「短気は損気」への怒り

「短気は損気だよ」

私がまだ子供だった頃、この言葉を聞くと決まって激怒していた。

当時は、私がこの言葉の何に怒っているのかを理解せず、ただ漠然と、なんだか気に喰わないという理由で憤っていたが、今ではしっかりと言葉にして怒ることが出来る。


「お前は、私が『怒ることは良くないことだ』ということを"知らないような口ぶりで"そう言うが、馬鹿にするな!怒ることが良くないのは十分知っている。しかし私には、怒るという方法しかないのだ。他に方法を知らないのだ。お前は他の方法を知っているのか。知っているのなら、何故私に教えようとしない?」


私は、この言葉それ自体に怒っていたのではなく、私を哀れな暴れん坊だと思い込み、侮辱するだけ侮辱してその解決方法を述べない者。自分もどうしたら良いのか知らないくせに、私を"嗜めた気分"になって悦に浸る者に怒っていた。そして、どうしたら怒ることなく、いつも穏やかに暮らせるのかを知りたかった。


「短気は損気というけれど、実際、怒ってしまうよな。君はどうしたら怒らずに過ごせるか知っているかい。もし知らなかったら、僕と一緒にいくらか考えてみよう。まず、君は何に怒っていた?どうなっていたら怒らなかった?」


あの時の私はきっと、こんな言葉を望んでいたのだろう。


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