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ホウレンソウの効用

別にほうれん草の栄養成分を語りたいわけじゃない。ここには、新入社員のみんなに話しきれなかったことを記そうと思う。いわゆる報連相の話だ。先に断っておくけれど、「連絡」は「報告」と本質的には同じようなものだと思うので、殊更には言及しない。

相談しよう

「残業はなるべくしないでくれ」、「この仕事は今日を目処に終わらせてくれ」、でもこの仕事が時間内に終わりそうになかったら、何をする?

先輩や上司は完璧超人ではない。時に、曖昧な助言や相反する2つの指示をすることもある。そんな時、新入社員の皆は迷わず「相談」してほしい。ぜんぶ自分の判断で決められるようになるには、まだちょっと時間が必要だ。

私たちの仕事は、自分一人では完結しない。それを受け取るお客さんや、共に働く同僚や先輩がいる。人との関わりが不可欠だ。他者と良い関係を築く第一歩は、その人の考えを理解することだと思う。人の数だけ考え方があって、あなたの思う「普通」はあの人の「普通」ではないことがある。だから、事前に相談するのだ。残って仕事をするべきなのか、明日に延ばしていいのかを。

良かれと思ってやったことが相手の望んでいないことだったら、むなしいでしょう。恋人でもない限り、サプライズプレゼントはしない方がいい。

報告しよう

タスクが終わったら、「報告」しよう。先輩は、みんなが今どの仕事に取り組んでいるのか、知っておきたいと思っている。でも隣に座ってつきっきりで見ることはできないから、みんなの方から今の状況を知らせてほしい。

できたこともそうだけど、できなかったこと・わからないことも報告してほしい。むしろこっちの方が大事かもしれない。初めてなんだから、できないことがあるのは当然だ。できない自分を恥じる必要はない。別に先輩も怒りゃしない。恥じるべきは、知らないのに知っているふりをすることと、できなかったのにできたと言うことだ。

報告しろなんて監視されているようで窮屈に思うかもしれないけれど、みんなより私たちが偉いと言っているわけじゃない。先輩後輩関係なく、みんな等しく報告をする。もちろんミスを犯したことも。それを誰かがカバーして、チームの仕事は回っていく。部長のミスをフォローするのは、もしかしたら新入社員のみんなかもしれない。

一歩ずつ前に進むために

大それたことを言えば、仕事とはたぶん、先の見えない暗闇でゴールを探す旅のようなものだ。新しい価値を生み出す旅路に、初めから道筋など定まってはいない。

旅には仲間がいる。お客さんや同僚・先輩だ。でも暗闇の中では、新入りのみんながどこにいるのか、私たちからはわからない。どこにいるのか、どっちに向っているのか、教えてほしい。私たちもそうする。お互いの場所を知り、進むべき方向を決めて、一緒にゴールを目指そう。

わからないことを相談すれば、誰かが助けてくれて学びの機会になる。できたことを報告すれば、より難しい課題に挑戦するチャンスが巡ってくる。そうやって一歩ずつ前に進むために、まずは自分が今いる場所を伝える。それがホウレンソウだ。

自分らしく働くということ

みんなは優秀だから、暗闇を一人で歩けることぐらい私たちだって知っている。本当は、みんなも自分の好きにやらせてほしいと思っているでしょう。

先輩たちは、何もみんなの一挙手一投足を見張りたいんじゃない。ただ、みんなが同じゴールに向かって、同じ方向へ歩いていることだけ確かめておきたいんだ。そのことさえ伝われば先輩もうるさいことは言わないし、みんなの好きな歩き方で前に進むことができる。

でも、みんなが今いる場所を伝えてくれなかったり、報告と違うことをしていたりすると、先輩はみんなを管理しようとするだろう。歩幅や腕の振り方さえ、先輩に指示されるかもしれない。きっとそれは嫌でしょう?先輩だって、できればそこまではしたくない。

ホウレンソウをするということは、周囲の信頼を獲得するということだし、仕事において自分の裁量を広げることにもなる。ホウレンソウはあなたを縛る足かせではなく、あなたらしく働くための近道だ。賢く使って、自分らしい働き方を勝ち取ってほしい。


この文章が、誰かの暗闇を照らす光になるならうれしい。





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