米国株マーケット考察 2020.10.21

マーケットサマリー

米国株式相場は反発。ダウ工業株30種平均は前日終値比113.37ドル高の2万8308.79ドルで終了。ナスダック総合指数は37.51ポイント高の1万1516.49で引けました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比7166万株減の8億0143万株。

過去数週間、材料難の中、同じネタで市場が振り回されている感が満載の相場模様です。

昨日は、トランプ米大統領が、新型コロナウイルス経済対策をめぐる野党民主党との協議で「民主党より大きなものを望んでいる」と、民主党が主張する2兆2000億ドルを超える支援策を容認する考えを改めて表明しました。

今だに5000億ドルを主張して居て大型経済対策に反対している与党共和党が同意するとも強調し、法案可決への期待が広がりました。

メドウズ米大統領首席補佐官は「ペロシ米下院議長とムニューシン米財務長官の協議は終了し、順調な前進している。明日午後に再度協議する。全員が週末まで合意のため努力を施し、明日21日の協議進展を予想している。」と言及しました。

時期的要因もありますが、これはもう11/3の大統領選に向けての選挙運動のカードになっているようです。

株式市場は流石に、数週間前のような大きな上下動をする程反応しなくなっているのが実情です。市場は追加経済対策が実行されるのは時間の問題で、それが実行されれば、市場の予想よりも早く米国経済が新たなビジネスサイクルに入ると見ているようです。

9月の住宅着工件数は年換算で前月比1.9%増の141万5000戸と、市場予想を下回りましたが、先行指標の住宅着工許可件数は5.2%増と予想を上回りました。住宅統計は引き続き堅調な数字が続いているように見受けられます。

企業決算に関して、S&P500の内66社の第3・四半期決算が発表されましたが、86.4%の企業が予想よりも好決算になっています。こちらは相場に影響をそれほど与えているようには見えません。

また、別件ですが、米国司法省がGoogleを独占禁止法違反の疑いで提訴しました。もうすでに数十億ドルもの資金をインフラ、人工頭脳、ソフトウェア、技術、そして人財に投資してしまっているので、後追い的に規制しても「時すでに遅し」であり、株式市場はそれを理解しているので、相場に影響を与えませんでした。

このまま11/3の選挙に突入しますと、オクトーバーサプライズはトランプ大統領の新型コロナウイルス感染だけとなるのか、追加経済政策が予想に反して選挙前に合意するのかになりそうです。

メインストリームメディアではバイデン候補がかなり優勢である報道をしていますが、さて蓋を開けたらどうなることやら。2016年の大統領選挙の再来となるのか?グローバリスト主導の新政権が生まれるのか?世界に大きな変化をもたらす可能性があるイベントがまさに直ぐそこにきているが故の嵐の静けさを米国株式市場は表現しているのかも知れません。


用語解説


オクトーバーサプライズーアメリカ合衆国大統領選挙が実施される年において、本選挙投票の1か月前の10月に選挙戦に大きな影響を与えるサプライズ(出来事)のことを指します。


立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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