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製造請負契約における契約的視点から見たリスクマネジメント

 契約の観点からのリスクマネジメントと言うと、例えば、損害賠償や契約解除の条項をどう工夫するかといったことを考えるかもしれませんが、そもそも契約上の問題が起きないようにするための対策を促すことこそが契約法務の仕事においても重要であるとの認識を持つべき時代に来ていると思います。

 顧客との間で製造請負契約を結び、顧客の求める製品を作って納品するプロジェクトにおいては、契約の視点から、次のことに注意する必要があります。
まず、契約上のリスクというと、契約書に定められている損害賠償(いわゆるリキダメを含む)や、契約不適合責任(瑕疵担保責任)、契約解除などの条件に目を向けがちですが、そもそもそうした問題、すなわちプロジェクトが大きく失敗しないようリスクマネジメントをどのようにしていくか、という観点で契約条件を検討するほうがより重要です。
 そのためにはその「リスク」という言葉の意味を「ネガティヴなことが起こる可能性」と捉えるのではなく「不確実性」と捉え、その不確実性をできるだけ早い段階で低減していく活動が必要があります。
 そして、製品を作って納品して客先が検収をする(受入検査で合格する)ことで「終わり」と考えてはならず、検収後の保証(ワランティ) 期間、さらにその後も含めて、長期的にすなわち製品のライフサイクルを見て、どこまでの責任を負うことになるか検討する必要があります。

 下記のものは、製造請負契約における、契約の観点からのリスク・アセスメントの手法として「Risk Assessment Questionnaire in terms of Performance of Contracts(RAQPoC)」を提案したものです。

<RAQPoCの解説>

 契約法務の仕事も、契約書できっちり押さえておくべきポイントを見極めるためには、いつまでに・誰が・誰に・何をするのかを追いかけていき、それが全体としてストーリーとして成り立つかを観察するところから始める必要があります。

初稿:2019年5月11日
改訂:2019年5月15日、6月19日、8月31日

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