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なんで日本はこんなにもひどいIT後進国になってしまったのか?

コロナの影響でいろんな問題が見える化していますが、その中でも一番ヤバいと思うのは日本のIT後進国っぷり。アフターデジタルを読んで中国の急速なデジタル化はある程度理解していたので、日本の遅れには気づいていたつもりでしたが、全然認識が甘かった。

日本のIT担当大臣が78才(はんこ)で台湾の大臣は38才(天才)だったり、品川区の10万円給付が申請内容を人力で確認しているため全部終わるのに単純計算で6年間かかるという話だったり、韓国がアプリで感染者の移動情報をリアルタイムに提供している中、日本ではPCR検査の結果をFAXで送信して人力で集計していたりと、衝撃的なニュースが続くここ数カ月。

呆れを通り越して笑いが出てしまうレベルの日本のIT後進国っぷりですが、私はこれからも日本に住んで生きていく予定なので、ただ笑っている訳にもいきません。日本という大きな船が沈没したら私も家族も溺れ死にます。

ということで「そもそもなんでこんな事になってしまっているんだろう?」という問題の根本を考えてみたいと思います。

ちなみに日本は2013年に世界最先端IT国家創造宣言というのを出しているんですが知ってる人いましたか?今この言葉を見るとなんとも言えない気持ちになりますね。

悩みの本質は「解決策が見つからない」ことでは無く「何が真の問題か分かっていない」こと

「哲学」を商品として提供するとてもユニークな会社を経営している吉田幸司さんの著書に書いてあった一文です。

日本のIT技術が遅れている事についていろいろな原因、問題を推測することは比較的簡単なことですが、その中でどれがボトルネックなのか?というのを考えるのは難しいことです。でも、それをやらないで枝葉の問題を解決していっても全体の構造を変える事はできないので「真の問題は何か?」を考えてみたいと思います。

まず、ざっと日本がIT後進国な理由を考えてみます。

・英語が苦手
→ITは全て英語なので、英語が苦手な日本人には一つ高いハードルがあります。

・保守的な国民性
→古くは黒船襲来からの明治維新、今回のコロナと日本は何らかの外圧が無いと変われない国です。ITという新しい分野になかなか適応できないのもそういった変われない国民性に原因があるんでしょうか?

・1億2千万という中途半端な規模
→これもよく言われる話ですが、日本は中途半端に大きな人口を抱えているため、国内の消費者だけを相手にある程度商売が成り立ってしまいガラパゴス化しがちです。エストニアなどがIT先進国として有名ですが、国内に市場規模の無い小国は、初めから「海外で稼ぐ」事を前提にIT立国を進めています。そして1億2千万はAI活用におけるビッグデータ収集においては数が足りません。13億のデータを収集、分析できる中国とは勝負にならない中途半端な規模なことに問題があります。

・年功序列、終身雇用
→公務員はもちろん、一般的な企業でもまだまだ終身雇用が根強い日本です。エクセルさえまともに使えない半分おじいちゃんみたいな人が、ハンコとFAXを愛してやまないのかもしれません。

こんな感じでしょうか?
どれも日本がIT後進国な理由として間違って無いような気がしますが、ボトルネックがこの中にあるかはまだ分かりません。

なんで日本人はTOYOTAを作れてGoogleやAmazonを作れなかったのか?

アメリカと中国のIT企業が世界の時価総額ランキングで上位を独占するなか、日本の会社で唯一50位以内に入っているのはTOYOTAです。豊田章夫社長が先日発表したWoven cityの構想などもとても魅力的で、日本企業で唯一といって良いくらいひとり気を吐いているTOYOTAですが、なぜ日本人はTOYOTAは作れたのに、GoogleやAmazonは作れなかったんでしょうか?

