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【認知的不協和理論】日本型ファシズムの成立【心理的メカニズム】――⑤『自立的人間』と『依存的人間』

『自立的人間』と『依存的人間』

①『依存的人間』が生まれる仕組み。ーー[虐待の連鎖]

子どものときから受験競争や体育会系などの“競争社会”の狭い空間の中で、ひたすら上を目指し頑張っていたり、また虐待や過干渉やネグレクトなどの“不適切な養育”のもとで育って行くと、前頭葉の発達が阻害され、抑制機能(自立心)が成長できなく、『依存的人間』になりやすくなる。

【虐待の連鎖】虐待された子供が成長し、またその子供を虐待する。
子供時代の過干渉・虐待により脳が傷つき自立が困難になる。
不適切な養育(体罰・虐待・過干渉・ネグレクトなど)のもとで育てられた子どもは、
脳の前頭葉の発達が抑えられ、本能が暴走し、自立することが困難になる。
前頭葉(抑制機能)が成長できないと『依存的人間』になりやすくなる。
[支配と服従]の関係=規則ルールを絶対化し、融通がきかなくなる。

そこでは[支配と服従]の関係しか築けなくなる。そして、そこでは「自分は中立、普通の日本人、正義、冷静、知的、人気者、多数派、愛国者」(優越の錯覚)で、「反対者は偏っている、左翼、感情的、攻撃的、野蛮、嘘つき、反日」(錯覚・幻覚・被害妄想)と思い込む。→【投影性同一視】

それは、ピラミッド支配構造の中で、「良い子でなければならない。他者に勝たなければならない、負けてはいけない、皆と同じでなければならない」というようなプレッシャー(同調圧力・強迫観念)の中で、「大人に認めてもらいたい、否定されたくない、怒られたくない。バカにされたくない」というような不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感が増大するに伴い、自分の行動を正当化しようとする心理的メカニズム(防衛機制)によって引き起こされる。

権力者・強者と同一化することで優越感・満足感を得ようとする。

そこでは常に上司の顔色ばかり伺い、ご機嫌を取ることが喜び・快感となり、将来に対する想像力や弱者への共感能力が失われてしまう。権力者を守るため、組織を守るため、自分の存在を守るために、嘘をつき、記録を改竄・廃棄する。自分の行動を俯瞰的に見ることができず、客観的な判断ができなくなくなる。

上司・強者に媚を売ると同時に、部下・弱者に高圧的な態度をとる。競争社会の中で、「組織・権力者を守ることが正義」と思い込み、上司・強者には忖度し、媚を売るとともに、部下・弱者に対して高圧的になりパワハラする。
受験競争を勝ち抜いてきたエリートが、出世して行く内に、
権力者の顔色ばかり伺い、弱者に寄り添うことができなくなる。
支配体制の絶対化・上下関係・支配と服従・規則ルールに拘る余り、周りが見えなくなる。
権力者に媚を売ると同時に、部下に対して高圧的な態度をとる。
独裁者(強者)と同一化し、弱者を痛めつける、虐待、虐殺することで優越感・満足感を得る。
『自立的人間』と『依存的人間』
[支配欲↔服従欲]の暴走。自分の行動の正当化。既得権益の正当化。
権威と同一化し、子どもたちに強制することで優越感・満足感を得る。
そこでは、「規則ルールを守る・支配体制を絶対化する」=「自分は正義」と思い込み、
「国の為、国民の為、子供達の為にやっている。決して私利私欲の為ではない」と錯覚する。

権力者(強者)・国家・組織と同一化することで、自分は偉い(強い)と勘違いし、規則ルール・礼儀・道徳を絶対化し、高圧的な態度をとる。そこでは「自分の行動こそ正義。優れている。多数派。自分は偉い。強い。人気がある」と勘違いし⋯

「“権力者を守る”こと、“組織を守る”こと、“既得権益を守る”こと」=(イコール)=「国家のため、国民のため、子供達のためにやっている」

⋯と思い込む。

一方で、「弱者(子供・部下・少数者)は劣っている。甘えている。礼儀がなっていない」「批判者は組織を陥れようとしている」「被害者は金が欲しくて嘘を言っている」というような『猜疑心・被害妄想』に取り憑かれ、自分の行動を反省することができず、行動を抑制することができなくなっている。


