欅坂46平手友理奈と秋元康の関係性に関する妄想③(完結編)

長濱ねる卒業の衝撃。アイドルグループの奇跡の時間はとても短い。それが魅力でもあるけれど、やっぱり寂しさもありますね。

さて、書き出したら全然終わらなくて自分でもびっくしているこのシリーズ、今日はきちんと最後まで書きます。その為にもタイトルには(完結編)と書いて自分を鼓舞。

前回は、可愛らしいアイドルだった平手ちゃんが不協和音をきっかけに闇落ちしたところまで書きました。平手さんが「不協和音は命を削る曲」と話したというエピソードを紹介していますが、憑依体質である平手さんにとって「僕は嫌だ!!」と現状を拒絶する「僕」になりきる事は精神的にかなり大きな影響があったようです。

不協和音以降の曲から妄想する秋元康の奮闘劇

不協和音で完全に闇落ちした平手さん。平手さんを山口百恵さんと比較して語る程、その豊かな感受性と表現力に魅了されている秋元康も「やべぇ、俺が書いた不協和音のせいで平手ちゃんが完全に闇落ちしてる。まさかここまで世界観に入りこんじゃうなんて…。」と思ったのでしょう。
不協和音以降のシングル曲はある意味平手ちゃんへのセラピーとして楽曲が提供されていきます。

「風に吹かれても」

不協和音から約半年後に発表されたシングル曲は「風に吹かれても」は、発表当初から「笑わないアイドル欅坂46が笑顔解禁!」なんて煽りで宣伝されていましたね。

成り行きに流されたらどこへ行くの
あんなに眩しい太陽の日々よ
翳りゆく思い出が消えるまで
僕たちは空中を舞っていよう
人生は 風任せ
さよならまで楽しまなきゃ

風に吹かれても何も始まらない
That's way
ただどこか運ばれるだけ
That's way
こんな関係も時にはいいんじゃない?
That's way
愛だって移りゆくものでしょ?

「僕は嫌だ!」って叫ばせたら闇落ちしたから「人生なるようになるよ。今を楽しまなきゃ。」と笑顔で踊る役割を与えれば、笑顔の平手ちゃんに戻るやろ!作戦。

凄くシンプルな作戦ですね 笑。

この曲を披露し始めた時の平手さんは笑顔を見せていたものの、それは最初の頃だけで、暫くすると笑顔を見せてくれなくなっていました。与えられた新しい役と自分の心境を重ねられないギャップに戸惑っていた、という印象があります。

結果:ちょっと効果あったか?と思ったけど「拒絶→笑顔」は急な変化過ぎてかえって平手ちゃんの闇を深くする結果に。作戦失敗。

「ガラスを割れ!」

「拒絶→笑顔」の作戦は上手くいかなったので、秋元康が次の一手を考えました。今の平手さんを無理やり笑わせる事はできないから、せめて彼女の抱えている憤りや怒り、不安、そういった感情を自分に向けさせるのではなく、外へ向けさせて昇華しよう作戦。

想像のガラスを割れ!
思い込んでいるだけ Oh!Oh!
やる前からあきらめるなよ
おまえはもっとおまえらしく 生きろ!
(OH OH OH OH OH…)
愛の鎖引きちぎれよ
歯向かうなら背中向けるな
温もりなんかどうだっていい

吠えない犬は犬じゃないんだ

この曲の特徴は主人公が「僕」ではなく「俺たち」であり、曲のメッセージが「おまえ」という他者に向けられていることです。平手さんが曲の世界観に入り混みすぎない様に気を付けつつも、欅坂の「反抗」ブランディングを意識した楽曲。

結果:「僕」が主人公な曲ではないので、平手ちゃんのメンタルには特に影響なし。楽曲としては「反抗」が分かりやすく描かれ過ぎてダサくなり失敗。

「アンビバレント」

「笑顔の役を与える」「僕が主人公ではない反抗の曲を与えてもやもやした感情を昇華させる」作戦が上手く行かなかった秋元康は考えました。

平手友梨奈が人生の中の季節として「悩んでいる、苦しんでいる時期」に入っているのを無理に変える事はできない。それだったら、彼女が悩んでいることをそのママに表現させる曲を書こう。それが彼女の「表現したい」という思いを叶え、結果的には精神的にもプラスに働くはず!作戦。

願望は二律背反
押し付けの理性なんて信じない

あっちを立てる気もないし
こっちを立てる気だってまるでない
人間関係 面倒で及び腰
話を聞けば巻き込まれる
いいことなんか あるわけないじゃない
それでも誰かがいなけりゃダメなんだ

I know(Hey!)
I know(Hey!)
ちゃんとしていなくちゃ愛せない
I know(Hey!)
I know(Hey!)
ちゃんとしすぎてても愛せない

一人になりたい
なりたくない
一人になりたい
なりたくない
Oh! Yeah!

だけど孤独に
なりたくない
どうすればいいんだ

カッコいい曲ですよね。個人的にとても好きな曲です。

この曲は平手さんにとって、とても良い効果があったのでは?と思っています。暫く休んでいた欅坂の看板番組「欅ってかけない?」に復帰したのもこの曲が出る頃あたりからですし、番組の中で楽しそうに笑う平手さんを見て「おぉ、笑っておる。闇からの生還だ…!」と思いました。

結果:「一人でいたい、でも一人じゃ生きられない」そんな当たり前の事実に気付かせてくれたこの曲は、平手さんを少し孤独から救ってくれた名曲です。秋元康…ついにセラピー楽曲提供に結果がついてきた!良くやったよ!

