学生もいます。(対面実施での欠席より少ないです)

2) 「講義」の「入口」と「出口」での「コミュニケーション」がないことによって「コミュニティ」が形成しにくい

今の課題感としては、ここを強く感じています。大学だと、教室までの移動や講義おわりに「会話」があります。何気ない「会話」のコミュニケーションが、「友人関係」を形成し、コミュニティ形成を促していきます。

オンラインだといきなり「入室」になるので、その難しさがあります。すでにコミュニティが形成されているゼミでは、全く問題ありません。少し、早めに「入室」して、近況を話していますし、休憩中や、ゼミ後にもZOOMは、継続しています。

さてさて、となると、いくつか「本質的な問題」にぶち当たることになります。

対面での大規模講義には、「無理」があることを知ってしまった。オンラインの方が可能性があるということに気がついてしまったのです。

過去のものを駆逐していく破壊力があります。コロナ・パンデミックがもたらしたのは、「大学教育」の「創造的破壊」なのです。

意思決定のはやい企業経営者は、オフィスを「ハブ型」に移行しています。全員分のデスクは要らない。リアルなコミュニケーションが必要な社員がその都度使用する「コミュニティスペース」的利用ですね。結果、オフィスは、空間的縮小。一拠点本社システムより、ブランチ(複数ハブ)展開に移行してきます。

これが大学で可能なのか?という問いに徹底的に向き合うべきなのです。

まずは、理想から。

これから新設する大学や学部は、30名以上のスペースは、すべてオンラインで実施する。つまり、大規模教室は不要。オリエンテーションなどもオンラインで十分。

例えば、500名が集まったところで、500名全員と話すわけではないので、コミュニティ形成の視点から見ても大規模はいらないとなります。

さて、現実の問題。すでに「施設」がある場合。

この判断が歴史的に大きな決断になりますね。

これまでの大学の意思決定から推察すると、コロナリスクがある中、後期からは「大規模教室」に戻ることになるでしょう。固定座席の大規模教室を「レンタル」しても、借り手はいません。企業のように居抜きで貸すということも、キャンパスという隔離された空間ではニーズがないのです。

となると、非常に難しい判断をしなければならないのです。

考えられるのは、フェイスシールドをつけて、飛沫感染を防ぎながら、講義を続ける。話すと感染リスクが高まるので、質問は携帯やPCから受け付ける。だとするなら、これってオンラインと同じなわけで。

施設も簡単に償却できない。

オンラインの方が学習効果が高いのに、対面での大規模講義を「維持」していかなければならない。教育の目的に、受講者それぞれの能力開発やキャリア開発にあるのだとしたら、効果が高いオンラインより、施設があるからこそ、施設で実施する対面を選択せざるを得ないのです。

私は現段階では30名〜50名ぐらいの「対面講義」には、オンライン以上の可能性を感じています。全てをオンラインにせよというわけではないのです。

しかし、プラグマティックかつ本質的に考えると、大規模を収容する講義のやり方は、過去の遺産としなければなりません。

さあ、過去を駆逐することができるのか。

コロナ・パンデミックでオンライン講義を継続している中、考え続けなければならないのは、これから数十年後の「未来(の教育)」をどうするのか、という創造的な問いなのです。

そのようなことを考えながら、4刷中の「大学のトリセツ」も読んでみてください。



 

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