効果的なパフォーマンスマネジメントの実施に必要な要素と、それがもたらす効果
人事担当者にとっては、目標設定・フィードバック・レビューなどのパフォーマンスマネジメントが、従業員やビジネスにプラスの影響を与えることは自明の理でしょう。
そのため多くの企業の人事部は、パフォーマンス・マネジメントを2021年に向けての優先事項のトップ5に位置づけています。
今回はそんなパフォーマンスマネジメントについて、もたらすものや必要な要素を解説していきます。
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パフォーマンスマネジメントとは何か
パフォーマンスマネジメントとは、会社のプロセスや環境・文化を通じて、従業員のパフォーマンスを最大化する仕組みのことです。
従業員の仕事の質に対する期待値を明確に設定し、仕事の生産性を向上させることで、従業員のパフォーマンスを管理します。
効果的なパフォーマンスマネジメントの利点として、人間関係の改善だけでなく、従業員のエンゲージメント・生産性・満足度の向上が挙げられると述べています。
パフォーマンスマネジメントの不備がもたらすもの
パフォーマンスマネジメントの不備は、企業全体に影響を及ぼします。
パフォーマンスマネジメントが不十分だと、従業員は自分の成長や進歩に対して意欲を失ってしまいます。
特に事前に評価する基準が提示されていない場合、そのような状態に陥る可能性が高いです。
このような評価基準は、従業員が自分のパフォーマンスを向上させるために、どの分野が優れていて、どの分野が劣っているかを理解するのに不可欠なものなのです。
不満を抱いている従業員は次のようなことを引き起こします。
その結果、従業員満足度の低下は、収益を含む組織全体に恒久的な損害を与える可能性があります。
また、従業員と管理職の関係が良好でない組織も苦境に立たされる可能性が高まります。
実際、マネジメントが上手くいかない代償は大きくつきます。
コミュニケーションと期待の欠如からくる高いストレスに悩まされると、次のような結果が起こり得ます。
パフォーマンスマネジメントがもたらすもの
ここからは、パフォーマンスマネジメントが企業にもたらすもの・メリットについてです。
もたらすもの①|従業員の定着率を高める
従業員は、やりがいのある環境で働きたいと思っています。
LinkedInのある調査によると、90%以上の人が、自分の成長につながる仕事なら長く続けたいと考えていることがわかりました。
また、別の調査では、従業員の3分の2が上司や同僚からのフィードバックを求めているという結果が出ています。
つまり離職率を下げたいのであれば、パフォーマンスマネジメントに真剣に取り組む必要があるということです。
従業員の維持は、採用・トレーニング・新入社員の受け入れにかかるコストから、特に重要視されています。
こうしたプロセスには、多くの時間や費用、労力が費やされますが、従業員が転職を決意した場合、最終的には損失となってしまいます。
高い業績を上げている従業員に挑戦を促し、さらに向上するためのコーチングを行っていないと、その従業員を失うコストは、パフォーマンスマネジメントプロセスやソフトウェアを導入する費用をはるかに上回ることになるでしょう。
もたらすもの②|チームに優先順位をつける力を与える
私たちは日々の仕事のうち、有意義なものと単に時間を取られるだけのものがどのくらいの割合か把握しているでしょうか。
目標設定を含むパフォーマンスマネジメントのフレームワークにおいて最も価値があるものの1つは、チームの優先順位をはっきりさせることができるという点です。
目標を含むパフォーマンスマネジメントのポイントは、自分たちが正しいことを正しい方法で行っているかどうかを、人々が確実に把握できるようになります。
管理職に自分のチームに対するビジョンや、チームに何を期待しているかを尋ねると、訝しげな表情を浮かべることが多々あります。
管理職の重要な責務の1つは、直属の部下が業務の価値を高めることができるようにすることです。
しかし具体的な目標が設定されていないのに、どうしてそれを期待することができるのでしょうか。
明確でない目標設定やフィードバックは、非常にわかりづらく不愉快なものです。
効果的なパフォーマンスマネジメントは、管理職をサポートし、彼らの業務を楽にするものであるべきで、難しくするものであってはいけません。
もたらすもの③|アウトプットが測定可能になる
ビジネスリーダーは様々な項目をデータとして測定することを使命としているにもかかわらず、多くの企業である重要な項目が抜け落ちています。
それは従業員のパフォーマンスです。
パフォーマンスプロセスを導入するよう経営陣を説得するのであれば、アウトプットに関するデータを得られるという点をアピールすることから始めましょう。
業績についての報告が可能になることの価値は、責任の所在を明らかにするということではなく、責任の所在を変更する必要があるかどうか、追加のコーチングが必要であるかどうかを明らかにする点にあります。
また専門家は、データ主導のパフォーマンスマネジメントにはもう一つの重要な利点があると述べています。
管理職がより整然としたアプローチで評価を行うことで、「直感」や「無意識の偏見」が人員配置の決定において大きな影響を及ぼすことが少なくなるのだそうです。
従業員は、定期的な評価の透明性と公平性を高く評価します。
恣意的に決定されることがなければ、それは最終的に従業員のパフォーマンス・成果・そして企業全体の収益に還元されるのです。
もたらすもの④|目標やレビューは強力な動機付けとなる
初歩的なパフォーマンスマネジメントプロセスでさえ、従業員のモチベーションを高めることができます。
たとえば、ある大学の研究によると、目標を書き留めるだけでそれを達成する可能性が42%高くなることがわかりました。
小学校である部分がテストに出るかどうかを生徒が尋ねて、教師が「出ない」と答えたとしたら、誰もそこを勉強しない可能性が高いでしょう。
ビジネスでも同じことです。
また従業員の心理以外に、もう一つより具体的な動機付けがあります。
報酬と業績を連動させると、さらなるインセンティブが従業員のアウトプットを向上させる可能性があるのです。
従業員がメリットを感じることができれば、人事施策への参加は非常に容易になります。
このアプローチを採ることで、チームのモチベーションは高まり、より責任感を持って業務に取り組むことができるようになるでしょう。
効果的なパフォーマンスマネジメントに必要な要素
最後に、効果的なパフォーマンスマネジメントの実施に必要な要素を解説します。
要素①|コミュニケーションの改善
従業員と管理職は頻繁に連絡を取り合い、同じ認識を持つようにすべきです。
特に社外に出られる場合は、毎週一対一のミーティングを行いパフォーマンスマネジメントの青写真を描くことが、緊密な関係を築くための一つの方法となります。
要素②|ルールの確立
従業員と管理職は、業績評価の方法について、プロセスやプロトコルを確立しておく必要があります。
職務記述書を明確で詳細に記述しておくと、具体的な職務やタスクを伝えるのに役立ちます。
また後日、従業員のパフォーマンスを評価する際にも利用できます。
要素③|ストレスの軽減
パフォーマンスマネジメントは、期待されるパフォーマンスに関連したフィードバックを与えるため、従業員は質の高い仕事がどのようなものかをよりよく理解することができます。
自分に何が期待されているかを知っている従業員は、自分自身で問題に取り組むことも、上司にフィードバックを求めることもできるようになります。
上記の要素はすべて、人間関係の構築に起因するものです。
従業員のパフォーマンスをうまく管理したいのであれば、従業員と上司の関係を緊密にする必要があるのです。
まとめ
パフォーマンスマネジメントへの投資はベストプラクティスであるだけでなく、ビジネスの成功のための必須条件です。
導入がまだな企業様はまずは本記事から、実施とメリットの概要を知っていただけますと幸いです。
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