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1924年の悪女

「ノーグッドシングス」を観ました。ダシール・ハメットの短編原作を読んだのはだいぶ前で、覚えているのはヒロインが悪女だったこと。
ミラ・ジョボビッチさんが演じてますが、サイコパス風味ゼロ。
ひどい状況から脱出するために、たまたま悪い手段を選んでしまったのかなと同情的になってしまいます。

私がミラさんに魅力にまいってかばってるとか、そんなんではないです。ほんと悪い人には見えないんですよ。
っていえばいうほど、結婚詐欺師に騙されて尚、詐欺師をかばおうとするカモみたいですね……。

で、ここからネタバレ。

ラスト、主人公は悪女の色仕掛けを突っぱねて警察に突き出します。

映画版では主人公の刑事が、歩いていく悪女の後ろ姿を眺めながら「彼女を逮捕してくれ」と警官にいいます。解放したと見せかけてそうではなかったというオチ。

一方、小説では警察に突き出したあとに

引き立てられて行く途中、彼女は足をとめ、おれと2人っきりで話したいと頼んだ。
おれたちは、部屋の隅に向かった。
車の中でしたように、彼女はあったかい息が頬にかかるまでおれの耳に口を近づけ、それ以上下卑た言葉は考えつかないほどの悪態を小声でささやいた。
そして監房にまっすぐ歩いていっちまった。

いいですね!
これ、1924年に発表された小説ですよ。この颯爽とした悪女の佇まい、最高ですね。

ダシール・ハメットはハードボイルド小説の始祖といわれてます。登場する男性だけでなく女性もハードボイルド。まったく情に流されないタフな姿にしびれます。

ちなみに映画では舞台は現代で、主人公は探偵ではなく刑事でした。サミュエル・ジャクソンさんが演じてます。

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