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建築士に必要なスキルって何だろう

建築士としてまず必要となるスキルは専門家としての設計スキル。そして関係者をまとめていく調整力と決断力。そしてマネジメント力。というお話です。

設計だけでは足らなかった

僕は20代の若いうちは設計スキルを上げるために、とにかく図面を書くことに時間を投資しました。

しかし、30代に入り統括的な立場となると、一部の実施図面だけを担当するのではなく実施設計の土台となる基本図面を書くようになりました。この基本図面というのはとても重要です。なぜなら全ての方針の土台となるもので、この図面を元に概算の予算を掴んだり、構造設計や設備設計の設計方針が固まるからです。そして、検査機関との遵法性の協議も基本図面から始まります。

この様に限られた図面だけを書けばよかった20代から計画の土台となる基本図面を書くようになった30代になると、設計スキルだけではなく、色んな角度から計画自体を考える調整力、そして複数の案から一つに絞る決断力が必要なんだと感じるようになりました。

とは言え、カリスマ性があるわけでもなく、運動部でキャプテンになった経験もない僕が、どうやってそれぞれの立場の人達からの雑音(本来はありがたい助言ですが当時の悩める僕には雑音としか聞こえない時もありました)の中で判断を下して決断を下すのか?と結構悩むこともありました。

マネジメントスキルが必要となる

そんな、建築に関わる様々な要件を調整し決断することを覚えながら、僕がつくづく感じたこと。それは調整力や決断力はもとより、人材のマネジメント力も身に付けなければと言う事です。

設計から建物の引き渡しまでに一緒に仕事をすることになる人たちは、例えば賃貸マンションの設計の場合、
• 建築主(オーナー)
• 事務所の社員や社長
• 不動産仲介業者
• 測量士
• 解体業者
• 構造設計者
• 設備設計者
• 役所の建築審査課
• 確認検査機関
• 建設会社
• 現場監督
• 下請け業者の職長
• 設備メーカー
• インテリアデザイナー
• 現場の近隣住民
• 土地家屋調査士
• 不動産管理会社
僕はこのような人達と、オーナーの代理人として、決定権のある人として関わることになるのです。

このような多種多様な個性とスキル、背景を持つ人達をいかに気持ちよく仕事を進めてもらうか、巧みにマネジメントする必要があることに気づいたのです。

例えば、承認済みの件についてオーナーの意向が変化した時。

例えば、専門家同士の意見の対立があった時。

例えば、近隣住民から無茶な要望をされた時。

などなど。

建築士の日常とは、こんなことがしょっちゅう起こる日常でもあるのです。

今も試行錯誤の連続です。

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