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ビジネスパフォーマンスマネジメントの観点から見た、パフォーマンスマネジメントに含めるべき要素

パフォーマンスマネジメントには、その上位概念として「ビジネスパフォーマンスマネジメント」という考え方があり、これは全ての企業で意識するべき考え方になります。

今回は、そんなビジネスパフォーマンスマネジメントについてと、その観点から見たパフォーマンスマネジメントに含めるべき要素を解説していきます。

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ビジネスパフォーマンスマネジメントとは?

従業員パフォーマンスマネジメントは、特定の役割における従業員の有効性を測定するものです。
一方、ビジネス・パフォーマンスマネジメントは、企業の全体的な成功を測定します。

財務の健全性、顧客や従業員の満足度を測定・分析することで、企業は現在の成功を総合的に評価し、成長のためにどこに力を入れるべきかを特定することができ、この観点がビジネスパフォーマンスマネジメントという観点では必要なのです。

ここからは、ビジネスパフォーマンスマネジメントという観点から、パフォーマンスマネジメントに含めるべき人事・人材データと、その結果を現在、そして近い将来および遠い将来のビジネス改善に活用する方法について説明します。

パフォーマンスマネジメントに含めるべき5つの要素

ここからは、パフォーマンスマネジメントに含めるべき要素を解説していきます。

パフォーマンスマネジメントの本格的な実施を検討している方は、以下の5つの要素意識しておくようにしましょう。

要素①|エンゲージメント

パフォーマンスマネジメントの重要な側面は、従業員が自社で働くことをどのように感じているかを理解することです。
従業員を活性化させるような役割・プロジェクト・キャリア機会を提供していれば、優秀な人材をより簡単に企業に引き寄せることができます。

また彼らを成長させ、維持し、エンゲージメントを高めることも可能です。
2020年のGallup社のある調査では、従業員エンゲージメントの高い企業は低い企業に比べて、実際に顧客エンゲージメントや生産性、従業員の定着率が高いという結果が出ています。
またこうした企業では、事故が少なく、収益性が23%高いことも明らかになっています。

一方、従業員エンゲージメントに投資しないことは、実はビジネスにとって高い代償を支払うことになる可能性があります。
同じくGallup社の調査によると、従業員自らが離職することによって、アメリカ企業は毎年4,830~6,050億ドルの生産性損失を被っていることが分かっています。
だからこそ、従業員のエンゲージメントに常に注目しておくことは、ビジネスの基本的な関心事であるべきなのです。

従業員の幸福を優先するためには、従業員エンゲージメントの現状を把握する必要があります。
エンゲージメント調査・従業員ネットプロモータースコア(eNPS)調査・パルス調査によって、従業員エンゲージメントを定量化し、職場感情の変化を追跡し、全社的な人事・人材イニシアティブの影響を測定することができます。
またこれらの調査によって、自社のeNPSをベンチマークし、人材を獲得するために競合他社と自社がどのように比較されているかを把握することができます。

要素②|専門能力の開発

専門能力の開発には、従業員が関心を寄せることが多い、スキルアップとキャリアアップの2つの側面があります。
前者は、特にキャリアを確立し、成長したいと考えている若い世代にとって、強い動機付けとなります。

Gallup社によると、ミレニアル世代の87%が、仕事において専門性やキャリアの成長・発展の機会を重要視していることが分かっています。

また従業員が新しいスキルを身につけ、既存のスキルを磨くことができるように、専門能力開発奨学金・社内指導プログラム・OJT・単発のトレーニングクラスなどを提供しましょう。
このような補助的な福利厚生を提供することで、従業員が組織とともに学び、成長することを望んでいることを示すことができます。
LinkedInの調査によると、94%の従業員が、学習と能力開発に投資してくれる企業であれば、より長く勤めるだろうと答えています。

このようなアプローチは、企業でプロフェッショナル開発を拡大するための素晴らしい方法ですが、どのような専門的な分野での能力を開発するかは人によって大きく異なります。
そのため、管理職は従業員のキャリアパスを導く手助けをする必要があります。
管理職はチームと継続的にキャリアについて話し合い、従業員一人ひとりのキャリア目標を把握し、組織内で縦割りまたは横割りのキャリアアップを支援する方法を理解しておく必要があります。 

特に人事考課は、従業員とキャリア目標について話し合う絶好の機会です。
管理職は人事考課の際に、直属の部下と業績のフィードバックを共有し、彼らの強み、弱み、成功のチャンスとなる分野を特定するのに役立てる必要があります。
たとえ現時点での業績が好調でも、管理職は建設的なフィードバックを共有し、新しいスキルの習得や職務外の新しいプロジェクトへの挑戦など、より多くのチャレンジを促すことを目指すべきでしょう。

要素③|目標

目標は、単に個人のモチベーションを高めその成果を測定するだけでなく、仕事に目的と意味を与えるものです。
目標設定に真剣に取り組むことで、従業員は日々の仕事の意味を理解し、会社全体のミッションとのつながりを感じることができるようになります。

