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業(なりわい)を起こす=起業

注)このnoteは、株式会社ネクイノ代表取締役の石井健一が株式会社ネクイノメンバー向けに書いているnoteです。そのため、使用している用語に通常で使われているものと意味合いが異なる場合があります。

最近、ご縁をいただいて今から起業します!とか資金調達について教えてください!という声をいただくことが増えてきたので、僕の1社×5年間くらいの経験ですが、忘備録としてまとめようと思います。

1.起業とはなんぞや?

タイトルの通り、「業」(なりわい)を「起こす」ことで、すでに存在している企業や組織ではなく自分自身が旗を立てて進んでいく様を指していると思います。ただ、起業は何かを達成するための”手段”であってそれ自体が目的の場合はうまくいかない&長続きしないんじゃないかな、って思ってます。

実際、僕自身1つ目の会社を起業したときはまさに起業が目的でした。起業するためにビジネススクール行って、卒業したので起業してもうまくいくだろって安易に思って走り出しましたが、自分がやりたいことってこういうことだっけな??みたいな暗中模索な状態でイノベーションからはほど遠い世界にいたなぁ、っていうのを思い出します。

今から起業をしたい、起業を考えている方にお伝えしたいのは、〇〇を達成するために既存の企業や組織では□□な理由でできないから、自分がやるんだ!って思ったら起業を考えたら良いんじゃないかな、って思ってます。
僕個人的にはそれ以外の理由で起業を選ぶと辛いだけじゃないかな・・・って思ってたりします。

2.原体験は必要ですか?

”ない”よりは”あったほうがいい”けど、それ以上でもそれ以下でもないと思います。原体験は、特に初期のしんどい時には貴重な燃料になります。でも、成長期に入ると原体験は成長を阻害する大きな”重り”にしかならないんじゃないかな。例えば、メルカリの小泉さんは「自分のものが売れなくて困った」みたいな原体験ってあっただろうか?DeNAの南場さんには「自分がやりたいゲームがない!!」みたいな原体験ってあったんだろうか?多分否ですよね。

投資検討をしていただく際に原体験を聞いてくださる投資家の方って少なくないと思うんです。でも、上記の問に対してなんて答えますか?
小泉さんや南場さんは別格だ、って答えるんだとしたらそれはズルいですよね。

だから、僕はないよりはあったほうがいいけど、それ以上でもそれ以下でもない。そう思ってます。実際に僕生物学的な男性ですけど、ピルの普及が進んでいないことに関する原体験って持ってません。。。医療のあるべき姿とか、医療者と患者のコミュニケーションの未来像みたいなものに対しては一家言ありますけどね!!

3.じゃぁ、どうやって起業のネタを探すの?

エスノグラフィー、ただこれに尽きると思います。同じ映画を見ても感想が変わってくるのと同じように、目の前に起こっている状況から「何か」を感じ取ることができるか。日々流れてくる社会情勢やNEWSから、何かを結びつけることができるか。多分、ここには感性と経験値の掛け算が必要になってくると思ってます。

韓国のドラマなんですが、スタートアップ:夢の扉っていうのがあります(Netflixで見れます)。友人や同僚から勧められて見始めたんですが、どハマりしました。

この物語の中で、CEO(最高経営責任者)としての資質を図るために、さまざまな質問(社会情勢、経済、サイエンス)などに限られた時間で回答していく・・・っていうシーンが出てきます。あぁ、まさに『これ』だな!!って思いました。

例えば、
■地球温暖化
■少子高齢化(日本)
■人口増加
■医療費高騰
■公衆衛生の悪化
■南北経済不均衡
■食料問題
みたいなテーマをポンって出されて、それらに対して
□AI
□ブロックチェーン
□脱炭素
□自動運転
□遺伝子治療
みたいな手法を組み合わせてみよ、ってお題が出された時にどう答えますか?

正確な「答え」が必要なんじゃないんです。その、あなたが導き出した答えに至るまでの「導き出し方」「スピード」この2つだけが評価に値するんです。

いま、自分が感じている「不」に向き合うっていうのも重要なテーマなんですが、それよりもパイが大きいこういう課題に対して、どんな解を導き出していくのか、そしてその解を実現する手段の「最適解」が起業なのであれば、起業っていう道を選ぶべきなんじゃないかな、って思ってます。

4.起業のネタが見つかったら?

