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半側空間無視のリハビリテーション

半側空間無視のリハビリテーションは主にトップダウン的アプローチとボトムアップ的アプローチに分けられます。

トップダウン的アプローチ
トップダウン的アプローチは被験者自ら意図的に注意を誘導する方法です。
高いレベルの認知処理に作用することにより,知覚および行動を改善することを目的としています。
しかし、重度の無視を呈している場合は,適応が難しい場合があります。

ボトムアップ的アプローチ
ボトムアップ的アプローチは感覚刺激や感覚-運動関連にアプローチすることで感覚運動レベルに影響を与えることを目的としており,無意識的に無視を改善する方法です。
この方法では、患者自身は能動的に何かをすることは少なく、重度の患者でもアプローチしやすい方法です。

半側空間無視のリハビリテーションの歴史
図1は半側空間無視のリハビリテーションについて時系列で示した図です1)。

スライド1


半側空間無視のリハビリテーションで最も古いアプローチとしては、1940年代に前庭刺激(Vestibular stimulation)2)や1970年代には視覚探索課題 (VST)が提唱されていました。
この1970年ごろには半側空間無視は左側への視覚的探索の不足であると考えられていました。そのため、患者自ら意識的に左側を探索させるようなアプローチがされていました1)。
そして、1990年代に入り、さまざまなアプローチが提唱されるようになってきました。
例えば、Fresnelプリズム3)や視運動性刺激 (OPK)4)、持続的注意課題(STA)5)を用いたアプローチが提唱されるようになってきました。
そして、1990年代後半から2000年初めにかけて、現在、半側空間無視で最も研究や臨床で用いられているプリズム適応6)や経頭蓋磁器刺激7)が提唱されており、現在では、Virtual reality (VR)を用いた研究や実際に臨床現場でも評価やリハビリテーションに使用されています。

以下には、視覚探索課題、前庭刺激、視運動性刺激、プリズム適応、経頭蓋磁器刺激について書いてあります。


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