見出し画像

プロはここを見る!1,000円台で美味しいワインの探し方

前回の記事に続いて、今回もワインの価格の話。
ですが、今回はあなたのワインライフに役に立つ内容です!(いえ決して前回の記事が役に立たない内容だと言うわけではないのですがあわわ)

本題に入る前に質問です。
今夜の晩酌のために、あなたは一本いくらまでなら出せますか??

当たり前ですが、この答えは人によって様々。
ワインは嗜好品。それが1,000円でも10万円でも、飲まない人から見れば贅沢なお買い物です。
なので本来であれば、「いくら以下ならお得!」と決めつけるのもナンセンスな話です。

とはいえ、どこかに基準を作らないと話が進みません。
なので、今回はおそらく大多数の方が答えるであろう、1,000円台を基準にしたいと思います。

毎度のことながら、前置きが長くなりました。
今回のテーマは、1,000円台で美味しいワインを探すコツ!です。


「おすすめのワインはこれだーー!」ではなくて
自分自身で見つけられるようになろう!っていう趣旨です。


「いやいや、手っ取り早く安旨ワイン買いたいからオススメ教えてよ!」

という方は「1,000円 ワイン おすすめ」などと検索してみてください。
そのほとんどがメーカーや販売店などのプロモーションを兼ねた記事ですので、そのまま購買に誘導してもらえますよ。

でもそれだと、ちょっともったいなくないですか?
何がって、世の中にはもうほんと溢れるほどワインが売られていて、一つ一つちゃんと個性があって、それはもう宝探しみたいなもんです。
その中から、自分のお気に入りの一本を見つけることができたら、どんなに嬉しいでしょう…!この楽しさもまた、ワインの醍醐味だと私は思うのです。

だからここでは、実際にスーパーとか酒屋さんに足を運んで、1,000円台で美味しいワインを選ぶための見るポイントをお伝えします。

それではいってみましょう。
見るポイント・・・3つあります!!


①ヴィンテージ(収穫年)を見るべし


まず1つ目は、ワインがいつ生産されたものかをチェックすることです。
そして1,000円前後の場合、十中八九、新しければ新しいほど美味しいです!

補足:ワインの場合、生産年ではなく収穫年と表現します。英語ではヴィンテージ(vintage)といいます。
つまりそのワインの原料となるブドウが収穫された年、ということ。
なぜ「収穫」を基準とするかというと、ワインの生産は短いもので数ヶ月、長いものだと数年かかるため、実際に瓶詰めされて出荷されるのが収穫年と同じとは限らないからですね。

よく「ワインは古ければ古いほど良い」と言われますが、実はほとんどの場合その説はまちがっています。
特にスーパーや量販店などで私たちが手に取るワインであれば、その9割はつくられて2〜3年で飲まれるのがベストです。

詳しく知りたい方はこの記事をどうぞ↓
https://note.com/kekechang/n/n4c7d67522a4a

さらに言えば、どんなお店であっても、1,000円台のワインを最高の環境で陳列することはほぼありません
スーパーやディスカウントストアの売り場はどうしても外気温の変化や日光の影響を受け、長期間の保管には適していません。そのワインがいつ仕入れられて、どれくらいここで売られているのかは、消費者からは知りようがありません。
その意味でも、できるだけ新しいほうが良いと言えます。

ヴィンテージはワインのラベルに書かれています。
例外として、ワインによってはヴィンテージ表記のないものもありますが、これはワイン法上ヴィンテージを書いてはいけないカテゴリーというのが存在するためです。

特に白ワイン、ロゼワインについては、売り場をざっと見回してみて、一番新しいヴィンテージ(2024年上半期では北半球なら22年か23年、南半球なら23年が最新)のものを選びましょう!

1,000円台のワインは、野菜や魚のように鮮度が命!と考えましょう。

※もちろん世の中にはすべからく例外がいます。最近は1,000円で10年以上熟成のスペインワインが注目されていますが…ここでは割愛しましょう。


②陳列場所とPOPを見るべし


次に、そのワインがお店のどこで売られているか、そしてどのようにアピールされているかをチェックしましょう。

でもその前に。
ワインにホコリが被っていないお店を選んでください。
「え?ホコリ関係ある?」って思うかもしれませんが、そもそも商品がホコリ被ったままで放置しているお店って気分良くないですよね。
でもワインの場合、意外と多いです。これはワインを管理する人間がそのお店にいないからかもしれませんし、ワインの販売そのものが鈍いからかもしれません。いずれにしても、鮮度が良いワインを見つけられる可能性は低くなります。

さて、ワインの売られている場所です。
これは①の鮮度にも通じるところです。

まず、お店の目立つところに山のように積んである場合。
意外かもしれませんが、これけっこう狙い目なんです。(業界的には島陳列と言うそうです)
なんとなく、目立つところにデデーンと展開していると「いかにも商業的で美味しいワインはなさそう…」って思われるかもしれませんが、逆です。
なぜかというと、島陳列をするのはたいてい季節ものです。
例えば「夏におすすめなワイン!」とか「お鍋に合うワイン!」とかですね。
こういうワインって、通常在庫からの見切り品ではなくて、このコーナーのために新たに最近仕入れたものであることがほとんどです。
つまり鮮度が高いワインが多いんですね、だから狙い目!