なんでいま「黒い羊」なの??

やっと最新シングルまでたどり着いたこの長い妄想シリーズですが、文章として書こうと思ったきっかけは黒い羊のPVを見て衝撃を受けたからです。

アンビバレントで救われた平手さん、と書きましたが、それも一時的な事でそれからまた平手さんは暗黒期を迎えます。理由とかは全然分かりませんが、去年末に歌番組で披露したアンビバレントでは、平手さんのダンスが「やる気なさすぎ!」と話題になっていました。無気力ダンスはこちら

平手さんはもともとライブでのパフォーマンスに凄く拘りを持つアーティストなので、この無気力感は「おぉぉ、ついに平手ちゃんの大事な何かがぽきっと折れてしまっている。これは良くないな…。」と思いました。

不協和音以降のシングル曲は、秋元康が平手友梨奈の精神を救うために楽曲を提供する一種のセラピーとして見ていた私は、このタイミングでの「黒い羊」にびっくりしました。何故このタイミングで下手すりゃ不協和音よりも落ちて行ってしまいそうな曲を与えたんだ??と。

「黒い羊」

No No No No
全部 僕のせいだ

黒い羊 そうだ 僕だけがいなくなればいいんだ
そうすれば 止まってた針はまた動き出すんだろう?
全員が納得するそんな答えなんかあるものか!
反対が僕だけならいっそ無視すればいいんだ
みんなから説得される方が居心地悪くなる
目配せしてる仲間には僕は厄介者でしかない
わかってるよ

La La La…

白い羊なんて僕は絶対になりたくないんだ
そうなった瞬間に僕は僕じゃなくなってしまうよ
まわりと違うそのことで誰かに迷惑かけたか?
髪の毛を染めろと言う大人は何が気に入らない?
反逆の象徴になるとでも思っているのか?
自分の色とは違うそれだけで厄介者か?

Oh
自らの真実を捨て白い羊のふりをする者よ
黒い羊を見つけ 指を差して笑うのか?
それなら僕はいつだって
それでも僕はいつだって
ここで悪目立ちしてよう

「全部 僕のせいだ」と苦しい表情を浮かべる平手さん。

こんな自分を責める「僕」を与えたら、平手さんは完全に闇落ちしてもう戻ってこれなくなっちゃうのでは?と思ったのですが、どうやら秋元セラピーは新しい段階に入った様です。

また、秋元氏は平手について「すごい真面目な人なので1つ1つこれでいいのかと(不安になる)」「ずっと扉を開ける前にまず耳を扉にくっつけて匂いを嗅いだりして、そっーと開けてみるんだけどやっぱり良いかなって戻したりしちゃうんですね」と慎重な性格を説明。仕事においても「平手が一番好きなのは『不安』。『不安』を絶対抱いて寝るのよ、ぬいぐるみのように」と妥協しない高い意識を持っているからこそ、常に不安を抱えているといい、平手も「やればやるほど不安に思っちゃいます」と頷いた。

引用元:https://mdpr.jp/news/detail/1764329

これを読むと、秋元康が「平手が不安を抱えているのはもうどうしようもない。不安が好きなんだから。」とある種の諦めに辿り着いたのが分かります。そして、だからこそ今、黒い羊なのかなと。

苦しんでいる人たちを抱きしめる「僕」

黒い羊のPVのなかで平手友梨奈演じる「僕」は、様々な理由で傷ついた人たちを抱きしめていきます。なかには抱きしめられるのを拒絶する人もいますが、それでもかまわず抱きしめる。そんな僕を演じています。

平手さん演じる「僕」はPV最初の自殺現場のシーンで死んでいる子だと考えられるので(PVの考察はいろいろあるので私の考えです)、平手さん自身は救われなかった人。

だけど、救われなかった人だからこそ分かる「救って欲しいと願う人の思い」がある。

助けの手を差し伸べられても、それを受け入れる余裕がないから拒絶してしまう。でも、本当はそんな拒絶さえも包み込んで抱きしめて欲しかった。そんな「自分には差し伸べられなかった救い」を与えていく僕。

だって僕には分かっているから。
「ほっといてよ!一人にしてよ!」とどんなに強く他人を突き放しても、本当に一人ぼっちになりたい人なんていないことを。

他人を愛する事が自分を愛する事にも繋がる。

秋元康は黒い羊を通してそんな事を平手さんに伝えたいのかもしれません。

おわりに

欅坂46の人気メンバーである長濱ねるちゃんの卒業。去年から突然始まった卒業ラッシュはもうこれで4人目。しかも人気メンバーが続々と辞めていくという異常事態。

この一連のnoteで書いてきた通り、欅坂46は極端なまでに「秋元康が書く平手友梨奈が主人公の物語」です。その物語の中で与えられる自分の役割に納得がいかない人は当然出てくるし、「自分自身の物語を見つけなくちゃ」と考える人も出てきます。

今後欅坂がどうなっていくのか?あまり明るい未来は考えられないのですが、秋元康という天才クリエイターが一人の少女に夢中になり、いろいろなものを犠牲にしてでも一つの物語を描き続けている。この魅力的なお話しがこれからどんな結末を迎えるのか楽しみです。

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