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勝手にプロパガンダ 〈邦画編5〉『薔薇の標的』

色々と瑕疵はありまくりだが、全体に漂うトーンは、良いも悪いもすべて含めて和製ハードボイルド映画のひとつの到達点であり、隠れた佳作である。

村川透監督『薔薇の標的』 (1980年 東映セントラルフィルム)

いろいろと瑕疵はある。

新旧綯交ぜの役者陣の演技の出来不出来、ミスキャスト感、その他。

したがって、どこか、ちぐはぐな"違和感"を感じてしまうことも確かだ。

それでいながら。

作品全体に漂うストイックなトーンの乱れはほとんど見られない。
映像スタイルも、もはや完全にと言っていいほど確立された安定度だ。

本作は、松田優作さん主演の遊戯シリーズを成功させた制作陣が、館ひろしさんを主演に迎えて作った意欲作だろう。
(松田優作さんも特別出演していて、彼ならではの絶妙の芝居を見せている)

稀有な個性を持った俳優が主役であればこそ成立したともいえる名シリーズ作。
それに対して、いかに新しい世界観を構築するか。
そうそう簡単にできることではない。
(画面に登場しただけで絵になるというスタンスでは、館ひろしさんも松田優作さんに負けず劣らずのオーラを持っている。
そして、松田優作さんが危険な香りの中にも独特のユーモアを匂わせることができるとすれば、館ひろしさんは男の色気をさりげなく放つことができる。
が、主演スターの魅力のみで映画そのものを牽引する時代は、この当時ももう終わりを告げていたのだ)

結果として、本作は先に書いた"違和感"を伴う出来となった。

だが。

それまでにも先人達が挑み続けてきた和製ハードボイルド映画という、プログラムピクチャーならではのジャンル。
それを確実なものにまで高めた自信と煌めきは、本作をして、ひとつの到達点とみることができる。

その観点に立つと、様々な歪さすらも、本作に限ってはどこか魅力的である。
そういう意味で隠れた佳作と表する所以である。

#映画 #おすすめ映画 #邦画

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漫画原作(『交通事故鑑定人・環倫一郎』『"殺医"ドクター蘭丸』『そば屋幻庵』等)、監督(『ウルトラマンマックス』『ウルトラマンギンガ』『牙狼』ゲキ×シネ『髑髏城の七人〜アカドクロ』『ハツカレ』等)、脚本(『黒塚』『ウルヴァリン』等)、大学教員(神奈川工科大学情報学部D科特任教授)
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