工業の分野で世界一になってしまっていたから、次の大きな波であるITに乗り切れなかったというのはありそうな話です。企業が持つアセット(強み)が時代の変化と共に負のアセット(弱み)となってしまう事はよくあることで、日本の多くの大企業は過去の栄光から脱却できずに苦しんでいます。白物家電系の会社なんてまさにそんな感じですね。

それ以外に何か原因は考えられるでしょうか?

私は、工業の分野で日本が世界一になり「Made in Japan=高品質の証」「世界一勤勉な国民性」と評価されたのは、日本人が持つ「みんなの顔色を伺いながら同じことをする」という国民性が大きいと考えています。

同調圧力とか出る杭は打たれるとか言われますが、この「みんな一緒がいいよね(誰かはみ出してないよな…?)」の国民性は、工場における大量生産を人間がやる時代にはとても相性が良かったのでしょう。みんな同じ時間に工場に来て、同じ仕事を同じようにこなす。そういう労働にはこの国民性はピッタリです。

でも、ITの時代は違います。Googleがラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリンという2人の天才から始まったように、数人の超優秀な人間が集まってプログラミングを行いサービス開発することで、世界中に新しい体験を提供できる時代には、工業の時代には正のアセットだった「みんな一緒がいいよね」の国民性が負のアセットになってしまいます。飛び抜けた天才、イノベーターが生まれにくい社会構造、国民性を持っているからですね。

同調圧力が効率化を自粛させる

「みんな一緒がいいよね」という同調圧力は、なぜか日本では「みんな一緒に楽をしよう」ではなく「みんな俺と同じくらい苦労しろ」という形で私達の目の前に現れます。

以前私が働いていた職場でもあったのですが、先輩が4時間かけてやっていた作業を、新しいソフトを使って1時間でやると「ズルをしてる」みたいな目で見られることがありました。

今まで4時間かかっていた作業が1時間で出来るんだから、生産性が向上して会社にとってはメリットしかない筈ですが、先輩という一人の人間から見たら「俺が苦労してやってた作業をこいつ…!お前も俺みたいに苦労しろよ!」という負の感情を抱かせてしまう場合があります。

こういう事があると「先輩がやれって言った方法で同じようにやろう。波風立てたくないし…。」という効率化の自粛が始まり、いつまでも非効率な仕事のやり方を続けるという悪循環が生まれます。

FAXとかハンコとか、みんな「もう違うだろ…?」と思っていたけど、誰も「違うよね?」と言い出せなかった状態、それがコロナの影響で顕在化しているんだと思っています。

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これは2017年のデータですが、アメリカ人が1時間で72ドルの価値を生み出す間に、日本人は47.5ドルの価値しか生み出せていないそうです。アメリカ人の約6割の生産性、という事ですね。頑張って働いてるつもりですが、効率化に対する意識が低いのは自分でも感じています…。

みんなで楽をしたらいいのに

今回のnoteで私が書きたかった「日本がIT後進国になってしまった理由」のボトルネックは「みんな一緒がいいよね」という日本人が持っている同調圧力なのでは?という事です。

そして、こういった国民性は日本人がもともと農耕民族だから、とか、村社会だから、というようなすごく根が深い、我々日本人のルーツに関わっている部分なのですぐに変えられるような事ではないのですが、同じ同調圧力なら「みんなで苦労しよう」ではなく「みんなで楽をしよう」に転換出来ないものなんでしょうか?

私は楽にたのしく生きていきたいですし(ダラダラしたい訳ではありません)、周りの人もそれぞれが楽しいと思う事、夢中になれることを見つけて生きている方が楽しい社会になると思っています。

そういうマインドチェンジの結果、効率化が「ズルい」ではなく「いいね!」な事になり、日本の生産性の向上、IT化の推進に繋がっていくんじゃないでしょうか。効率化の結果、本当に使うべきことに時間を割けるようになるって、ほんとに悪い事なんて一つも無いですよね。

とりあえず私個人としては「なるべく楽をする!」と「効率的な方法、楽をする方法を見つけた人を褒める!」という意識で明日からの仕事に向き合っていきたいと思います。

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