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話を聞く健太

 彼も皆の話を聞いています。

 仕事の合間に、俺の同級生が予想外な話を俺にも聞かせた。
「健太も聞いて欲しいんだ。俺の親戚が山で犬らしい何かを拾って飼い始めたら、犬じゃなくて熊だったの。仕方なく専門家にも頼んで、野生に返したんだ。」
 彼は、親戚が山で犬らしき何かを拾って飼い始めたら、犬ではなくて熊で、仕方なく専門家にも頼んで野生に返したと言った。
「犬と間違えて熊を拾っちゃったか・・・。俺達も動物にも気をつけないとな。」
 俺も彼の親戚が犬と間違えて熊を拾ってしまった話にも、動物にも気をつけないとならないとも思えた。
「兄さんは小林響子ちゃんと山崎麻衣ちゃんと私と、似ていると思う?」
 仕事じゃない時間に、琴音が響子、麻衣、琴音は似ていると思うかと聞いてきた。
「難しいな・・・。」
「難しく考えないで。兄さんは率直にどうお感じなの。」
 響子、麻衣、琴音が似ているかは俺も難しい。だが琴音も難しく考えないようにとも、俺が率直にどう感じるかとも言う。
「皆兄さんがいるのも、男女とも仲が良いのも似ているな。響子は先輩、琴音は姉さん、麻衣はボーイッシュで力も強いのが違うんだ。」
 俺も、皆兄さんがいるのも男女とも仲が良いのも似ている、響子は先輩、琴音は姉、麻衣はボーイッシュで力も強いのが違うと応えた。
「兄さんもありがとう。私も聞きたかったの。」
 俺も琴音も話を終えた。皆それぞれ違っても仲も良いのも、それぞれの良さがあるのも俺もよくわかる。
「俺の話じゃないけど、美咲が作った話だぜ。健太も聞いてくれ。」
 将人と美咲のカップルを見かけた。俺と菜月とも同じくらい、将人と美咲も相変わらず仲が良い様子だ。
「私が少女の頃にプロの作家さんや漫画家さんを真似て、勝手に作った話なの。娘の結婚にずっと反対していた父さんが、話し合いの結果結婚を了承するの。そして父さんが、娘の彼氏の名前で「けんた」って呼ぶの。」
「美咲ちゃんもそんなのを作ったの。俺とも同じ名前だ。」
 美咲が作った話で、娘の結婚に反対していた父さんが話し合いの結果了承してくれて、娘の彼氏の名前を「けんた」と呼ぶ。多くいる名前だが、俺とも同じ名前だ。
「娘の彼氏の名前が俺とは違って「まさと」じゃないんだぜ。美咲も当時同じ名前の子が席が近くで、恥ずかしかったみたいだぜ。」
「そういう事もあったのか・・・。美咲ちゃんも俺となつを厳しく描いたみたいだ。」
 彼氏の名前が「まさと」ではないのは、当時同じ名前の子が席が近くで、名前を借りるのが恥ずかしかったためだ。俺には、美咲のその絵も俺と菜月を取り巻く環境をアレンジして、現実以上に厳しく描いたようにも思えた。
「なつも聞いてくれ。」
 俺も皆に聞いた話を、菜月にも話した。
「俺の同級生が言っていたんだけど、親戚が犬と思って飼ったら熊だったの。仕方なく専門家にも頼んで、野生に返したんだ。」
「間違えて飼っちゃったの・・・。動物を間違えたら大変だわ。」
 菜月もこの話にも、動物を間違えたら大変としか言わなかった。
「琴音が響子と麻衣と琴音が似ているかって、俺にも聞いてきたんだ。なつも似ていると思うの。」
「響子ちゃんと琴音ちゃんと麻衣ちゃんね。皆お兄様がいて、男女とも仲が良いのも、時には強いのも似ているわ。響子ちゃんは私達の学年、琴音ちゃんはお姉ちゃん、麻衣ちゃんは男の子とも互角に強い。私も皆似ているけど、それぞれ違うと思う。」
 菜月も皆兄さんがいる、男女とも仲が良い、強い等は似ているとも、響子は俺達の学年、琴音は姉さん、麻衣は男性とも互角は違うとも言った。
「美咲ちゃんが作った話だ。ずっと娘の結婚に反対していた父さんがいたけど、話し合った結果了承してくれるの。そして娘の彼氏の名前を「けんた」って呼ぶんだ。」
「健ちゃんと同じお名前ね。私達のお父様は反対じゃないけど、美咲ちゃんもそんなお話を作るとは、男女関係も厳しいのもよく知っているみたいね。」
 菜月も美咲の作品にも、俺と同じ名前とも、菜月達の父さんは反対ではないとも、美咲も男女関係も厳しいのもよく知っているとも言った。
「美咲ちゃんはプロを真似て作ったって言っていたけど・・・。それでも男女関係もよく見ているな。」
 美咲はプロを真似て、俺の名前も真似て作ったのだが、それでも俺も美咲も男女関係もよく見て、独自の視点で作ったと思う。美咲も男女の難しい所も厳しい所もよく見て、それも美咲独自の絵や文章としても表現している。
「健ちゃんは私と、竜馬くんは穂香とカップルなの。もし皆結婚したら、健ちゃんは竜馬くんと奥さんが姉妹で「相婿」っていうの。」
 菜月は俺と菜月が、竜馬と穂香が結婚したら、俺と竜馬は菜月と穂香が姉妹なので「相婿」と呼ばれるとも言った。
「相婿というのか・・・。」
 菜月の話を聞いたことで、俺も今までに聞いたこともなかった呼び方を知った。
「響子、琴音、麻衣は男性に慣れているのに、俺も聞いた話によると皆まだ結婚も彼氏もまだなの。」
 俺も聞いた話によると、響子も琴音も麻衣もまだ男性との話がない。兄さんがいるので男性に慣れているはずだが、まだ結婚も彼氏も聞かない。
「彼女達は男性と距離が近いから、誰かを特別な存在って思わないか、他の女性より時間をかけて恋愛に発展する可能性もあるわ。」
 菜月も彼女達も男性と距離が近いから、特別な存在とは思わない可能性もあるとも言う。兄か弟かその両方がいる、男系家族で育った等男性との距離が近い女性は、男性がいるのが普通なため、恋愛対象として意識しないか、しても他の女性より時間がかかるのだろう。
「皆もそれぞれあるけど、俺も仕事もなつとの関係も両立して頑張ろうと思うな。」
 同級生の話も、響子と琴音と麻衣が似ているのも、美咲が男女の話をシリアスに表現していたのも、菜月との関係もそれぞれだが、皆も難しくても、厳しくても頑張っているのも感じられる。俺も仕事も趣味も、菜月との関係もどれもさらに高めていきたいと思う。

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