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風俗嬢だけじゃない!企画屋として出会った”クソ客”を紹介する(1)

お客様は神様です」という言葉を聞いたことがない日本人は存在しない。

そう断言してもいいくらい、この言葉は日本社会に浸透している。


初めて「お客様は神様です」という言葉を使ったのは演歌歌手の三波春夫だそうだ。

1961年に舞台上で歌う心構えを語った三波春夫は「お客様は神様です」という意味の発言をし、それが誇張されてモノマネされた結果、定型句として日本に浸透した。

だけど、最初に三波春夫が語った言葉の意味は、現在意味するところとはちょっと違ったようだ。お客の前に出る時は、神様の前に出るときのようにおごそかな気持ちでいるという意味の発言だった。

決して、「お客様の要望は絶対であり、常に尽くしなさい」といった趣旨の発言ではない。

(参考:三波春夫公式サイト


ではなぜ、現代理解されてるような「お客様の要望は絶対」という意味で流通してしまったのか。

僕は思う。そこには時代性があったのではないか。

三波春夫がこの発言をした1961年、日本は高度経済成長の真っ最中。年間10%を越える暴力的な経済成長の中にあった。産業構造は激変し、サービス業の割合が年々大きくなった。

産業におけるサービス業の割合が増えるということは、今までサービス業に従事していなかった人が従事し始めるということである。そして、「お客様は神様です」はサービス業未経験の人に与える礎石として非常に優れていると言えよう。きれいごとかもしれないが、サービス業に従事するものの心構えとしては理想的だ。

だから上司は、頼りない部下に与える格好の教えとしてこの言葉を濫用したし、言われた部下も好景気に浮かれているので「よし。もっと良いサービスをしてもっと出世するぞ。儲けるぞ」と期待に胸を膨らませることができた。上司も部下も、この理想論を受け入れる土壌があったワケだ。


それから50年を越える時が経ち、令和の時代が訪れた。景気の良いニュースよりも、ブラック企業が受けた行政処分の方がキャッチーに報道される時代だ。”顧客第一主義”を掲げる企業はどうしてもブラックなイメージがあり、印象はあまりよくない。「お客様は神様です」という価値観は最近になってずいぶん揺らいだ。

ここ数年で”クソ客”という言葉がメジャーになった背景には、この価値観の変遷があるのかもしれない。


Twitterでは、風俗嬢やキャバクラ嬢が”クソ客を晒す”という文化が醸成されている。しょうもないメッセージのスクリーンショットがタイムラインに流れるのは日常茶飯事になった。


客、大変である。ちょっと前まで「神様」だったのに、最近は「クソ」だ。とんだ没落劇である。ここまで好感度が一気に下がることがあるのだろうか。

そんな事例を、僕は他に知らない。某女性タレントが不倫した挙げ句ゲスの極み的なLINEが流出した時の好感度の没落は相当だったけど、それでも神様からクソの振り幅にはかなわない。

画像1

(画像引用元:https://dot.asahi.com/dot/2016010700007.html


さて、そんな好感度ガタ落ちの客に対する「クソ客晒し」という文化だが、風俗嬢やキャバ嬢から始まり、最近ではコンビニや飲食店勤務の人もやるようになっている。「タバコの銘柄を雑に言い、すぐに出せないと怒るオジサン」などがコンビニにおける典型的なクソ客のようである。


それにしても、表向きは丁寧に謝っている店員が帰宅後にSNSで「クソ客消えろ」と書き込んでいると考えるとなかなかに世紀末を感じて楽しくなる。

このツイートには、「ホントにこういうクソ客は死んで欲しい」などと、ギャラリーによって更に汚い言葉で便乗のリプライがぶら下がる。

口汚く店員に接している客、表向きは丁寧なのにSNSでそれ以上に汚い言葉を使う店員、最上級に汚い言葉で便乗するギャラリー。テクノロジーが作り上げた地獄がそこにはある。it’a true wolrd.狂ってる?それ、誉め言葉ね


そんなワケでずいぶん「クソ客」についての情報は可視化されたのだが、水商売やコンビニ、飲食といったありふれた業種はともかく、レア業種のクソ客の情報はあまり出回ってない。

少なくとも僕は、ニワトリのヒナ雌雄鑑別師がクソ客についてツイートしてるのを見たことがない。「あいつ、鑑別率98%なのに文句つけて来やがった!名古屋コーチンで98%出したら立派だろ!クソ客消えろ!」みたいなツイートは見たことない。あったら見たい。

そして、ヒナ雌雄鑑別師ほどではないにせよ、僕もそれなりにレアな業種である。インターネットで変な企画を出し続けて生計を立てている。だから、珍しいクソ客情報を持っていることに気づいた。

僕は毎月1回「初対面から悪口しか言えない飲み会」とか「自分の強みを全員がパワポでプレゼンする合コン」とかそういうイベントをやってきた。ここ5年間でやってきたイベントの述べ来場者数は1000人を越える。

また、変なWEBサービスもよく作っている。最近だと「ヒモになりたい男性とヒモを飼いたい女性のためのマッチングサービス」を作った。このサービスは8000人くらいのユーザに利用されている。

こういう謎のものを色々作っていると、困った人がたくさん引き寄せられてくるらしい。「こいつクソ客だな」と思うことがしばしばある。

まあ僕は「顧客第一主義」などは全く考えていないのでクソ客は常にテキトウに扱うし、めんどくさい問い合わせは全て無視するので特にストレスはない。したがって、SNSに書いてうっぷんを晴らす必要はないのだけれど、単純に書いたら面白そうなので時々書こうと思う。パッと思いついたクソ客2人の事例を今日は書く。


ということで、具体的なクソ客の話になるので以下有料である。読みたい方はお金払って読んでね。単品購入(300円)もできるが、月額購読(500円/月)の方がオススメだ。いつ入っても今月書かれた記事は全部読めるよ。


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