次に通常の棚に置いてある場合。
たいていワインコーナーは、お客さんの目線あたりに売れ筋とか売れて欲しいワインが並んでいて、下に行くほど安価に、上に行くほど高価なワインが置かれる傾向があります。
このとき、一番目につくのは最下段。おそらく、大手メーカーの1,000円前後のワインがずらっと並んでいるのではないでしょうか。
もし「フルーティーで」「分かりやすい味で」「飲みごたえのある」ワインをお探しなら、この最下段がおすすめです。
ここに置かれるのは、万人向けの中庸なワインが中心です。国際品種が使われていて、酸味はおだやか、タンニンはまろやか、アルコールはほどよく(13%前後)、そして辛口であることが多いです。
逆に、個性的なワインを見つけてみたいと思うなら、占有面積の狭い、棚の中央あたりで探してみましょう。
1種1本ずつ、ないし2本ずつくらいの場所を取っているワインです。
ここには産地や品種、造り手の個性があるワインがいる可能性が高いです。ローカルなブドウ品種を使い、個性が表現された、中規模のメーカーのワインたちが並んでいるでしょう。

続いて、どのようにアピールされているか、です。
量販店やスーパーの場合、そのワインの売りが書かれているPOP(Point of Purchase advertising)が大なり小なり置いてあるはずです。
ここで注目すべきは、そのワイナリーのプロフィールが書いてあるか、です。野菜で言うところの「生産者の顔」みたいなもんですね。
どんなワイナリーかが説明されているということは、選ぶ一つの基準になります。お店の愛着度も分かりますね。

さらに、ワイナリーの規模やビジネスモデルも窺い知れます。
家族経営なのか、大手メーカーなのか、協同組合なのか。
家族経営で1,000円台になることは稀です(これについては前回の記事が詳しいです)。
そして協同組合って意外と狙い目で、実は価格と品質のバランスが優れていることが多いです(特にフランス、スペイン)。


③1,000円台で「おねだん以上」が見つかる産地はここだ!

この2つのポイントで、すでに良質な1,000円台ワインが候補に上がっていることと思います。
(10個くらいポイントを言ってる気がしますが…そこはご愛嬌)

最後に、特にここはコスパが良いですよ!という国・産地をお教えします。

伝統国の中では、まずはポルトガル
特にVRという地理的表示があるか、産地名の記載もないような低級のワインほど、製法に自由度があってコスパの高いワインがあります。

続いてスペイン
知名度の高い産地ではなく、ラ・マンチャ、カスティーリャ・イ・レオン、カタルーニャ、ナバーラなど広域名称のものに面白い1,000円台ワインが眠ってます。

次にルーマニア
共産主義時代を経た現代ワインの歴史はまだ浅く、今は黎明期といえる国です。安価なワインが多いものの、もともとのポテンシャルが高いのでコスパはとても高い国です。

南イタリア、特にプーリア州
イタリア随一の農業地帯として知られていますが、それはこの50年ほどの話とまだまだ発展途上。
完熟した黒ブドウでつくられるリッチな味わいのコスパ赤ワインがたくさんあります。

南オーストラリア
マレー・ダーリン、リヴェリナといった広大なブドウ産地があるオーストラリア南部。暑く乾燥した大地で十分な感慨を行い、フルーティーで凝縮度の高い、しかし安価なワインを大量に生産しています。

他にも南フランス(ラングドック、南ローヌ)、チリなどもコスパワインの源泉として有名ですね。

今挙げたようなコスパ産地には、共通点があります。
それは、その産地名が高級ワインのイメージと結びついていないことです。

つまり、対極にあるのは「ブルゴーニュ」「ピエモンテ」「ナパ」「シャンパーニュ」などですね。
こういった、名前そのものが付加価値になる産地では、品質に関わらずどうしても値段が高くなりがちです。こういった産地にコスパワインがないわけではないですが、探すのはちょっと骨ですね。
1,000円台で美味しいワインを高確率で見つけるためには、上に挙げたような産地はいったん避けて探すのが近道だと言えます。

あ、例外として「ボルドー」は1,000円台で美味しいワインがたくさんありますんで!よろしくお願いします(宣伝)


…ということで、今回は1,000円台で美味しいワインを見つけるコツでした。
参考になれば嬉しいです^^
では!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?