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現実はどこまで行っても理想にはたどり着かない

どんな理想を掲げて突き進んでも、そこにたどり着くことは永遠になく、現実はどこまでもリアルでした。

英語に言い換えただけじゃないか。

初めに断っておきますが、私はお金持ちになりたいとか、プロ野球選手になりたいとか、そういう大きな夢や理想があった訳でも、ましてやそれを叶えた訳でもありません。

「どこまでもリアル」とは言ったものの、どこまでも行った人間なんかではありません。言ってしまえばただの妄言です。

それでも、カウンターに立って人の話を聞きたくてバーテンダーになり、沖縄に住みたくなれば石垣島に移住してゲストハウスで働き、取材をしたけりゃ書籍編集者になり、一対一の接客を求めてセラピストになり……やりたいことがあればそこに片足をチョンとつけるくらいのことはしてきました。

転職する度に例外なく「きっとこんな仕事、こんな場所なんだろうな。面白そうだな」と理想を掲げて。

しかし、どこへ行ってもその場所で骨を埋めようとは思えませんでした。

毎度毎度、理想と現実のギャップに打ちのめされたのです。

もちろんどんな仕事も楽しいだけじゃないことはわかっていたつもりです。

仕事が大変なのは当たり前。そう言い聞かせながらも、やがて「なんでこの仕事をしているんだろう……」と考えてしまい、長続きせずに退職するのがいつものオチ。

仕事を辞めるころにはすでに「他の仕事の方が自分には合っているんじゃないか」「あっちの世界はもっと楽しいんじゃないか」と、他の仕事に再び新たな理想を抱き始めていました。

理想と現実が違うことなんて当たり前だ。そんなことでいちいち仕事を辞めるなんて馬鹿だ。なんでこんなことをわざわざ文章にしているんだ。
と、そう思う方は笑っていただければ結構です。幼稚な人間の思考回路をご覧ください。

私だって今こうして書きながら、幼稚な自分に恥ずかしくなっています。理想と現実のギャップに苛まれて、こんなはずじゃなかったと思いながら度々仕事を辞める自分に。

なんなら辞めるときだって自分に対してなんだかな〜と思ってますよ。

ただそう言い聞かせても、やはり理想を求めて彷徨ってしまうのです。

ですが最近、少しずつですが気づき始めたことがあります。

現実はどこまで行っても理想にはたどり着かない

(タイトル回収)

事実、今まで理想の場所に行っても、一度たりとも「ここが理想郷だ」と感じたことはありません。

石垣島で住み始めたころ、イメージしていた通りの美しい海と、のどかな生活にいたく感動したことを覚えています。そのときは紛れもなく理想郷だと実感しました。

しかし、しばらくして仲良くなった地元の方からこんなことを言われたのです。

「なんで東京からわざわざこんな何もないところに来たのさ?」

私にとっての理想郷は、そこで生まれ育った彼にとって、何もない小さな島という現実でした。

生活していくうちに、私も少しずつその言葉の意味を実感し始めます。

自然は美しいけれど、雨が降れば遊べる場所はほとんどなく、まして夏が過ぎれば雨ばかり。具志堅用高記念館だっておもしろいけど何度も行くような場所ではありません。

東京に当たり前にあったものがここにはない。服に興味のなかった私が「服を買いに行きたい!」と初めて思ったのもそのころです。

だんだん現実が理想から離れていきました。

常夏の島で、海を眺めながら、三線を弾いて暮らす。
昼は南風に吹かれながらコーヒーを飲み、夜は泡盛を浴びる。

そんな理想は叶えたのかもしれないけれど、生きていくというのはやはり生活でしかなく、理想郷は何かが物足りない日常へと変化していきました。

そもそも抱いていた理想が漠然としていたのかもしれません。はたまたキラキラしたものに憧れるだけの港区女子だったのかもしれません。

港区女子だってインスタと現実のギャップに苦しんでいることでしょう。
こんなものじゃないと信じて、さらなる高みを目指しているかもしれません。

しかし、きっと今以上のものを求めてたところで、満たされることは永遠にないのです。
理想を求める限り、現実とのギャップに悩まされるだけなのです。

私にもいまだに理想はあります。

鼻の先に小鳥が止まっていて、周りにリスやウサギが集まってくるような、絵本に出てくるぞうさんみたいになりたい。そう思っています。

絶対になれません。

そんなものです。

現実の世界に、理想はありません。

いつもそこにあるのは呆れるくらいの現実と、右往左往している自分。

きっとそれは、どこで何をしても変わりません。

にもかかわらず理想を抱き夢を見てしまうから、その差につらくなってしまうのです。

理想を抱かずに生きていく方がいいのか、それはまだわかりません。

過度な期待を持たずにいた方が幸せなのかもしれません。

答えはわかりませんが、それもまた現実なのでしょう。

誰か、理想と現実について答えを知っているなら教えてください。

右往左往している私に。

「今はドラマの中じゃないんだぜ」

「いつまでユメに逃げてるんでしょ?そろそろおはようの時間だろう?」

そんな歌を聴きながら、なんとか目を覚そうとしている私に。

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