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ニュージーランドで中国の留学生が教えてくれた鶏肉とセロリの餃子

ニュージーランドへの移住について、留意したほうがよいと思うことを何か一つ挙げるとしたら、「住居探し」を出すことになると思う。

 ニュージーランドのワーキングホリデー生活は楽しいことも大変なこともたくさんあったし、ニュージーランドはストレートに良い国だと思う。国が良い。自然があり得ないくらい荘厳で美しいし、お金持ちになれるとかそういう次元の話じゃなくて「人間として良い暮らし」ができる。

ただ、わたし一人の実体験だけで言わせてもらうと、住居に関しては間違いなく「大変」のほうだった。

探し始めたらすぐ気づくけど、ニュージーランドには、日本のスーモ的な情報サイトがない。不動産屋が扱うのは基本的に売買案件だけで、賃貸に関してはそのへんの人がヤフオクかメルカリのような、TradeMeというなんでも取引サイトに自分の家の空き部屋の写真を載せて、部屋を探してる人が個人的に連絡を取って内見に行くケースがほとんどです。

特にわたしが住んでいたのは、オークランドやウェリントンのような都市部ではなかったので、スタジオアパートメント(いわゆる単身者向け集合住宅)は皆無。3部屋4部屋5部屋6部屋あるビッグな家の一部屋を間借りする以外に手段がない。これはワーホリの外国人に限ったことではなく、単身者のニュージーランド人もこうして共同生活していたので、そういう文化圏ということなんですかね。都市部であっても、単身者がスタジオアパートメントで一人暮らしというのはレアケースだと思います。とにかく(日本人感覚からすると)家がジャイアント。

ちなみにTradeMeは、部屋貸しの他に求人情報も載ってて(もうここに集約されているので、仕事ないですか、と直接聞いても「TradeMe見て」と言われることがある)何かと使うことになるので、アカウント登録して損はない。

TradeMe↓
https://www.trademe.co.nz/

生活基盤のない国にたった一人で乗り込む場合、しかもワーホリみたいに期間が決まっている場合、家具を買わなくていいし、現地に生活基盤がある人の生活空間にスルッと入れるという点で、こういう居住スタイルは大きなメリットももちろんある。他の同居人や貸し主と馬が合えば居心地いいだろうし、友達数名で一つの家を借りたりしたら、もう楽しくて仕方がないだろう。

しかしわたしの場合、その町に暮らした約8ヶ月の間で3軒。2回の引っ越しを行うことになった。一軒目では、家の人たちが好きな時に部屋に入りまくって持ち物を借りていって無くしてしまったり、二軒目では貸し主にわたしが世界的暗殺組織?のメンバー?で、故意にドアノブを壊したり、豚?を虐待?したり、人工的に地震?を起こしたりしていると勘違い?されて、修繕費とかいろいろ払わされて、家を出た。このシークエンスは奇妙すぎたので、今もスマホに動画を残してある。信じてください。

そして三軒目。集落と集落の中間で、街灯のない農園地帯。舗装されていない私道から一歩出た公道の制限速度は時速100km。文字通り、車がないと全く移動できない農場の家に拾われて、ニュージーランドに来て初めて安眠することができた。

この三軒目で、同じ時期に部屋を借りていた中国の留学生のフイちゃん(仮名)に教えてもらったのが、鶏肉とセロリの餃子だ。ちなみに三軒目でもこのあとまあまあな事件が起きますが(フイちゃんは無事)、きりがないので割愛します。

<餡の材料>(4人分程度)
鶏ひき肉...200g(モモとムネ、お好きなほうで)
鶏胸肉...100g 粗めのみじん切り
セロリ...大1本 みじん切り(葉っぱも)
キャベツ...200gくらい みじん切り
生姜...親指第一関節ぶんくらい、すり下ろす
オリーブオイル...大さじ1くらい
塩コショウ...適宜、好みの辛さに。

<皮の材料>(自分で作る場合)
薄力粉...200g
強力粉...200g
ぬるま湯...200ml
塩...小さじ1

①皮を作る *もちろん、市販の皮を使ってもよい。
1) 薄力粉と強力粉をボウルで混ぜる。人肌程度のぬるま湯に塩を溶いたものを、粉の中心に開けた穴に注ぎながら、土手を崩すように混ぜる。最初はベタつくので、菜箸2~4本くらい使って混ぜるとよい。私が各指の間からウルヴァリンスタイルで菜箸を突き出して混ぜたらうまく混ざらなかったので、普通に持ったほうがいいです。
2) べたつきがなくなってきたら手でこねる。生地が手につかなくなってスベスベと弾力が出てきたら、まあるくまとめて、ラップをかけて1時間ほど放置。*この間に餡を作っておく。
3) 台に打ち粉をして、休ませた生地を棒状に伸ばす。親指と人差し指でちぎるか、包丁でカットして、スーパーボール大の玉を量産。
4) 一つ一つ丸めつつ台の上に手のひらで押さえ平たくし、のし棒で中心から外に向かって、皮を回しながら薄く伸ばしていく。この時、中心が端より多少厚みを残すようにする。皮はすぐ乾いてしまうので、できればこの作業と、後工程の餡を包む作業は、2人がかり以上で流れ作業で行ったほうがよい。

