焼き芋の

ペンネーム Mr.K

場所は大手スーパーの一本脇の通り。 
その八百屋はひっそりとたたずんでいる。
前から気なっていたので近くを通るたび、
覗いてみたいとは思っていたのだけれど、
男一人で小さな八百屋を訪ねるというのも
なかなか勇気がいるわけで。

先日、前出のスーパーからの帰り道
八百屋の店先で商品を眺めるうち、
ついに釣られるように店の中へ。
親爺さんが威勢よいダミ声で
「はい、いらっしゃーい」と迎え入れてくれた。
見ると、スーパーにて買ってきたばかりの
同じブランドの同じバナナ5本一房がなんと1/3の価格。
さらにぶどうのスチューベンたっぷり一房が市価相場の半値。
私は飛びついたわけで。

しかしそこで話はおわらず、
こればかりの買い物なのに親爺さんは焼き芋をくれた。
炎で焼かれて香ばしくホクホクの甘いサツマイモ。
これだから地方生活もたまらない。

思わず一句。
 齧りつく 白き吐息の 焼き芋の

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