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Withコロナ時代における、人と人との接触の「見える化」ツールについての共有。

新型コロナウイルスの流行を契機として、リモートワークを導入する企業が増えています。ビデオチャットやコミュニケーションツールの登場に象徴されるように、テクノロジーの発展によって「どこでも仕事ができる」環境が整いつつあります。

しかし一方で、メンバー同士のコミュニケーション問題が表面化するケースも少なくありません。オフィスという同じ空間で働くことで自然と担保されていた雑談が減ることによってメンバーの関係性の構築が難しくなったり、密な情報共有が難しくなるなど、リモートワークの転換による新しい問題が生まれています。

各分野の専門家を招き知見共有を行う、HR Millennial Lounge。8回目の開催となる今回のテーマは「組織ネットワーク分析(ONA)」です。

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ONA(Organizational Network Analysis)とは、組織内のコミュニケーションやメンバー同士の関係性・ネットワークを分析する手法。ONAを手がかりに、Withコロナ時代の働き方・チームの在り方を議論していきます。

3人目のスピーカーは、PwCコンサルティング合同会社シニアアソシエイトの菊地梨沙さん。

新型コロナウイルスへの対応に迫られている中で、「人と人との接触」を可視化する開発中の新ツールについて共有していただきました。

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Withコロナ時代における人と人との接触の見える化手法

PwCコンサルティングの菊地と申します。先ほど東田さんもおっしゃっていましたけれども、新型コロナウイルスへの対応が一つの大きなテーマになっていると思っています。

私からの話題提供としては、Withコロナ時代における人と人との接触の見える化手法をご紹介したいと思います。

企業のHR担当組織は、いま非常に大きな潮流に直面しているのではないかと思っています。今後、新型コロナウイルスと共存しながらどのように仕事を進めていくかを考えていく必要性がますます高まっています。

また、新型コロナウイルス関係なく、以前から日本国内では労働人口が減少傾向にあり、今後ますます雇用獲得競争が激化していくと予想されます。

価値観の多様化が進んでいて、国籍だけではなくて日本人の中でもいろんな軸で多様化が進んでい流中で、企業の競争力を強化していく上では多様化している人材を獲得していくことが非常に重要なテーマになるのかなと考えています。

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これから乗り越えるべき3つのハードル

これらを実現するために企業様が乗り越えなければいけないハードルをリストアップしました。

一つ目がまさに大きいと思うんですけれども、オフィスに出勤したとしても、リモートワークを継続したとしても、どこで働いていても従業員に対して安全な労働環境を提供することが、企業の果たす役割として挙げられると思っています。

二つ目が、場所や時間に囚われない働き方を推進していくと、部下の労務管理というところでは良い面も悪い面もあるのかなと思っています。

三つ目はチームパフォーマンスの維持・向上というところです。リモートワークを継続していくと徐々に慣れてくる部分はあるんですけれども、人と人とのコミュニケーションやコラボレーションでパフォーマンスを上げていきたいチームにとっては難しさもあると私自身感じているところです。

個人のパフォーマンスは維持できても、チームのパフォーマンスをどうしていくのかというところは、三つ目のテーマとして考えなければならないと思っています。

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本日のお話は一つ目の部分、安全な労働環境の提供というテーマを絞って、これを実現できるようなツールをご紹介できればと思っています。

2020年の調査結果ですけれども、世界の83%の企業は従業員の行動をトラッキングするためのプロセスシステムを保有できていない状況なのです。

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自社の従業員の現況をリモート把握するツール

本日ご紹介するのは、こちらの二つのツールになります。

一つ目は「Status Connect」というツール。二つ目は「Automatic Contact Tracing(ACT)」です。

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まず一つ目の「Status Connect」ですけれども、先ほど挙げたように従業員一人ひとりの働き方が見えづらくなっている状況ですので、自社の従業員の現況をリモート把握できたりですとか、自社の従業員の生産性の低下をモニタリングして、低下の原因を分析できるツールになります。

このツールは基本的には会社支給のスマートフォンにアプリという形でインストールができるものになっています。

一つ目の質問で、所属部署とステータスを回答します。

二つ目の質問で「今いるところで最も近い主要都市を選択してください」ということでですね、やはりそのメジャーシティがコロナウイルスの感染率が高いので、ここで回答していただいています。

