マガジンのカバー画像

ビデオゲームコラム・エトセトラ

26
ビデオゲームについての雑多なコラムです。
運営しているクリエイター

記事一覧

ファミコン『デビルワールド』を久しぶりに遊んでみました

ファミコン『デビルワールド』を久しぶりに遊んでみました

当時からそのアイデアが好きだった『デビルワールド』。Nintendo Switch Onlineで久々に遊んでみました。

改めて見ても、強制スクロールを「進行(進攻)」に使うのではなく「フィールドの揺らぎ」に使うという捻り方がユニーク。やりたかったことがすごくわかる。

当時、あまり遊びこんでなくて、恥ずかしながら今回プレイし直して気づいたのですが、これって『パックマン』のようなオート移動型だっ

もっとみる
『ガントレット』イベントとヒップアップ島崎俊郎さんの思い出

『ガントレット』イベントとヒップアップ島崎俊郎さんの思い出

ヒップアップのリーダーだった島崎俊郎さんが亡くなられた。

ぼくが学生のとき、新宿のスタジオアルタで『ガントレット』のリリースイベントがあって(1階の大通り前で)、当時ナムコでバイトしていたぼくも手伝いで駆り出された。そのとき営業で来ていたのがヒップアップでした。

イベントは、来場したお客様に『ガントレット』をプレイしていただくというもので、ぼくはプレイし終えた人に特製の缶バッジを渡す仕事をして

もっとみる
1980年代のeスポーツ~ベーマガ “チャレハイ” の思い出~

1980年代のeスポーツ~ベーマガ “チャレハイ” の思い出~

ゲームセンターでハイスコアを申請すると雑誌に名前が載るという文化

以前、別のところでも少し話したことがあるのですが、『マイコンBASICマガジン(通称ベーマガ)』の「チャレンジ!ハイスコア」(通称チャレハイ)の思い出を書きます。 ※最近のツイートの転載です

チャレハイとはベーマガの1コーナーで、全国のゲームセンター約100店舗で出された各種ゲームのハイスコアを毎月集計し、ゲーム毎に全国トップを

もっとみる
『映画大好きポンポさん』を鑑賞して――こういう経験したいですよねえという話

『映画大好きポンポさん』を鑑賞して――こういう経験したいですよねえという話

少し前の映画ですが、『映画大好きポンポさん』を見ました。映画づくりの苦労と喜びを描いたアニメーション作品です。ゲーム制作にも通じるところがあり、とても感銘を受けました(トップ画像は原作1巻の表紙より)。

全編を通して感じたのは、原作者のかたも制作スタッフのかたがたも、制作現場の現実をよく知っている人たちなわけで、その人たちが自覚的に「現実にはそうそうこんなにうまく行くことはないけれど、理想的な状

もっとみる
ビデオゲームを遊ぶ側の歴史も大事ですよねという話

ビデオゲームを遊ぶ側の歴史も大事ですよねという話

ゲーム史関連の話題で、最近あるかたと話していたのですが、今後eスポーツがどんどん盛んになっていくと、当然プレイヤーの注目度もさらに上がっていくので、プレイヤーサイドの歴史も遡って顧みられる時代が来るかもしれないですね。スタープレイヤーの話だけではなく、コミュニティの歴史も含めて。

ゲームセンターとコンソールだと、遊びかたにおいてまったく異なる事情や文化がある。PCもまた全然違う。さらに家庭用ゲー

もっとみる
「ゲーム性」という言葉について自分なりの考えを語りたい

「ゲーム性」という言葉について自分なりの考えを語りたい

 少し前に、桜井政博さんの動画が発端となり、「ゲーム性」にかんする話題がトレンドに上がっているのを見ました。ゲーム性という言葉についてはぼくも昔から思うところがあったので、少し書いてみたいと思います。

「ゲーム性」にかんする古くて新しい議論

 ゲーム性なる言葉にはすべての人が共有する定義はないので、その言葉を使うことを否定的に捉える開発者の方は珍しくありません。強く否定はしないけれど自分では使

もっとみる
職種によってこんなに見え方が違うんだという話――黒澤明『影武者』の裏話を観て

職種によってこんなに見え方が違うんだという話――黒澤明『影武者』の裏話を観て

 少し前になるけど、NHKの番組で黒澤明の映画『影武者』で勝新太郎がなぜ降板に至ったかを検証するドキュメンタリーを観た。そこに出てくる関係者の証言に、職種や立ち位置による視点の違いが如実に表れてて、じつにおもしろかった。ビデオゲームの話ではないが、制作者として共感や理解できる人は多いのではないか。
 