②餡を作る
1) 肉と野菜を、それぞれ処理。皮の生地を寝かせる間に行う作業。フイちゃん曰くポイントは、肉と野菜をそれぞれ最初から混ぜず、別々に対応して、アッセンブルは最後に行うこと。3回くらい言っていたので、よっぽど大事なんだと理解。みじん切りの野菜にそれぞれ塩をつまみ振りかけて軽く混ぜ、水分を抜く。この間に、鶏のひき肉とミンチにした胸肉だけを一つのボウルに入れて、軽く塩コショウして粘り気が出るまで充分にこねる。
2) 野菜を布などで包んで絞り、水分が抜けたら、肉のボウルに混ぜる。
3) 生姜とオリーブオイルを具に混ぜる。肉にも野菜にもすでに少しずつ味付けしてあるので、あとは好みの問題。塩味を足すかどうかは、この時点で餡をおはじきくらいのミニミニハンバーグにして焼いて食べてみて、決めるとよいです。↓は、トマトや枝豆も入れたバージョン。

③包む
1) ①からの流れ作業で行ったほうがよいです。皮が乾くので。小皿に水を用意しておいて、それを接着剤にしながら餡を包んでゆく。慣れるまでは少しずつ。ただ、手作りの皮は市販のものよりもよく伸びるので、市販より多めに餡を入れて、まんまるムチムチの餃子も作れるようになれそう。形は、よく見る半月型でもいいし、真ん中一箇所にヒダをまとめる小籠包タイプも意外と簡単だし、セクシーなラビオリスタイルでもいい。


2) 焼く、または茹でる。茹でのほうが早くできますね。なお、教えてもらった時はこっちは中国式に茹でる気満々でしたが、フイちゃんが焼き餃子が好きだというので焼くことに。

3) 余った餃子は、粉をはたいてくっつかないようにして、タッパ(固有名詞)などで冷凍しておけば、いつでも好きな時に手作り餃子が食べられる。

にんにくを使わないのでサッパリしていてお腹にも軽いし、セロリの風味がさわやかで、2万個くらい食べられる。キャベツは緑でも紫でもよいし、鶏肉は100%ひき肉でもよい。

ただ、ごま油の代わりにオリーブオイルを使うことと、セロリを入れることは、フイちゃんレシピという意味では外せないポイントになる。私は帰国してからも、鶏肉、セロリ、オリーブオイルのベースは守りつつ、トマトと枝豆を入れたりして繰り返し作っている。

ところで、「ニュージーランド 家 居場所」「ニュージーランド 大家 どうかしてる」「ニュージーランド ハエ すごい」などでツイート検索しても、出てくるのが自分のツイートばかりで、みんなは楽しそうなので、キツネにつままれた気分です。共同生活する上で、自分なりの反省点を上げるなら、以下のとおりでしょうか。

・できるだけ現地で友人知人を作り、そのツテで物件を探す。

・それができずネットで見つけた知らない人の家を見に行く場合、できるだけ内見は一人で行かない。可能なら地域に長く暮らしている人、そうでなくてもとにかく一人で行かない。何かあった時に相談できる人がいることを貸し主に見せる。

・自分の他に単身者がおらず、家族の家に自分一人が間借り人になる場合、何か起きたら味方がいなくなるかもしれないことを念頭に置く。

・もちろん、契約書は交わす。

・それでもトラブルが起きたら、町に一カ所はあるCAB(Citizens Advice Bureau)で無料の法律相談ができるので、頼れるということを覚えておく。

繰り返しになるけどニュージーランドは美しく良い国で、おっとりとした良い人ばかり(信じて!!!)なので、本当に私だけが奇跡的なケースを一本釣りしてしまっただけだと思います。フイちゃんが餃子を教えてくれたり、私の車で町にやってきたサーカスを一緒に見に行ったりしていた時期にやっと、異国暮らしを楽しむことができたきっかけの方なので、フイちゃんには感謝しています。恩人フイちゃんの餃子、お試しください。水餃子にしてみてもメッチャおいしかったですよ。ニュージーランドには怖がらずに行ってください。とても良いところです。本当に。

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