三つ目では「今日効率的な作業するためにReadyな状態になっていますか」というところで、シンプルに毎日回答するような質問の仕組みになっています。

「効率的に作業ができません」と回答したユーザーには、その理由を選択するようになっています。ここもシンプルな質問になっていますが、一つ目が「テクノロジー」関連の課題、二つ目が「通勤」関連の課題、三つ目が「オフィス備品が足りていない」、四つ目が「その他」になっています。

どこに効率的に作業できない原因があるのかをユーザーが自ら選んで回答するという仕組みになっています。

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「テクノロジー」関連の課題に関しても、ここに書いてあるネットワーク接続やハードウェア・ログインの問題、そもそも自分が実務で使っているアプリケーションを利用できないなど、テクノロジー関連の課題がどこにあるのかをユーザーが回答する仕組みになっています。

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この質問項目の回答結果は、三つの大きな画面で、組織の従業員の方々の生産性の低下要因や就業環境状況を把握することができます。

一番左の画面は最初の質問に紐付くところですけれども、何パーセントの従業員が在宅勤務をしていて、オフィス勤務をしていて、出張していて、休暇しているか、その割合を即座に把握できるという形です。

二つ目の画面が、効率的に業務遂行できている人が何パーセントか、遂行できていないのはどういった課題があるか、というところを先ほどの4つの課題それぞれの選択肢を選んだユーザーが何パーセントいるのかを把握できるようになっています。

三つ目の画面では、最近急にIT環境が悪いとようになってネットワークのバグは多いよねというところを部門別に把握できます。

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コロナウイルス感染リスクを可視化するツール

二つ目の「Automatic Contact Tracing(ACT)」というツールなんですけれども、新型コロナウイルスを背景に作られたツールです。

コロナに感染している人を把握した上で潜在感染症を定義して、その方を企業として特定することによって安全な労働環境の提供サポート行えるツールです。

これも従業員はアプリでスマートフォンにダウンロードできる仕組みになっています。どういう仕組みになっているかと言うと、オフィス内にいる従業員をスマートフォンのGPS情報を使って、オフィス内にいる人をまず特定します。

さらに従業員間の距離情報を取得していきます。スマートフォンのWifiとBluetoothをオンにすることで、近くにいるスマートフォンのBluetoothの信号を受信して、自分の周りにどれぐらいの人がどれぐらいの距離にいるのかが把握できるようになります。

そうすることで、万が一オフィス内で感染者が発生してしまった場合に、潜伏期間中に感染した従業員が誰と濃厚接触したのかを把握できるようになっています。

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こちらが管理者から見える画面になっています。感染者と濃厚接触をした従業員を特定できてリアルタイムで更新される仕組みになっています。下のリスト化された部分に関しては、近接の従業員の接触時間と距離から感染リスクを計算し、3段階でマークをして一覧化しています。

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最後に、潜在感染エリアの特定です。現在はオフィス内の感染の分析に限られていますが、今後は右側の図のような形で、どのエリアに感染者が多くて感染しやすいエリアになっているかを可視化することが、近い未来に実現されると考えています。

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この二つのツールは合わせて「チェックイン」という名前でシングルプラットフォーム上で操作できるようなツールになっています。

今まさに従業員の行動をトラッキングするというところをどうやって行くのかが注目されていると思いますが、一つご紹介としてBluetoothやWiFiの位置情報等を活用してトラッキングするツールをご紹介させていただきました。

トラッキングデータの活用が今後の課題

最後にもうひとつ話題提供できればと思っているんですけれども、行動の情報は個人情報にあたりますが、GDPRの日本企業に対しての影響などがホットなニュースになっています。トラッキングデータはまだ法律で規定されていない領域なので、アプリを起動した時に従業員の個人の利用承諾取得などの対応が必要なのかなと考えています。

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実際に真ん中のサーベイの結果にもあります通り、多くの企業さんで健康感染情報というのは従業員意識調査の次に活用されている情報として挙げられています。

このことからも、従業員の健康や労務管理の情報を活用するニーズは非常に高いと思っています。しかし一方で、一番下に記載している通りウェアラブル端末で取得した情報は個人を特定できる情報なので、活用度合いが低いです。ここはどうしたらその問題をクリアできるのかを考えていく必要があると考えています。

以上で私からの話題提供を終わらせていただきます。


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