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ワインを美味しく飲むために知っておくべき3つのこと(1)

こんにちは!
前回のnote「ワインは飲み物か、それとも読み物か」に引き続き、ワインと知識の話です。

その中でも書いたように、純粋にワインを飲んで楽しむために特別な知識など一切必要ない、というのがぼくの考えです。


ぼく自身はワインの勉強が好きです。
でもそれは、ワインが知的好奇心を掻き立てるものだからであり、
それ以前にワインのプロである自負によるところが大きいように思います。

とはいえ、じゃあ
「ワインはどんな風に飲んでもいいよ!」と
何もアドバイスをしないのも不親切です

せっかくワインを開けるんだから
そのワインが一番美味しい状態で飲んであげたい。
それは飲む人のためでもあり
ワインを造ってくれた人に対する礼儀でもあります。

だから、巷に溢れるワインの「うんちく」なんて一つも覚えなくていいから
ワインを正しく、美味しい状態で飲むために必要なことを知って欲しい。

そう願っています。


●具体的に何を知っておけばいいのか

今日はぼくが思う「自宅でワインを美味しく飲むために必要なこと」をぎゅうぅぅぅぅ、、と3つに絞ってみました。

それがこれです。

1.ワインは温度が全て
2.ワインは「不均一」なお酒だ
3.なんの料理と合わせるか、それが問題だ

割と長くなりそうなので、3回に分けてお話ししたいと思います。


ちなみに基本的なことかもしれませんが、「自宅でワインを美味しく飲むために必要な道具」もご紹介します。

①(コルク栓ならば)ワインオープナー
②ワインクーラー(ボトルが1本入る大きさのゴミ箱でも代用可)*
③ワイングラス **


クーラーが必要な理由は後ほど

**
ぼくは、ワイングラスは最低限買って欲しいと思っています。
それは、ワイングラスのほうが圧倒的に香りを楽しめるからです。
ワインは「飲める香水」と言われるほど、多種多様な香りがして、それがワインの大きな楽しみでもあります。
ただ最近は「コップでワイン」といった、ワインを気軽に楽しんでもらうためにワイングラスに拘らないキャンペーンを見ることがあります。
日本酒でもカップ酒があるように、フランスやイタリアの大衆酒場に行くとタンブラーでワインをグビグビと飲む人を見かけることがあります。ワインが根付いた文化という感じがして、見ていて気持ちが良いものです。
ですがぼくにとってワインは「造る人あってのワイン」です
ワイナリーの人たちの誇りや愛情、こだわりが、全部ワインに詰まっています。
だから彼らが、ぼくらに味わってほしい、感じてほしいと願っている香りや味わいをきちんと発揮させてあげることも、飲み手の務めだと思っています。


1.ワインは温度が全て

「全て!」と言うとちょっと言い過ぎのように思われるかもしれませんが、それくらい温度は大事だっ、てことです。

ワインってのは、香り、味わいともに実に複雑で繊細な飲み物です。
同じワインでも、10回飲めば10回とも微妙に味わいが違って感じられます。
それは開けるタイミングやその日の天気、最近口にした食べ物や飲み物、時間帯、そして飲む人の体調など、いろいろな外の要素が味に影響してしまうからです。

とはいえ、その違いは実に微々たるもの。
日常、ワインを楽しむときに、そこまで気にする必要はありません。
しかし、温度だけは別です

温度による変化は実に劇的で、そのワインが本領発揮する温度帯とズレていると、本来の美味しさがすっかり味わえなくなってしまうことも多々あるのです。

具体的には、
まず温度が上がると香り成分がたくさん放出します。
そして甘味と酸味のバランスが変わります。温度が上がると甘味が強く感じられ、温度を下げると酸味が際立って感じられます。
3つめがタンニンの感じ方です。温度が低すぎると、タンニンはぎしぎしとした口当たりになります。

一般的なワインの教科書やウェブサイトなどには、ワインのスタイルに応じて適切な温度帯というのが記されています。だいたいこんな感じです。
甘口ワイン・発泡性ワイン よく冷やす(6-8℃)
軽めの白 冷やす(7-10℃)
重めの白、軽めの赤 軽く冷やす(10-13℃)
重めの赤 室温(15-18℃)

ですが、この温度表を覚える必要はありません。
だって、わざわざ温度計で計りませんよね?笑

ではどうすればよいか。

一番簡単に、短時間で、それでいてかなり確実に美味しい温度帯で飲むための方法を一つご紹介します。

①まず白でも赤でもスパークリングでも、とりあえず冷蔵庫に保管しておいてください。冷蔵庫の設定にもよりますが、これで温度はだいたい7度前後になります。

*話の流れ上、保管についても少し触れたいと思います。
長期間ワインを保管(熟成)する場合を除けば、ワインを保存しておくのに一番便利なのはやはり冷蔵庫です。
日本の住環境は実に多彩で、一軒家からアパートやマンション住まいの方、高温多湿な夏、身も凍る冬・・・
そんな中、「ここが一番!」と言える場所はなかなかありません。
それに、他の飲み物は全部冷蔵庫に入れておいてワインだけ別・・というのも面倒なもの。
湿度が低い、ドアの開閉時の温度変化が激しい、などのデメリットもありますが、総合して一番便利なのは冷蔵庫だと思います。
場所は、野菜室の一番底が良いと思います。

(もちろんワインセラーに入れるのがほんとは一番です。持ってれば!)


