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勉強の哲学 来たるべきバカのために

書籍名:勉強の哲学 来たるべきバカのために
著者:千葉 雅也
発行所:文藝春秋
初版発行日:2017年4月10日
読了日:2018年12月6日

目次(コンテンツ)

第1章 勉強と言語ー言語偏重の人になる
第2章 アイロニー、ユーモア、ナンセンス
第3章 決断ではなく中断
第4章 勉強を有限化する技術


本書の内容

本書は勉強の方法論を示したものではなく、哲学的・言語学的に勉強の本質に迫る書籍です。

原理編と実践編とありますが、特に原理編は理屈っぽくて苦手な人にとっては読みにくい本かもしれません。著者の専門は哲学で、言葉を定義しながらの勉強に対する哲学的な論が続きます。実践編は実際の参考になるところも多いかもしれません。


現代はまさしく「勉強のユートピア」。

すぐネット検索できるし、内容も公式統計資料など信頼できるソースも多い。以前に比べ入門書も非常にわかりやすいし、外国語学習の環境も良くなっている。

一方で情報が多すぎることで思考する余裕が奪われやすく、感情的な反応に支配されやすくなる。つまり周りに対して共感的な生き方→周りに合わせて動く生き方→ノリの良い生き方となりやすい。

勉強を深めることはそのノリが悪くなってしまい、バカなことが出来る自分を喪失する事を意味するが、その先には新たなノリ=自己目的的なノリがある。

勉強において新しい言語、または馴染みの言語でも新しい用法に出会った際に感じる言葉の不気味さや違和感を生じる・・・それが本書の核心であり、道具的で目的的な言語玩具的で自己目的的な言語の狭間の状態である。

自分が從っているコード(信念:環境における行為の目的的/共同的方向づけ)を客観視した上で、自己ツッコミ(アイロニー:根拠を疑って批判)する、または自己ボケ(ユーモア:見方を変化)することによって何を学ぶべきかが見えてくる。それにより習慣化した自分のあり方が自己崩壊する。

例えば身近な問題意識から大きなスケールに視野を広げる方法。現状の仕事に不満があったとして、思考のスケールを他の会社や日本の労働問題、グローバル資本主義へと広げていき、自分の状況を大きな構造的問題と捉えて自分一人の問題ではないことを意識する。そのとき自己ツッコミや深い疑問をと繋げながら労働とはなにか、なぜ働くかなど勉強の「深い」テーマ設定することでクリエイティブな生き方が始まる。その中から裏道を行くような可能性や新たな生き方が発見できるかもしれない。

実践編では、勉強における入門書の読み方、専門書と一般所の関係、読書の技術、勉強のタイムラインについて書かれており、1つの勉強にとどまらない幅広い教養を形成するのに役立ちそうです。

■要点
・勉強とは無知でノリがいい自分を破壊する「自己破壊行為」。
・勉強とは退いた視点からの現状把握から、わざと疑いを向けて問題化すること。
・しかし絶対的な真理や根拠は存在しないので勉強の有限化が必要。


私の感想

本書は各所で定義される言葉(というよりその組み合わせ)が難解(哲学的)なところがあった。言葉のチョイスが面白いこともあり何とか読み終えることが出来たが、それでも半分も理解できてはいないだろう。

しかし著者の考える読書の技術として「難しい本を読むのが難しいのは、無理に納得しようとして読むからである」とあるように、理解よりも著者の考える世界を覗き見る感覚で読み進めれば良いのではないかと思う。

例えばたびたび出てくる重要なフレーズ「ノリ」。抽象的な感じがして初めは理解が難しいが、読み返しながら丁寧に読んでいくと次第にニュアンスは伝わってきた。

巻末には結論が書かれており非常によく纏められている。ただ最初にココを読んでもチンプンカンプンであろう。やはり丁寧に本文を読むからこそ、筆者の勉強の捉え方が見えてくるのだと感じた。

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