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サービスデザインの現在地と戦略


サービスデザインを実行したかったわけではない。今事業に必要な行動がサービスデザインだった、というだけである。

それがデザインにおけるどの領域なのか。そもそもそれはデザインなのか。そのような議論は意味を成さない。「事業成長に繋がるか否か」ただそれだけを純粋に追求していきたい。

今我々が注力するこの活動の現在地を一度まとめたいと思う。



事業貢献とその効果が叫ばれている

事業会社所属のデザイナーとその業界は「事業貢献とデザインの効果追求」の重要性を発信し続けている。多くのデザインイベント・話題のデザイン系記事で、警鐘を鳴らす論に触れている。

私もまさにその「効果追求」に日々対峙し悩みながらも、行動し修正を繰り返している最中だ。そしてこのサービスデザイン領域はまさに「効果」に最も近い活動のひとつだと考えている。

その理由は、顧客に近い場所だということ。そしてそれは、一次情報の在処ありかだ。この「顧客起点」の思考は、デザイナーだけでなく全職種において説明不要の最重要事項である。


助けたい人・笑顔にしたい人は誰か

デザイナーは迷っている。膨大なインタビューデータ、他部署から聞こえてくる顧客課題、上司や仲間が持つ意見や情報。「あの人が言っていた」それらは全て、一次情報ではない。

現場に行こう。事実をその目で見に行くこと。顧客の状態を知り、優先すべき課題を知る。それら一次情報が「今何をすべきか」を教えてくれる。業務の優先順位で迷うことはもう無くなるだろう。

意思決定ができる。現場で困っていたあの方の業務を少しでも楽にしたい。あの人が笑顔になるためには何が必要だろう。そのような思考が意思決定に力を与え、デザインを洗練させていく。


まずは事例を積み上げる

新しい取り組みを始める際には、誰もその良さを理解できない。それは当然のことだ。ましてや自分すら上手くいくか分かっていない。よって、まずは小さな事例を積み上げることに専念した。

デザイン思考を活用する。その理解を他部署に求めたいところだが、まずは成功事例の創出が先だ。さらに私の場合、デザイナーであることすら一旦忘れた。事業部と共通の目的を追いかけ、彼らの目標を達成するために。

自ずと会話は顧客主語になる。売上・事業指標・ROIの話になる。効果に向き合うことは、ビジネスに向き合うこと。我々の貴重な時間と技術を、価格に変換していく。


デザイン事例が武器となる

事例が少しずつ積み上がるなかで効果が創出し始めた。しかし、その効果がデザインによる効果なのかを論理的に証明できない。変数が多く、立証は高難度だが、事例の横展開を実現させるために挑戦を続けている。

そのような動きと並行し、ある事例が舞い込んできた。メンバーが積み上げた事例を見て契約を決めたという企業様が現れたのだ。事例を見たことで、具体的に課題解決イメージが湧いたとのこと。

嬉しかった。今までは既存顧客に対する現場体験の改善を目的にしていた。しかしながら、デザイン事例が武器となり「それが欲しいので契約したい」という新規顧客獲得が実現したのだ。


バーニングニーズとの接合

個社ごとに現場の顕在/潜在課題を探索し、PoCを実施してきた。数ヶ月前はその考えしか無く、一つのプロセスを具体化することに必死だった。そしてそれは今後も泥臭く継続していきたい。

まずは事例を積み上げていく。一方でそれらを「フェーズが異なる各企業」に対し紹介する。それは、1:機能するデザインの具現化と、2:企業のバーニングニーズを、接合させる戦略である。

効果に向き合い続ければ、別角度から思いがけない効果が降りかかる。自社ビジネスモデルにおける重要課題に焦点を絞りつつ、これからも現場起点・顧客起点にて効果を追求していきたい。


全ては「現場」から始まる

やるべきことが明確になってきた。これからさらに加速させていきたい。まだ始まったばかりのサービスデザイン。競合優位性になると確信するこの活動は、ワーカーと事業者双方の職場体験を向上させていく。

それは、顧客の成功をデザインすることであり、我々デザイナーしか生み出すことのできない「効果=事業成長」といえるだろう。

戦略とは「勝てる場所」を探すことだ。熱い課題を解きほぐし、効果(利益)が得られる場所で闘うことに挑戦し続けたい。そして、それら全ては「現場」から始まる。




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