②そしていざ飲む!というときには、冷蔵庫から出してすぐ栓を抜き、グラスに少しだけ入れて味見してみてください。

スパークリングと甘口はそのままでOK。

白でも赤でも、もし「美味しいー!」と思ったなら、そのままテーブルに出しましょう。
テーブルに出して飲んでいるうちに少しずつ温度が上がります。
その変化を楽しみつつ、ちょっとぬるくなってきたかな、と思ったら冷蔵庫に戻すだけです。

味見してみて「すっぱいなー」とか「渋いなー」とか「値段の割にはたいしたことないな(笑)」とか思ったら、次のステップです。


③用意したワインクーラー(ゴミ箱)に水道水(4〜5リットル程度)を満たして、その中にボトルを入れてください

こんな感じ↓

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(参考:このときの水道水の温度は20度。だいたい一般家庭の水道水の年間平均温度は18度から20度あたりなのでそれに合わせてます)

冷蔵庫から出してすぐは7度だったワインも・・・

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5分間水道水バケツに入れておくと、あっという間に・・・

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ワインの温度は11度前後になります。

ここでもう一度味見してみてください。多くの白ワイン、一部の赤ワインは、このあたりで「美味しい!」ゾーンになるはずです。そしたら提供。


④11度前後でもまだ渋い赤、香りの立たない白ワインは、さらにもう5分間バケツに入れておいてください

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これでワインは14度前後になります。多くの赤ワインが、ここでスイートスポットにたどり着くはずです。
10分経っても香りが開かない、味にフルーツ感がない。そんなときは温度だけではなく時間が必要です。いったんバケツから出してグラスに注ぎ、ゆっくりゆっくり、食事を楽しみつつ、ワインが目を覚ますのを待ちましょう。

さて10分以上バケツに入れておいても大きく変化しなくなるので、「あ、美味しい!」と思った時点でバケツから取り出してグラスに注ぎ、残ったボトルはそのままテーブルにおいてください。テーブルの上に置いてるだけのほうが、温度変化は少ないです。そしてぬるいな、と思ったら冷蔵庫に少し戻せばいいのです。

ところで、「赤ワインは室温で飲め」と言われたことがあるかもしれません。ですがそれは飲むときだけで、保管はやはり冷蔵庫に入れたほうが良いと思います。なぜなら冷蔵庫の中の温度のほうがより安定しているからです。ワインの保管において最も気を付けるべきことは、温度が高いか低いかよりも、温度変化が激しいかどうかです。季節を問わずエアコンをかけることが多い日本の住宅事情では、部屋の中は最も温度変化が激しい場所になってしまいます。最近の冷蔵庫は性能が良く、ドアの開閉が多い野菜室でも、それほど劇的に変化しません。だから冷蔵庫で保管して、飲むときに室温に戻せば良いのです。ちなみに「室温」というのは上にも書きましたが15度から18度あたりを指すので、まともに室温にしてしまわないようにお気をつけください。

この方法は水の比熱が空気よりも大きいことを利用しています。冷蔵庫から出してしばらく放置していても温度を上げることはできますが、温度変化がとてもゆっくりなので、気付いたらめっちゃぬるくなってた!ということがよくあります。

バケツに水道水をためてその中に放り込むだけで、無理なく、しかしスピーディーに温度を調節することができるので、とてもおすすめです。

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ラベルを濡らしたくない方はラップで包んでおけばこの通り綺麗なままで楽しめます。
冷蔵庫から出してそのままテーブルに置いておくとむしろ結露してラベルがぐしゃぐしゃになることがあるので、こっちのほうが良いくらいです。


本来、白ワインでも赤ワインでも、この温度帯じゃないと美味しくない、という決まりはありません。

ワインをある程度経験してきた人なら、温度が高いほうが美味しい白ワイン、冷やしたほうが美味しい赤ワインに出会ったことがあると思います。

今や世界中から何千、何万ものワインが入ってきている日本。
ぶっちゃけ、どのワインが何度が適温かなんて、飲むまでわかりません。

だから色に関係なく、まずは飲んでみて、みなさんの舌で美味しい温度を探してみましょう。
温度によってこんなに味が変わるんだ、と新たな発見もあるかもしれませんよ。


今回はとりあえずここまでです。
そんなにたいした内容ではないのにだらだらと長文を書いてしまいました(汗

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なにかご質問、ご不明な点ありましたらぜひコメントよろしくお願いします!


では次回、不均一なワインについてお話ししたいと思います。それでは!





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