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自己啓発本を読んではいけない

昔、アメリカに、スター・デーリーと呼ばれる男がいた。
その男は凶悪犯罪を重ねてきた極悪囚で、二度も破獄を試みた。
服役中のある日、男は、寝ている時に神が出てくる夢を見た。夢の中で神から愛の啓示を受け、男はまるで人が変わったように周囲に愛を説き始めたのだ。
その後、老人と一緒の居房に移動したのだが、その老人こそ熱心なキリストの信奉者であった。
その老人に神の教えを受け、スター・デーリーの名を授かる。間も無くして執行猶予付きで仮釈放され、大恐慌時代の中で啓発活動に勤しんだ。
「愛は刑よりも強し」という本も出版してる。

おまじないや祈り、ゲン担ぎには不思議な力がある。
私は、立場上"無神論者"であるものの、神に対する信仰心がある。
それは、救済を求めるためではなく、スター・デーリーのように人を変えてしまうような偉大なる力があるので、好きで日頃から敬意を表しているだけなのだ。
"今の自分は神があるおかげ"という考えもあるし、純粋に形而上学やオカルトの世界観が好きだからというのもある。
けど、出家や入信には興味ない。宗教と神は全くの別物だからだ。
ちなみに、広く誤解されがちだが、そもそもキリストもブッダも、神そのものでは決してない。ただ神格化されちゃってるだけ。

さて、現代社会において、聖典や教典のように衆生を魅了する本がある。
それは、自己啓発本だ。

私は、この自己啓発本(以下、"ビジネス書"や"ハウツー本"を含めて自己啓発本と記す)とやらを敬遠してる。
自己啓発本が悪いとか、読むのは罪とかじゃない。
ただ、自己啓発本の世界にどっぷり浸かるのは無駄というだけだ。

なぜ、自己啓発本を読むのが無駄だと言い切れるのかというと、書いてあることが基本どれも同じだからだ。

"自己啓発"本と称されるだけあって、どの本も「今すぐ行動してベストを尽くせ」の一言に帰結してる。
たった一言、ただそれだけのことを、言い方を変えて書かれてるだけだ。

それでいて自己啓発本にどっぷり浸かるということは、モチベだけ上がって気づかないうちに頭打ちになってる立派な証。ベストを尽くせてないし、本末転倒である。

特に気になるのは、やはり、内容がスカスカであったり、ベストセラー本の受け売りばかりでページを埋め合わせてることだ。
そこに、目新しいファクトの発見はそんなにない。

著者は経歴としては本を書くに値するのかも分からないが、情報の引き出しが少ないが為に、内容をハッタリで盛り込むしかなくなってる。
そういう本は、読む分には手頃っちゃ手頃かもしれないが、ビートたけしも言ってたように、「手頃な情報源からは手頃な知識しか得られない」。

よく、「ビジネス書3000冊読破」とカッコつけてプロフィールに書く人もいるが、特別凄くもなんともない。
重要なところは太字、章の最後にまとめ、といったふうに、懇切丁寧に無茶苦茶読みやすく工夫されてる。本によっては目次だけで、十分要点がわかる。
速読もクソもないし、本を店のレジに持っていくまでもない。

ここで、自己啓発本やハウツー本で実際に見かけたツッコミどころを一気にまとめてみた。

・夢を見つけよう。

夢はあったほうがいいのかもしれないが、夢がないことを「生きる気力がない」みたいな言い方するのは控えていただきたい。

・とにかく行動しよう。

そうだね。行動がなくちゃ始まらないもんね。
でも、わざわざ本に書いて説諭することでもないような。
ありきたりな説教で人の心は動かせないと思う。

・目標は紙に書いて貼ろう。

何に影響されたか、暗黒面に堕ちて銀河征服したい。って書いて貼ったことある。

・夢は人に語ろう。

ちなみに、目標を人に言うと失敗する傾向が高くなるという統計も複数存在する。
しかし、人によっては語った方がやる気が起きることもあるだろう。
人間には大きく分けて、"言行一致タイプ"と、"不言実行タイプ"の二種類あると思う。

