続伸する相場と米中対立激化の懸念[マーケット考察]2020.8.8

米国株式相場は、6営業日続伸。
ダウ工業株30種平均は前日終値比46.50ドル高の2万7433.48ドルで終了。ナスダック総合指数は8営業日ぶりに反落し、97.09ポイント安の1万1010.98で引けました。これまで売られていた金融や資本財のほか、公益や不動産といったディフェンシブ銘柄が買われる一方、連日高値を更新してきたハイテク株には利益確定の売りが膨らんだのが特徴的でした。

買い材料となったのは、米労働省が朝方発表した7月の雇用統計(季節調整済み)は失業率が10.2%と、3カ月連続で改善したことでした。新型コロナウイルス対策の緩和で経済再開が進み、非農業部門の就業者数も前月から176万3000人増と市場予想平均の158.0万人増を上回りました。雇用改善ペースは前月から鈍化したものの、市場予想を上回る堅調な内容に安心感が広がる結果となりました。

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相場の上値を重くしたのは、(1)クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が新型コロナウイルス追加経済対策を巡る米与野党協議が難航していることを示唆したこと、(2) 追加経済対策を巡る米政権と野党・民主党指導部の協議は物別れに終わったこと、(3) ムニューシン米財務長官は協議後に「トランプ米大統領に追加経済対策での大統領令を提言する」と述べ、「この日の協議で何の進展もなかった」と明らかにしたこと、(4) トランプ米政権が香港政府トップらに制裁を科すと発表。米中関係悪化への警戒感が増したこと、(5) トランプ米大統領は6日、国家安全保障に深刻な脅威をもたらす恐れがあるとして、中国企業が運営する短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」と対話アプリ「微信(ウィーチャット)」に関わる取引を禁じる大統領令に署名。中国の反発は必至で、市場では米中対立が激化するとの懸念が広がったことでした。

市場はマイナス材料より期待していた第3四半期の経済回復が軌道に乗っている様相を呈している経済指標にポジティブな反応をしています。新型コロナ感染第二波が落ち着いてくればポジション調整をこなしながら安定した相場の展開が予想されます。市場では多少のネガティブなニュースは上手く消化して行く可能性は高いです。但し、米中関係の悪化が今後の相場に影響を与える要因となるので、中国の想定外の動きがあるか否かがポイントだと予測します。

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立沢 賢一(たつざわ けんいち)

元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

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