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新東方が生み出したライブコマースの新たな価値観

KEMBOマーケット事務局でも何度か取り扱っている中国のライブコマース。度々のトップインフルエンサーの不祥事もあるが依然として市場は拡大し続けている。
そんな中、ある企業のライブコマースが大きな話題となっている。
新東方教育科技集団有限公司(以下、新東方)という企業が抖音で展開する「東方甄選」である。
会社名の通り、この企業は教育系サービスをメインで提供していた。
しかし、近年、政府が「双減(ダブル負担軽減)」と呼ばれる学生の教育負担を軽減するという政策を開始して以降、教育サービス市場はとてつもなく大きなダメージを受けた。
もちろん新東方も義務教育段階の課外授業サービスが全て停止となる等、大きな影響を受け、経営における大きな舵取りを迫られた。
そこで新東方は新たな事業として農産品の「ライブコマース」事業の強化に乗り出した。しかし当初は散々な結果であり、話題を集めることもなかった。
しかし今なぜ新東方のライブコマースがここまで話題になっているかと言えば、新たなライブコマースの価値観を生み出したからである。

 「ライブコマースを見ながら知識の習得をする」
これが新東方の生み出した「ライブコマース+教育」という新たな価値観である。
見るだけのライブコマースに「知識の習得」という付加価値を生み出したのだ。
具体的にはただの商品販売ではなく中国語/英語の2ヶ国語を使用し、商品を紹介しながら英語の授業をする。また旧来のライブコマースは大体が、
商品紹介→  使って/食べて見て→  絶賛する、
という様な流れが一般的であったが新東方のライブコマースはやや異なる。
筆者もいくつか見てみた。するともちろん商品は紹介するのだが、その商品だけでなく、背景や時代、生活と人にまつわるストーリや知識等の話も多く含まれている。またある時にはそれを中国語/英語の2ヶ国で説明する。
そして、またある時には人生の在り方までに及ぶ話の展開があり、新東方のライブコマースを見て泣いたという投稿まで続出している。
筆者が見た感想としては営業でよく言われる、
「商品を売りたければ売ろうとするな」
をまさに体現したライブコマースの様な気がした。

写真:超人気販売員
写真:2ヶ国語で商品を販売

 なぜここまで知的好奇心をくすぐる様な販売方法ができるのか、それもそのはず彼らは以前の新東方で教師として実際に教える側にいた人たちなのである。実際に話もうまく、また知識の豊富さが本当に際立つ。

 筆者の奥さんが英語を勉強しており、ある日このライブコマースに出会ったそうだ。英語の勉強になることはもちろん、
「彼らの知識の豊富さに驚いたし、知識があるということでどれだけ人生が豊かになるのかわかった」
というライブコマースを見た後の感想とは思えない様な言葉を残し自室に去って行った・・・w

中国のライブコマース市場も巨大市場とは言え、飽和状態であり、差別化することが難しいことも事実である。新東方のTOPインフルエンサーを起用せず、またグイグイ物を売ろうとしない新たな価値観が今の消費者に受け入れられたのであろう。つまり現在の消費者は膨大な商品を売ろうとしてくる販売方法に対して実はかなり疲弊しているのである。
これを機に、ライブコマース市場がまた大きく変化しそうである。



ライター:Taro Nozawa
お問い合わせ:nozawa@kembo-net.com
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