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”外国語力は二の次”によって起こること

 世界中で死者数が1,483名(2月14日未明時点、日本経済新聞)に達するなど、新型コロナウイルスの影響は益々拡大しています。


 上海から一時帰国中の当社社員によると、当社のお取引先の中国現地拠点では、従業員が自宅から出ることができない、中国(日本)に帰ることができない、といった事態に数多く見舞われていて、依然として緊張が続いている模様です。

 1日も早い事態の収束と、罹患しておられる多くの方々の回復を祈るばかりです。

 さてそんな中、当社のお取引先中国拠点の中には、現地の日本人駐在員のスピーディで的確な対応により現地従業員の安全をいち早く確保した、という例も見られます。

 発生当初、現地では検査体制が追いつかず、そのために拡散防止の対策も遅れたと言われていますが、その会社の総経理(駐在員)は堪能な中国語と交渉力でいち早く政府当局に掛け合い、自社の従業員に検査を実施、罹患状況を把握することができたのです。

 まず何をすべきかという判断力や行動力もさることながら、重要なことは堪能な中国語力と政府筋との交渉の経験が豊富であったことです。

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 中国に限らず、海外に駐在員を派遣している日本企業の中で、その要員として“仕事”と“マネジメント”に加えて“国際コミュニケーション”もできる、すなわち「トリプルツール」の持ち主を不足なく準備できている企業は意外に少ないものです。

 その結果、後任がアサインできず現任者の赴任期間だけが延々と伸びていくという問題もある一方、「外国語なんか二の次だ」と、乱暴なアサインが行なわれることも少なくありません。

 そして、それに伴って今回のような不測の事態が起こった時に最も重大な被害に見舞われるのはアサインされた本人(従業員)だということを忘れてはなりません。
 すなわち、安易な海外赴任者選定は、人事責任者や経営者の「安全管理義務」違反になりかねないということです。

 一人目の駐在員を派遣してから二代目の駐在員を送るまでの3〜5年。


 トリプルツールの持ち主を育成・創出するには充分な時間とは言えないまでも、3年間でできることは少なくないはずです。(経験者の中途採用や、既存管理職に対する語学研修など)

 安定的に海外駐在要員候補(プール人材)を蓄える努力を“今”始めることも、ロジスティクス(HRL)なのです。

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