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芸能人の【プロティアン化】がすすむ三つの理由ー投資家、起業家、大学院生 and YouTuber

この数年、芸能人のプロティアン化が急速に進んでいると感じています。

36歳で起業した柴崎コウさん

起業家支援、ベンチャー投資をする田村淳さん

 大学院生として学びながら、働く芸能人の方々も増えてきています。

芸能人として第一線で活躍する方々の、新たな「フィールド」へ挑戦が続いています。これからもその流れは、言い換えると、「芸能人のプロティアン化」は加速化していくと私は見ています。その理由は、次の3つ。

もともと、変化柔軟な人たちが、固定化された社会的アイデンティティに疑問を持ち、キャリアを自ら開発するようになること

やや専門的な表現を用いていますが、昔から、俳優であり、作家であり、監督などもつとめる芸能人の方は、多くいました。彼らの働き方を見ていると、変化に対して柔軟に適合するプロティアン的素養のそもそも高い人たちが芸能界に入る傾向があるということです。

ただし、ご存知のように、芸能プロダクションや広告主との関係で、芸能人の「個性」は、本人たちの「個性」ではなく、「作られた・用意された個性」を「演じる」ことが求められてきました。

「構築された個性」を演じることでファンを獲得し、仕事をえて、その対価として大きな収入を得てきたわけです。しかし、この華やかなイメージの裏側で、本人のアイデンティティに苦しむ芸能人も少なくないわけです。

好きなことで生きていく。俺だって、人間だもの。と「生の声」を届ける手越さんは、ジャニーズ事務所との契約を解消することで、「自分らしさ」を取り戻したのです。仕事がなくなる、働けなくなる。なんてことは、外からの余計な心配なのです。

自分らしく入れることが、何よりの喜び。ジャニーズ事務所の手越祐也ではなく、一人の人間としての生活を取り戻すのです。

一芸ではいつ仕事がなくなるかわからないというリスクに気がついているということ

ミュージシャンとしての仕事は、激減する。CDが売れなくなった時から、ミュジーシャンとしてのキャリア危機を察し、様々な事業に乗り出したのは、ガクトさんですね。様々なフィールドに挑戦し、プロティアンとしてのキャリアを形成することで、ミュージシャンとしても活躍し続けることができるのです。シングルジョブは、リスクなんです。

個人事業主として芸能プロダクションとして契約を結んでいる人や、独自で事務所を構えて仕事を受注している人が大半の芸能人。「終身雇用」、「年功序列」、「企業別組合」など、日本型雇用とは全く異なる「界」で働き続けるのが、芸能人なのです。年齢は関係ない、実力社会。いつ雇用が切られるかもわからない契約雇用。労働者として雇用主に声をあげるのも、非常に難しい世界。出来高払いの報酬制度。THE プロフェッショナル。

身体一つで働きつづける芸能人は、そもそも、脆弱な主体なのです。一つのことで、稼ぎ続けるのは難しい。というのも、社会の変化や人々の関心が、あまりのスピードで変わり続けるからです。

だからこそ、今のままではダメだ。生き残るためには、変わらなければならないと感じているわけです。

コロナ・パンデミックによるエンタメの構造転換

数万人という大人数を収容するコンサートやフェス、祭典。開催は当分、難しいでしょう。TV局での収録も、密を避けたやり方で。ロケバスで移動し地方での収録も、歓迎されない事態です。

これまでのやり方が通用しないのです。コロナで経営難に陥る企業は、広告費を削っていくので、CMなどの仕事も減っていきます。

これまでのやり方にすがっていては、稼げなくなるのです。芸能人であるという「有名性」は、YouTubeや他のソーシャルメディアで大きなインパクトを持ちます。公開した動画が、数百万再生。

カジサックさんや江頭さんも、視聴回数を伸ばしていますね。

芸能界の重鎮は、いまだに、「YouTubeなんて」という発言をする方もいます。芸能の主戦場は、TVだと。

でも、ここでリスクがあるのは、変われない重鎮達です。しなやかに変幻する芸能人は、様々なフィールドで活躍していきます。経験が次の仕事を呼び込むからです。

芸能人のプロティアン化は、加速します。もっと言うと、エンタメが歴史的転換期を迎えた今、変化に対応できない芸能人は、生き残れないのです。

しかし、これって芸能人に限ったことではないのです。

これまでの経験に固執することなく、新しいフィールドに挑戦していく勇気を持つこと。最初の一歩を踏み出すこと。私たち一人一人が、今、考えるべき問題でもあるのです。



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