―― 助監督の意見 ――

 当時の助監督は完全に黒澤と同じ視点で、監督のいうことを聞かない俳優

もっとみる
アクションゲームにおける“ダイレクトな死”の回避の歴史

アクションゲームにおける“ダイレクトな死”の回避の歴史

 最近、ツイッターでシューティングと難易度の話題が上がっているのを見ました。歴史的経緯などを含め、この話は定期的に繰り返されますね。

 ぼくもこの話題については以前、強制スクロールという視点からnoteに記事を書いたことがあるのですが、今回また違う角度から、シューティングゲームを含め、アクションゲームにおける「死に易さ/死ににくさ」がどう変遷してきたか、少し書いてみました(ちょっと大げさなタイト

もっとみる
昔のアーケードゲームの移植作を同じ感覚で遊ぶことの難しさ

昔のアーケードゲームの移植作を同じ感覚で遊ぶことの難しさ

 ちょっと前になりますが、移植ゲームの忠実度についての話題を見ました。自分も思うところを少し書いてみます。長いけど個人的な感覚の話で、ほかのかたが書かれていることにどうこうという気持ちはまったくないです。

当時そのままの『パックマン』とは何なのか ぼくが昔のゲームの移植版(とくにごく黎明期のアーケードの)を遊んでいてときどき気になるのは、稼働当時の筐体で遊んでいたときのプレイ感の再現が難しいとい

もっとみる
ゲームシナリオは時に映画的であり時に舞台劇的でもあると思った話

ゲームシナリオは時に映画的であり時に舞台劇的でもあると思った話

 ツイッターのTLで、漫画などのプロットやネームづくりの話題を見ました。

 ぼくが『カスタムロボ』というゲームでシナリオを書いたときは、映画の脚本の書き方をすごく参考にしましたね。たぶんゲーム制作でもごく普通の手順だと思いますが、プロットの次に、映画やドラマでいう「箱書き」をつくってシナリオの基となる設計図にしました。

 映画・ドラマの箱書きとは、ストーリーの流れを「場面」単位で区切って内容を

もっとみる
昔のゲームセンターは不良のたまり場だったというのは正しいけどすべてではない?

昔のゲームセンターは不良のたまり場だったというのは正しいけどすべてではない?

 先日ツイートした内容の転載です。

 「昔のゲーセンは不良が跋扈してたって都市伝説でしょ?」というちょっと若めの人のツイートが話題になってたけど、すごいなと思ったのが、そこについた引用リツイートによる怒涛のツッコミ数(都市伝説なんかじゃありませんよと)。続々と現れる歴史の生き証人の多さに圧倒されてしまった。

 それらが見事なオーラルヒストリーになってて、同窓会のようなにぎわいにも見えておもしろ

もっとみる
死の瞬間に立ち会う推理もの『オブラ・ディン号の帰還』

死の瞬間に立ち会う推理もの『オブラ・ディン号の帰還』

 しばらく前に話題になった推理もの『オブラ・ディン号の帰還(Return of the Obra Dinn)』をクリアしました。素晴らしいゲームでした。

 ……が、正直に書くと、全体の51/60まで自力で解いたところで、2日間ぐらい考えてどうにも先へ進めず、ネタバレを見て解いてしまいました。ゲームとしては非常におもしろかっただけに、後ろめたい気分でした。

 結局、3か所ぐらいネタバレを見て解い

もっとみる
敵にお邪魔キャラを送り込む対戦ゲーム

敵にお邪魔キャラを送り込む対戦ゲーム

 しばらく前にツイートした内容を少し修正してアップします。

 『スーパーマリオブラザーズ35』にも採用されている「敵を倒すと相手に送り込まれる」システムを最初にやった対戦ゲームって何ですかね?

 『ぷよぷよ』が思い浮かぶんだけど、ゲームボーイ辺りのソフトでいろいろあるのかな。フィールドを共有せずに対戦を成り立たせる優れた発明の一つですよね。

 ……というツイートをしたところ、いくつかリプをい

もっとみる
ゼビウス総攻撃バグの話題と、同ゲームの伝説化に関する考察

ゼビウス総攻撃バグの話題と、同ゲームの伝説化に関する考察

先日ツイートした内容の転載です。

 発売から40年近く経つアーケード版『ゼビウス』に、今になって敵が総攻撃してくるバグが見つかったということで、ちょっとレトロゲーム界隈で話題になっています。少し検索してみたら、当時偶然これを体験した人もいたみたいですね。

 ナムコにいたときに『ゼビウスアレンジメント』というゲームのディレクションを担当しました。そのときオリジナル版も選択できる仕様だったので、プ

もっとみる