教育の関係性を変えるデジタル技術
教育の情報化の流れを見て、すごく楽しみになってきました。先生と生徒の関わり方に大きな変化が起きるのではないか、と思うからです。
いままでの取り組みを振り返ってみると、教育の分野におけるデジタル技術の利用は、大きく分けて三つの方向があったと言えます。これらはまだ進行中ですが、かなりゴールが見えてきています。
①ビデオ授業、遠隔授業によって、時間や距離の問題を克服する
②AIなどにより、生徒の個性に合わせて教材を最適化する
③データや記録によって学習管理をする
ここで達成されつつあることは、どれも素晴らしく、技術の恩恵として積極的に利用されるべきだと思いますが、残念ながら、どれも「より多くの生徒の頭に、効率よく知識を入れる」という発想に基づくものだと言わざるを得ません。
そうではなくて、私はむしろ技術が先生と生徒との「関係性」を変える可能性に注目したいのです。
生徒がiPadのようなタブレット端末を支給されると、彼らは意外にも大人より上手にそれを使う。
技術(それを利用した機械類も含めて)というのは弱いものと強いものとの差を埋めてくれます。スコップで土を掘る力がなくても、ショベルカーを使えば誰でも同じ力を得られるわけです。
一般的に、子どもは大人に比べて知識や経験が少なく、表現力も弱い。これをいいことに、先生たちは威張っていたわけです。
しかし、これからは技術が彼らの知識不足を補い、彼らの表現を助け、彼らのアイデアを形にする。
そうすると、大人が持つ半端な知識は優越性を失い、「○○はこうあるべき」式の教育は不可能となり、生徒と先生という身分に関わらず対等な立場でコミュニケーションを取ることができるようになるのです。
そして、こういった不必要なことを除いた、生徒が本当に望むことを先生に教わることができるようになります。
自分は何に興味があるか
困っている家族を助けたい
誕生日を迎える友達に喜んでもらいたい
自分の実現したい目標を達成したい
社会をこういうふうに変えたい
etc.
このような、人それぞれがどう生きたいかに関わる重要なことについて、先生は生徒に教えることができるようになります。また、往々にして生徒から学ぶこともできます。
いま開発が進むデジタル技術は、生徒と先生の関わり方、立場や教育の文化を変える可能性があるのです。これを楽しみにしつつ、私たちが行う教育活動にもたくさんの工夫を入れていきたいと思います。
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