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デザインの型の話〜AIの発達で今後のデザイナーの役割は変わる〜

よつばデザインという屋号でデザイナーをやっています。若手と呼ばれる時期はとうに終わりそこそこベテラン枠の年齢になってきました。
デザインはゼロから作り上げるものだったり、想像力で組み立てるものだったりというイメージが多くの人にあるかもしれません。
デザイナー自身もそう思ってるかもしれません。僕自身も昔はそう思ってた時期もありました。

デザインには型が存在する

グラフィックデザインやウェブデザインにおいて、デザインの工程の中のレイアウト領域には型が存在します。レイアウト見本帳などの書籍も何冊か出ています。ヒアリングから課題を整理し原稿を作ったらレイアウトになります。この段階で沢山のサンプルを見てレイアウトを考えるデザイナーも多いと思います。昔はAd Flashや広告が沢山掲載されてる数万円の大きな本を探すのが主流でしたが、今はPinterestでボードを整理しておけば素早くデザインの参考サンプルを探せます。ある程度の型の分類も出来ていればレイアウトの決定スピードはとても早くなっていると思います。

見出しに飾りがついているレイアウトパターン、見出しをオブジェクトで処理するパターン、2カラムパターン、不規則なカラムパターン…。途方も無い数が存在しているように思いますが、本気で分類・整理していけばある一定数でまとめられると思います。

すでに映画ポスターというジャンルではレイアウトパターンが出ています。

その他の業種もジャンル軸で見れば一定数のパターンでまとめられると思います。多分数年以内に誰かがやるか、もしかしたらすでにAIで学習しているものがあるかもしれません。

映画ポスターのように大枠のデザインの型が決まれば後はタイポグラフィのお作法など細かな調整さえ出来ればポスターのデザインは出来てしまいます。細かな調整もAIがやってくれるようになるのは時間の問題だと思っています。

非デザイナーでも器用な方であれば既存の広告を参考にしてそこそこのものを作ったりする事があります。それがプロレベルで実現するようになると言えます。

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タイポグラフィや配色にも型は存在する

タイポグラフィはとても奥深いものでもあるし、今でも勉強しなければと思いますが、王道の型は存在します。文字の行間やジャンプ率などは広告ツールによってある程度の型があります。配色も同じです。良いバランスにも型があります。

少ない型しか使えなければ同じようなデザインしかできませんが、自分で使える型のバリエーションを増やしていけば何のジャンルのデザインも可能になります。都市部で分業してデザインしている人は専業しているジャンルの型の精度を高めていくのが大切で、地方で幅広いジャンルのデザインをしている人は型のバリエーションを沢山扱えるのが大切です。

もしこれを読んでるあなたが駆け出しのデザイナーやこれからデザインを始めたいと思っているのであればレイアウトは型を学ぶを意識してみてください。デザインのレベルアップの速度が大きく変わると思います。

デザインの型の話は今まであまりはされていません。しかしAIの活用でデザインの型を分類したりするのは難しくない事だと思います。
「業界の今の状況でこんなメッセージをこのツールを使って展開するならこのデザインパターンをオススメします」とデザインまで出来上がる事はそう遠くない未来ではないかと思います。

ウェブサイトのレイアウトはAI化がはじまっている

ウェブサイトのコンテンツである画像やテキストを自動でレイアウトしてくれるGridというサービスは既に2014年の時点で話題になっています。
※現在サイトはバージョンアップのため準備中になっています。


絵画の世界ではAIが名画を描く時代へ

沢山の名画を深層学習で認識させる事で素晴らしいとされる絵画をAIが描くというのはすでに現実となっています。


型の学習とこれからのデザイン

デザイナーとして型を知っているだけで良いものが出来るというお話でもありません。他に必要な要素は沢山あります。
ただし、中小企業が求めているような良くあるタイプの広告についてはAIによる自動化の影響は避けられないと思います。経営者から見ればデザインとしても料金的にも「それで十分」となるはずです。
オリジナリティを必要とする広告が廃れる訳ではありません。ただし、オリジナリティを求められる広告は予算も大規模になってしまいがちです。そのために必要な人材はそう多くはいらないと思います。

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人間にしか出来ない事を伸ばす

例えAIを活用してレイアウトやタイポグラフィや配色などが一定のクオリティで出来たとしても効果的に伝わるかどうかは別の話です。
企画の切り口や写真や想像力など人にしか出来ない事はあります
もらった素材を言われるがまま配置するような人材は不要であり、提案力や問題解決力や新しい視点などを持ったデザイナーが求められるようになります。心理学や行動経済学に加えて政治や社会の流れ、環境やテクノロジーの変化についても一定以上の知識が必要になると思います。
経営者と対等に話せるコミュニケーションスキルも重要になってきます。

現在デザイナーと言えば広告ツールやウェブサイトを作る人(作業者)のイメージが一般的だと思いますが、今後は狭義のデザインではなく広義のデザインの役割へと大きく変わると考えます。

それらをデザイナーが多くの人に知らせる事も必要です。営業活動のやり方も変化するかもしれません。

広義のデザインが求められるようになった時に思い出してもらえるデザイナーでありたいと考えています。


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