②『依存的人間』は、共感能力が崩壊し、他者との適切な距離がとれない。ーー「国家・権力者と同一化」と「被害妄想・ヘイト」

ピラミッド支配構造の弱肉強食社会の中で、不安・恐怖・劣等感・罪悪感が増大していくと、それを軽減しようとする防衛機制が働き、自我が『良い自分』と『悪い自分』に分裂し、『良い自分』を組織・権力者・強者・勝者・人気者・多数派に同一化する一方で、『悪い自分』を弱者・少数者・敗者・脱落者・批判者に投影し、粘着攻撃・虐待・パワハラ・誹謗中傷・虐殺することで不安・恐怖・劣等感・罪悪感を払拭し、安心感・優越感・満足感を得ようとする。

「自分は優れている、美しい、正義」と思い込むと同時に、
「反対者は劣っている、汚い、嘘つき」と錯覚する。
自分の中の「不安・恐怖・劣等感・罪悪感」を相手に植え付け、同じ
気持ちにさせることで、相手を支配コントロールしようとする。

そこでは、1つの価値観(ピラミッド思考、支配と服従、競争と順位・優劣)に凝り固まり、他者への共感能力が崩壊し、適切な距離が保てなくなり、他者の行動や考えを尊重できなくなる。そして、現実と妄想の区別がつかなくなる。

現実の自分の生活に全然関係ないのに権力者・強者・人気者・アイドルに同一化することで、まるで自分が強く、偉く、人気者になったかのように錯覚し、優越感や誇りを感じたりする一方で、不安・恐怖・劣等感・罪悪感を投影した批判者・子供や有名人・アンチの言動に対して、まるで自分の存在が否定されたかのように感じ、被害妄想から激昂し、憎悪し、攻撃・虐待・体罰・パワハラ・誹謗中傷する。


「不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感」を軽減しようとする『防衛機制』

『悪い自分』を投影した反対者に対して、「人を見下している。甘えている。ズルしている。自分勝手だ!」「日本を貶めようとしている。金のためにやっている。在日に違いない。頭が悪い。勉強が足りない。発狂している。悪い奴は死んで当然、死刑!殺してしまえ!」などと叫ぶ。

そこには「良い子でなければならない。反抗してはならない。規則は守らなければならない。勝たなければならない。甘えてはいけない。上司の言うことは絶対。負けたら生きる意味がない」という強迫観念の中で、無意識に『悪い自分』を他者や子供や少数者や有名人や外国人に投影し、攻撃・虐待・パワハラ・ヘイトすることで“自分の行動・価値観を正当化したい”という防衛機制が働いている。

国家と同一化し、悪い自分(不安・恐怖・劣等感・罪悪感・死)を批判者や外国人に投影し、
攻撃することで自分の行動を正当化し、快感・優越感・満足感・万能感を得ようとする。


③『国家』との同一化=御用学者・ネトウヨ・カルト

それは国家に対しても同じで、自分の存在に対する不安が大きく 、『悪い自分(弱さ・醜さ・未熟さ)』を認識できず、自分の行動を反省できなく、「自分は間違わない。強い。正義。中立」という“優越の錯覚”が強い人ほど、何か問題が起こったとき「日本は悪くない、悪いのは外国のせい。外国が日本を侵略しようとしている」という“被害妄想・他責思考”に陥り、国家・権力者の責任を他者に転嫁しようと激しく攻撃する。⋯それは『国家』と『自分』を同一化してしまっているから。

国家と同一化することで、優越感・万能感・安心感・満足感を得ようとする。そこでは権力に対して、適切な距離感が保てず、俯瞰的・多角的な視点が失われ、客観的・論理的・科学的な思考・判断ができなくなる。

『依存的人間』(権威主義者、全体主義者、ネトウヨ・カルト、⋯)ほど「自分は中立・正義」
と思い込み、「批判者は偏っている。外国に操られている。悪魔」と錯覚する。
人は自分の行動を正当化するために、都合の良いことばかり見て、都合の悪いことを否認する。


例えば水俣病において、学歴社会の中で“権威”と言われる人達がこぞって、「企業・政府は悪くない。権威に盾突くのは許せない。経済成長が重要」という価値観の中で、「被害者(貧乏人)が腐った魚を食べたからだ。カネが欲しくて嘘をついている。批判者(学者・医者・労働組合)は中国のスパイだ」と妄想デマ・誹謗中傷を拡散させることで、マスコミや世論を混乱させ、結果、原因究明を遅らせ被害を拡大させていった。