そのためには、効果的なカスケード目標を設定することが有効です。
カスケード目標は、組織・部門・チーム・個人の各レベルで目標が一致するようにし、その会社で働く全員が、自分の業績がビジネスの発展にどのように貢献しているかを理解できるようにするものです。
この方法は、SMARTゴールやOKR(Objectives and Key Results)という目標設定のフレームワークと組み合わせることで、組織の透明性を高め、従業員のモチベーションを向上させるのに有効です。

OKRについて詳しく知りたい方は以下の資料をご覧ください。

はっきりとした力強い目標を持つことはビジネスに役立ちます。
しかし人事部と管理職は、それぞれの部門やチーム、および個々の従業員がこうした目標をどの程度達成または超過しているかを知りたいと思うでしょう。
特にビジネス・パフォーマンス・マネジメントを評価するときには、その傾向が顕著です。

目標は、従業員がビジネスの成長に貢献しながら進歩していることを確認するための効果的な方法です。
従業員の目標達成度を評価することは、パフォーマンス・マネジメントプロセスの重要な部分ではありますが、目標によって従業員のエンゲージメントを高めることができることも忘れてはなりません。
管理職は従業員に、生産性だけに焦点を当てた目標ではなく、個人的なキャリア開発の目標も設定するよう奨励しましょう。

要素④|フィードバック

従業員は、自分自身と他の従業員がベストを尽くせるよう、年間を通じて定期的に建設的なフィードバックを行ったり、受けたりする必要があります。

継続的にフィードバックを行う文化を醸成する鍵は、従業員の既存の行動に組み込むことです。
例えば、管理職がすでに直属の部下と毎週面談しているのであれば、その際に定期的にフィードバックをするようアドバイスしてください。
あるいは、次のチームや部署の会議で、部下の素晴らしい仕事ぶりを賞賛するよう促してください。

フィードバックの受け渡しに慣れるには練習が必要ですが、やればやるほど、簡単にできるようになります。
プロジェクトベースのレビュー・チームミーティング・画像メモ・個別面談など、管理職がパフォーマンスを評価し、チームをコーチするのに役立つ場面はあらゆる場面に存在します。
しかし、最も深いフィードバックは、通常、四半期または年次の業績評価時に行われます。
このような正式なフィードバックセッションでは、管理職が従業員の個人的なパフォーマンスについてより具体的なフィードバックを与えることができるでしょう。

従業員が人事考課を最大限に活用できるようにするには、従業員・上司・同僚の視点を組み合わせた360度フィードバックを導入することを検討してください。
このように、より全体的で客観的な業績評価を行うことで、個人は、上司だけでは通常提供できない、日々の役割における改善方法についてのより実践的なアドバイスを受けることができます。

フィードバックの文化は、ビジネス全体の成功に不可欠です。
それは、従業員が自分の仕事に関するアドバイスに耳を傾け、仕事のやり方を改善し、他の人と協力することで成長していることを示すものだからです。

従業員がフィードバックを行うこと、受け取ることにどれだけオープンであるかを理解することは、あらゆるビジネス・パフォーマンス・マネジメントプロセスにおいて、俊敏性・柔軟性、および成長を示す重要な指標となります。

要素⑤|分析(アナリティクス)

最後に、あらゆるビジネスパフォーマンスマネジメントプロセスの大部分は、ビジネスの状態を定量化し、過去の行動の影響を測定することだということを付け加えておきます。

データは、従業員が体験するさまざまな領域に関する強力な洞察を提供し、チームが一丸となってビジネス目標に取り組んでいる様子を理解するのに役立ちます。
企業がビジネス・マネジメントの査定を行う際、人事・人材に関する取り組みの重要性と、従業員がビジネス全体の成功に果たす役割を伝えるには、このデータが重要な役割を果たします。

パフォーマンスマネジメントでビジネスを加速させる

パフォーマンスマネジメントは、ビジネスをしていく上で大きな資産です。
経営幹部がビジネスの有効性を把握することはもちろん、インパクトのある人事施策のすべてを明らかにし、従業員の育成と能力向上に積極的に取り組む機会にもなります。

定期的にパフォーマンスマネジメントを査定することで、エンゲージメントの低下・離職率の高さ・職場の対立など、企業に深刻な打撃を与えかねない問題に対処し、守りの姿勢に終始するのを防ぐことができます。

問題に積極的に取り組み、従業員が明確な目標を持ってそれを達成するための知識とサポートを得ることで、企業全体を成功に導くことができるのです。
現在そして未来のビジネスの勢いを維持し、加速させるためには、従業員が組織にもたらす価値を認識し、彼らの成長と開発に投資することが不可欠なのです。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は、ビジネスパフォーマンスマネジメントという観点から、パフォーマンスマネジメントにおいて重要な要素を解説してきました。

パフォーマンスマネジメントの基礎的な内容について詳しく知りたい方は、以下の記事も是非一緒にご覧ください。

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