こっから先は最短コースです。

①仲間集め
②資金集め

ただこれだけです。どんなに優れた人でも、一人では大きな課題は解決できません。僕の好きなアフリカの諺に、

早く行きたいなら”ひとり”で行きなさい。
遠くへ行きたいなら”みんな”で行きなさい。

っていうのがあって、大きな課題を解決するには優れたチームが必要です。優れたチームの作り方はまたどこかで書くとして、自分一人で解決できてしまいそうな課題に向き合うのは、多分起業の醍醐味を味わえないのでやめたほうがいいと思います。

次に、資金集めについて。これも考え方はシンプルで、起業は基本失敗します。うまくいきません。だから、うまくいかなかった時でも身動きが取れる、再チャレンジがしやすい戦い方をする、これにつきます。

考え方として

返さなくていいお金>>返さなければいけないお金

資本コストが低いお金>>資本コストが高いお金

っていう順にお金を集めていけばいいと思います。僕の知る限り最も返さなくてよくて、かつ資本コストが低いお金は「自分のお金」です。
その次は、政府系金融機関の創業支援融資です。一応、返さなくていいっていう言い方は少し語弊があるので、「全力で頑張ったけど、うまくいかなかった時に返済を強要されない」って言い換えると適切かなと思います。

創業支援融資を使えば、数百万から一千万円程度の資金が確保できます。このお金を使ってマーケティングリサーチを行ったり、プロトタイプの開発を行なったりしてフィードバックを受けることを最初のゴールにします。

5.投資家には「最も平易な仕組みと言語」で説明せよ

創業間もない自分に声を大にして伝えたいメッセージがコレですw
世の中にまだあまり知られていないビジネスモデルや、深い洞察に基づく市場探索を行う場合、その道のプロではない投資家に理解をしてもらうのに多大なるコストを必要とします。

どんなに素晴らしいビジネスモデルも、まだ誰も知らないニーズの発掘も、投資家という「人」に理解されないと次のステップに進めません。この時、絶対にやってはいけないのは「難しい専門知識で武装する」ことです。すでに世の中に知られている仕組みや実装されているものを出発点に、何が違ってどう良いのか、それによってどんな未来が訪れるのかを丁寧に説明しましょう。めちゃくちゃわかりやすい単語と文法を使って。

6.シードステージは起業家の勝ちゲーム

今日のnoteは、コレが最後。改めてシード期(まだプロダクトやサービスが立ち上がっていない黎明期)の投資検討は、圧倒的に起業家が有利だ、ってこと。コレを書くとえ???逆じゃないの???って思われますが、まだ動いていないプロダクトやサービスに可能性を考えて値付けをしなければいけない大変な作業を伴うのは起業家側ではなく投資家サイドで、例えていいのかどうかわからないですがまだ建築されてもいないマンションの一部屋を先に買うようなもの。でも、この時点で投資をしないと投資家サイドは大きな利益を上げることができません。だから、「投資をしたい」。そんな状況なんです。

でも、僕も含めた起業家1年生は、残念ながら情報の不均衡があって圧倒的にファイナンスに対して不利な部分にいます。そういう状況で、なんとかゲームが成立している状況なんです。だから、投資家サイドのニーズや特徴をしっかり理解して交渉に臨むこと。これが絶対に必要なポイントです。

え!?そんなの難しすぎるって??

いやいやいやいやいやいや・・・・

これはユーザーの真のニーズを掴むことに比べたら10000倍楽です。

◉投資をしたいです

◉投資に対して必要十分なリターンを得たいです

◉その上で起業家が目指す世界の実現の伴走がしたいです

この3つを満たせるような提案を投資家に行うことができれば、何度も言いますがシード期は起業家の勝ちゲームです。ワンサイドゲームって言ってもいいかもしれません。

だから、資金調達で悩む当時の僕へ伝えたいことは、

最も平易な仕組みと言語で説明せよ

ってことかな。

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