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チャリティーに興味のなかった僕がなぜ17年も続けてこられたか

リクルートエージェントの内定者だった頃、当時の社長に「会社にもチャリティー休暇を導入したらどうです? それで、みんなでフィリピンに行きましょうよ」なんて、まだ社員でもないのにエラそうに訴えていた。そのくらい、僕が打ち込んでいた活動がある。

プラスワンだ。
ここと関わり、もう17年目になった。
活動は主に、フィリピンの児童養護施設と、カンボジアの孤児院の支援。ここに暮らす子どもたちの学費や生活費に充ててもらうため寄付をするのだが、その寄付金はメンバーたちが国内でさまざまな企画を立ち上げイベントを催すことで集めている。

このプラスワン、僕が学生の頃は「クラブ・ワンネス」という名称だった。人と人が互いに顔を合わせ、同じ目標・目的に向かっていくことで一体感を感じる。文字通り、LIVE感溢れる毎日だった。
当時は学生から社会人まで色んな人がいて、しかも学生が多く、金はないけど時間ならあり余った連中ばかりで、四六時中 仲間らと遊んだりケンカしたりしてた。

そんな団体も2008年にプラスワンと名称を変えた。所属メンバーに社会人が増えてきたのもある。仕事と家庭だけじゃない、もうひとつの居場所としての活動…。名前にはそんな気持ちが込められている。
メンバーの数だけ関わり方はさまざまだが、こういう活動は自分や人生を豊かにしてくれる、と僕は本気で思っている。
仕事に疲れてただ寝るだけの休日よりも、はるかに価値が高いはずだ。「有給休暇で何をしますか?」の問いに、遊びと仕事以外の活動に時間を充てていくことが、もっと当たり前になればいい、と思う。

ただ僕も、日本での活動に主体で参加できる身ではないので、サポータープログラムといった金銭的支援などの仕組みで支援を続けてきている。それに年に1度、フィリピンやカンボジアを訪問して子どもたちとただ戯れる、そんな時間も支援のひとつだ。

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冒頭の写真は、僕が活動を始めた頃のものだ。いかにも「チャリティー」という言葉とは縁遠いルックス。

なぜ齢ハタチそこそこ、トンガリまくってた僕がこの活動を始めたのか。チャリティーなんて興味がなかった僕が。
きっかけは本当にささいなもので、単に夏休みにスキューバダイビングの免許をフィリピンで取ろうかなどと考え、人伝てに相談したら「じゃぁ、チャリティとスキューバダイビング一緒にやればいいじゃん!」と誘われ、軽い気持ちでツアーに参加したというだけだ。
それまで、僕は自分にとって都合のよい世界しか見ていなかった。「まぁフィリピンっつったらキレイな海っしょ」くらいの感覚。

でも、最初に訪れたマニラで目にしたものは孤児であふれるスラム街や、人々がごみ山をあさるスモーキーマウンテンだった。
見たことのなかった光景に感情を揺さぶられた僕は、なぜかそこから熱に浮かされたように活動に打ち込み、人を巻き込み仲間を増やし、学生生活のエネルギーのほとんどをここにつぎ込んだ。
そして今も、日本にいるメンバーたちが担いできてくれたおかげで、僕も支援の一端を担えている。ちなみにスキューバダイビングもバッチリした。

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今年のフィリピン訪問は、うちの会社のメンバーも参加した。僕は、うちの会社のメンバー全員をここに連れて行きたいと思っている。それだけ、ここで体感することには価値があるのだ。

年に一度子どもたちに会いに行く。そのたった2日間のために、仕事やら家庭に忙しいメンバーたちが、何ヶ月もかけて準備を進める。特に企画を主導するメンバーたちにとっては(今回は参加者が50名を超えていただけに)、苦労がつきない。
他にも参加者や子どもらを班ごとに分けて夏祭りと称した催しを仕切るリーダーたち、子どもらにショッピングモールでのお買い物という体験をプレゼントする企画のチーム編成やら集計をする会計係、子どもたち向けに舞台で披露するパフォーマンスを主導・練習するメンバー、それに向けて楽曲製作するメンバーなどなど…。これをふだんの仕事・生活に加えて準備するのだから、決してラクではない。好きでやっていることとはいえ、嫌気がさすこともあるだろう。
でも、当日は思いっきり楽しむ。むしろ、準備段階での関わりが深ければ深いほど、楽しいのだ。僕なんか昔は行くたびに号泣してた。初めての訪問者も、十回以上来ているメンバーも、ただ等しく、子どもらと「楽しい!」の感情を爆発させる。

大人が子どものようにはしゃぐ。こんな感情を味わうことは、日常生活ではまずない。だから一人でも多くの会社メンバーを僕は連れて行き、体感させたいのだ。
所属メンバーの高齢化(笑)やライフスタイルの変化、集客や寄付金を集める大変さも伴うこの活動だが、このサイクルが持続して、一人でも多くの人(フィリピンの子も、日本の大人も)が輝いてほしいと心から思う。

今回連れて行ったメンバーたちも、それを味わってもらえたんじゃないかな。

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