・「金持ち父さん、貧乏父さん」では…

何でもかんでも「金持ち父さん」とか「7つの習慣」とか「思考は現実化する」引用すれば説得力つくのか。
だったら最初からそっち読むっての。

・不眠不休で働こう。

ガムシャラにやるのは己の勝手。しかし、それをむやみに他人に強いれるものではない。
マルクスみたいな奴がブチギレるわけだ。

・成功したいならトイレ掃除しよう。

いちいち便所掃除やベッドメイクにこだわるのがわからん。
有意義だし素晴らしいとは思うけど、真意が伴わない限りは習慣が形骸化していくだけだと思う。

・コンビニに行くのはやめよう。

著者はコンビニに親でも殺されたのか。それとも好きな人を取られたのか。
コンビニで働いてる人に失礼であるし、コンビニを活用してる人にも失礼である。

・人脈を広げよう。

打算で交友を築くのは主体性がなくなる気がしてならない。
ちなみに、「今でしょ」でおなじみの林修先生は「人脈って言葉を使う奴はクズ。人のこと金のなる木としか見てない」って言ってた。
しかも、林先生は著書の中で「人脈」ってワード使ってた。…疲れてたのかな。

・牛丼屋で680円以上使う奴は出世しない。

バーガーキングのハンバーガーが好きで、毎日のように数百個注文してるドナルド・トランプは、不動産とカジノで成功し、現・米国大統領であることをお忘れなきよう。
それとも、牛丼には負のオーラが纏っているというのか?
いやはや、「牛丼680円の祟り」という、どこぞの秘密結社で言い伝えられし都市伝説の呪いか何かなのだろうか。

・努力しよう。

これもまた、わざわざ本に書くことでもないような。
ただ、今の日本人は努力のことをやせ我慢や、果てしない修行か何かと履き違えてることが多い。
今は努力なんかよりも、創意工夫のほうがよほど重要だと思う。

・一流を目指そう。

三流、二流あっての一流。
少なくとも、人々を押しのけて自分のことを持ち上げる著者のことを一流だと思いたくない。

・環境を変えよう。

環境を変えられるような状況じゃない場合、こうなったら死ぬっきゃない。

・心配事は気にしない。

これもまた、当事者の心情を無視した余計なお節介である。
優しい言葉がけのつもりだろうが、身勝手でいい加減すぎる。
心配事は気になるから"心配事"っていうんだろうに。

・やらないで後悔よりやって後悔。

ジャイアンが作った不味いシチューを誰が進んで食べたがるだろうか。
食べなかったら食べなかったで、ジャイアンにボコられる。
でも、こればかりはボコられる方がマシだ。
結果がわからないものを試すのならまだ分かる。
しかし、約束された後悔のために無駄骨を折るとロクなことがない。
それに、やるにしろやらないにしろ、どの道後悔するのは当事者である。
リスクを取らない外野は口を慎みなさい。

・とにかく沢山本を読もう

読書にこだわるわけではないが、たしかに、本を読むことは有意義で素晴らしい。
しかし、何を読むかが重要でもある。ビジネス書や自己啓発本ばかり読んだところでアテにならない。
それに、必要に迫られて焦って読むような本は大して血肉にならない。
ましてや、他人に「お前は孫子を読め」みたいに本を押し付けがましく薦めるのは至極おこがましい。
知恵比べの為に本を武器にするのは大人として大変デリカシーがない。

こう色々とケチつけてみると、なんだか批評家気取りで偉そうに思えるかもしれない。
しかし、迷妄がちなビジネス読者を哀れめばこそ、自己啓発本には、かなりいい加減で雑だと思うところがかなり多い。
自己啓発本に限った話ではないが。

やはり、自分に有益な情報をより多く得る為には、手頃な情報源に頼るだけじゃ不足ね。

そして、何よりの自己啓発は、書を捨て、町へ出ること!

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