感染第2波拡大と経済活動再開の7つの基準[マーケット考察]2020.7.3

米国株式相場は、小幅上昇。ダウ工業株30種平均は前日終値比92.39ドル高の2万5827.36ドルで終了。上げ幅は一時400ドルを超えましたが、新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念は根強く、上値は重かったです。ナスダック総合指数は5/8以降で1週間の上昇率は最大となり、2日連続で史上最高値を更新しました。

6月の雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比480万人増、失業率は11.1%に低下し、市場予想を上回る改善となりました。特に、レジャーやレストランなどで就業者数が増加し、経済活動の再開を裏付けました。一方、ニューヨーク連銀が発表する週間経済指標(WEI)によりますと、6月27日終了週はマイナス7.44と、前週のマイナス7.91からやや改善したものの、依然としてマイナス圏にとどまるに過ぎませんでした。

米国では、フロリダ州の新規感染者が1日で10,000人を超え、6.4%増となるなど南部や西部を中心に新型コロナの感染者や入院者数が再び増加し、経済活動再開の動きを中断する州も出ていて、ニューヨーク市は、店内飲食の再開を遅らせる措置を講じました。

ロイターの集計によりますと、米国での新型コロナ感染者は1日、5万人近く増加し、1日当たりの感染者としては過去最多を記録しました。特に南部や南西部の州でのクラスターが目立っています。

米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、感染拡大を食い止めなければ、1日当たりの感染者数は現在の約2倍の10万人に膨らむ恐れがあると警告しています。また、一部の専門家は、衛生状況の悪化やそれが景気回復に及ぼす悪影響がこれまで以上に懸念され、移動の自由や防護用品の使用率の低さが夏場の悪化に拍車をかける恐れがあると指摘しています。

ゴールドマン・サックス社のアナリストは、米国の人口の半分超に当たる州で当初の経済再開計画の停止や部分的な撤回を余儀なくされていると分析しています。ウイルスの流行はほぼ全ての州で拡大しており、現在、経済再開のために推奨される7つの基準を全て満たしているのはバーモント州とニューハンプシャー州のみのようです。因みに、7つの基準とは:
感染の状況
①新規入院者(3日間平均)が14日間連続で減少、又は1日当たり15人を下回ること
②死者(3日間平均)が14日間連続で減少、又は1日当たり5人を下回ること
③人口10万人に対し新規入院者(3日間平均)が1日当たり2人を下回ること
医療提供体制
④病床に30%以上の空きがあること
⑤ICU病床に30%以上の空きがあること
検査及び追跡の能力
⑥1か月間に人口の3%の検査を実施する能力を有すること。
⑦人口10万人に対し最低30人の追跡実施要員を有するとともに、感染の件数に応じて必要な人員を確保すること
です。

感染第2波の拡大は加速している中で、経済指標の改善が今後も続くかどうかに市場は不透明感を感じている模様でした。また、明日から3連休ということもあり、かなりの投資家は様子見姿勢になっている面もありました。市場の関心は現在、コロナ感染増加と経済指標改善の間で揺れ動いており、これにワクチン開発の希望が加わって、若干後者にウェイトがかかっている構図です。来週初の市場動向は、連休中に更に感染が拡大するが更に進行するかに大きく影響すると見られます。


立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンを通して投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

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