それは、脳が依存状態になり、ピラミッド思考(支配と服従、競争と順位・優劣)に拘る余り、客観的・科学的判断が出来なくなってしまっていたからに他ならない。そこでは、何者にも縛られない『自立的人間』=フラット思考(自由と平等、自立と尊厳)の価値観でなければ、客観的・俯瞰的・科学的判断はできない。

【認知の歪み】『歴史修正主義』『陰謀論』


それは地球温暖化・原発再稼働・辺野古埋立・リニア・五輪万博IRにしても、モリカケ桜や安倍射殺・国葬や名古屋入管死事件にしても自分の行動(服従・隷属)を正当化しようとするあまり⋯

「権力批判はマスコミの捏造だ」「統一=安倍批判はテロを擁護している」「批判者・野党は中国に操られている」「被害者は嘘つき。カネのためにやっている。自己責任」「地球温暖化は嘘、中国の捏造」「権力批判は日本を貶めようとしている」「野党は批判ばかり。自民党も悪いが、野党もだらしない」

⋯など、あたかも「批判者のほうが悪い。被害者の方が悪い。野党が悪い」というような印象操作・誹謗中傷することで、権力の暴走を正当化し、支配・管理・既得権益を正当化しようとする。

「安倍=統一教会批判はテロを擁護している!安倍暗殺は批判者の責任!権力批判は許せない!」

そこでは、『権力=自分のポジション・既得権益』を守ることが第一となり、弱者への共感能力が崩壊し、客観的・俯瞰的・論理的・科学的思考が失われてしまっている。


自分の中の不安・恐怖・劣等感・罪悪感を批判者に投影し、「中国が日本を侵略しようとしている。批判者は在日、中国のスパイ。地球温暖化は中国の捏造」と思い込むことで、自分の行動を正当化しようとする。

不安・恐怖・劣等感・罪悪感の中で自我が『良い自分』と『悪い自分』に分裂し、『良い自分』を国家・権力者と同一化し、「国の為に死ぬ」(特攻・愛国心)ということに存在意義を見いだし『大日本帝国』と同一化する。一方で、『悪い自分=悪い日本』(侵略・虐殺)を否認し、その『悪い日本』を戦争責任を追及する中韓や批判者・野党・学者・マスコミに投影し、攻撃することで自分の行動を正当化しようとする。

自分の中の不安・恐怖・劣等感・罪悪感が増大する中で、分裂した『悪い自分』を相手に投影し、攻撃・誹謗中傷することで、優越感・万能感・安心感・満足感を得ようとする。それは自分の行動を正当化しようとする防衛機制。
それは否認した自分の本当の姿。自分の中の『弱い自分』(不安・恐怖・劣等感・罪悪感)の裏返し。

つまり、自分に自信や自己肯定感(尊厳)がなく、自分の中の不安・恐怖・劣等感・罪悪感が大きいほど、『悪い自分・醜い自分・弱い自分』を否認しようとするほど、「否定されたくない、教祖に認められたい」というような承認欲求や、「他者にバカにされたくない。否定されたくない。他者に勝ちたい」という優越欲求が強くなり、『国家・権力者・強者・教祖』と同一化し、規則ルールを絶対化し、「自分は国家のためにやっている。自分は愛国者」と思い込み、「自分は選ばれた人間。日本は神の国。日本人は優れた民族。悪いことはしない」という選民思想・優生思想に洗脳され、「反対者は反日、外国人に違いない。日本を貶めようとしている。共産主義だ」という被害妄想に取り憑かれてしまう。

そして、その自分の行動を正当化するために、「被害者は嘘を言っている。反対者は外国のスパイ。国旗国歌を敬うのは当たり前。子供は叩き続けなければならない。敗者・弱者・少数者・反対者は死んでも良い。自己責任」というような性悪説・差別主義・奴隷根性・カルト指向が強まっていく。

不安・恐怖・劣等感・罪悪感が強いほど、国家・権力者・教祖・強者と同一化し、規則ルールを絶対化し、体罰を正当化し、自分の行動(支配欲)を正当化しようとする。


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