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【物語】 林檎の王様と真っ赤な国 (6)

(前回)

* * * * *


真っ赤な国はお祭り騒ぎ

赤だけなんて愛さない

真っ赤な国は 三色国家

現名称は 原色の国

青も黄も愛しましょう


三色すみれが華やいで

そこらでサンバカーニバル


腰振り 腰振り ラッタッタッ

皆飲め 騒いで ドルンドルン


僕らは赤色 情熱さ

僕らは青色 冷静に

僕らは黄色 好奇心


それそれ みんなで 歌いましょう

ラッタッタッ ドルンドルン カッタラント


* * * * *


林檎の王様 城の窓から 町見るたびに

頬をぷくぷく ならしている

大変楽しげ ぷくぷくならす


見知らぬ色は あるだろうか

色は多様にあると聞く

よくよく考え 欲が湧く


* * * * *


紙の魔女は大変満足

餅はこれで救われる


色とりどりの美しさ

林檎の王様 教えたならば

既にここに 用はない


帰りを待つ友の元へと

早速報告しに帰ろう


けれども またもや あくる日

王様からの 唐突 呼び出し


機嫌を損ねる訳にはいかず

しぶしぶ 城に向かう紙

何かあったにちがいない

そうだ、ちがいない


* * * * *


紙が城に着いてすぐ 待ち構えていた 林檎の王様

赤い顔でこちらを向けば 一直線に駆け寄る王様

紙は驚く 目はぱちくり ひらひら驚く


「待っていたぞ! 紙の魔女」


嬉々たる声は いつもと違い

気色悪さを醸し出す

妙に明るい 林檎の王様

あくまで変わらず 紙 対応


「今日は如何様で、赤の王。既に色はお見せした。餅への処罰はないと聞いたが、話は違いましたでしょうか」

「いやいや、むしろ、その逆だ。処罰どころか、感謝する、餅は魔女を導いた、紙が色を生み出した、私は心から感謝する」

「それならば、なによりでした、赤の王」


くしゃっと会釈 白い紙

適当 言葉をあしらって

その場を去ろうと試むも

林檎の王様 話を止めぬ

言葉を続けて 頼み込む


「青も黄も大変よい。国の者も見ての通りの騒ぎぶり。だがこれだけでは飽きてしまう。もっと美しい色はないものか」

「もちろん、これだけではありません。しかしながら、これらは原色、徐々に色は増えますでしょう。その度に愛せばよいでしょう」

「いやいや、待てぬ。私は認める、無知であったと認めよう。だから何も知らぬのだ。もっと色を教えてくれ」

「お言葉ながら、私は友の頼みで参った身。これ以上は蛇足でしかありません」

「そう言わず、何もタダとは言っていない。うんと褒美を与えよう。最後でいいのだ、紙の魔女、私は多くの色を知り、国をよりよくしたいのだ」

「林檎の王様と真っ赤な国 (7)」につづく)



ー!ATTENTION!ー
・2019年に小説投稿サイトの「お題:赤」のコンテスト用に書き下ろした作品です。(再編したものを掲載しています)
・この作品はフィクションです。現実における全ての事と一切の関係はございません。

《ここまで読んで下さりありがとうございました!》
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